モリアーティ教授

子どもが土曜日の日本語学校に行っている間、久しぶりに壁打ちでテニスの練習をしていたら、知らない人にこう声をかけられたんだよ。

「反対側の壁で君と同じ左利きのいいプレイヤーが練習しているよ。」

その人がなんでそんなことを教えてくれる気になったのかよくわからんのだが、ひょっとしたらその人もテニスが趣味なのかもしれない。その時は娘たちとバレーボールをしていたのだが。とにかく、そう言われたのでこちらも一応、

「へーそうなんだ、ちょっと見るよ。」

と答えるしかないわけである。で、反対側をのぞいてみたら、確かにいた。左利きで同年代のおじさん。パワーが凄そうだ。

まあ壁打ちにも少し飽きていたところだったのでついでに話しかけてみたところ、すぐに隣の空いたコートでちょっとテニスをしようということになった。趣味が同じだと展開は早い。

でもそのおじさん、

展開のみならず打球も速かった。

球のスピードとスピン量の両方がもの凄く、自分の経験したことのない速さと軌道であっさりとコーナーを抜かれてしまう。

何者だこの人。またエラいのに声をかけてしまった。

20年ぐらい前は学生テニスでバリバリやってたんだろうな…と思って聞いてみたら、かつては試合で世界を回っていたという。え、それプロやん。ネットで名前を検索してみたらプロ選手のデータベースに本当にいたわ。今とは相当にあれもこれも違う若い顔写真だったけども。

まぁ、これも出会いである。むこうとしては物足りなかっただろうがこちらとしては非常に良い経験になった。

今はテニスとはまったく関係のない、どっかのセールスマネージャーとして働いているらしいこの人、名字がモリアーティという。ホームズの悪役で教授さと言って笑っていた。

テニスは強いしナイスガイ。連絡先は交換したのでまた機会があれば打ちたいものだ。