アベベに捧ぐ
地下足袋ポスティングが続いている。
まず、おもしろい。
最初はちょっと戸惑うんだ。着地の衝撃が大きいから。特にカカト。
運動靴のような靴底のクッションがないので、いつものように着地すると脳天までガツンとくる。
そこでだんだんと歩幅を狭め、柔らかく歩くようになる。
人間、靴で歩く時は、ほとんど足と脚しか意識していないものだ。
それもゾンザイに脚をブンと振り出してバシンと落とし、衝撃の吸収は靴底のクッションまかせという感じ。
そういうことが、クッションのない地下足袋で歩くことによって初めてわかる。
道具が進化するほど便利でラクにはなるが、そのぶん身体を複雑に上手に使うことをやめてしまうのだ。
だがほとんど裸足に近い地下足袋で歩くことによって、身体は自然と別の歩き方を模索しはじめる。
カカト、そしてヒザで衝撃が止まって痛い思いをしないように、無意識のうちに全身を使うようになるのだ。
もっとうまく各部を使えば、身体の動きを協調させることができれば、
もっともっと早く、ラクに歩けるような気がする。
地下足袋では底が早く減るだろうと予想していたが、これが案外と減らないことも驚きだ。
靴だと底のグリップとクッションをアテにして、
ズリズリと引きずったりザッと蹴りこんだりといった雑なアクションをしがちだ。
これではドンドン底が減る。
しかしこれが地下足袋だと、底を滑らせたり力をこめたりするような動きをしないのだ。
地面に足をスッと置いてスッと離す感じ。
まるで忍者か泥棒のような。まさにそうなのだろう。
おかげで底はあまり減らない。
バイクで言えば、普通の靴は駆動輪である後輪の感覚で減るが、
地下足袋は前輪のように補助的かつ複雑に使われているという感じに近いかもしれない。
素足で効率よく歩くという技術は、現代人が過去に置き忘れてきたものだ。
だがこの技術、今掘り返してみる価値が充分にあるように思えてならない。
ただ歩くだけじゃなくて、健康面や身体の機能の再発見にもつながる可能性を秘めているはずだ。
これはおもしろい素材をみつけたぞ。
地下足袋のおかげで俺の歩き方が劇的に変化するか、
もしくはヘタなままで怪我をしたりヒザを壊したりするかのどっちかだな。
実際、底が薄くて甲側も薄いので、よく何かにひっかかったりつまづいたりして痛い目に遭うんだ。
硬い尖った石なんか踏むとこれはもうメチャクチャ痛いぞ。
しかしまぁ、地下足袋、ひょっとするとこれから世界で爆発的にハヤるかもな!
JAPANESE JIKATABIとかいって。もはやどこにいっても買えないとか。
地下足袋製造業者は今のうちにラインを増産しておくことをおすすめする。
メイドインフィリンピンだが。
全然関係ないけどカリフラワーなんだろうなたぶん。