4月2日(金) はじまり。甚だ不安である。

まずは北海道から東京に飛ばねばならない。

そのためには、今日の昼には家を出なければならない。

しかし、今日に至るまで、
全っ然まるでほっとんど荷造りをしてなかった。

さらに交換を予定していたタイヤが出発当日の今日になって配達されやがった。
迷ったあげくに急いでタイヤ交換。
新品になったのは良かったものの、ちょっと試走してみたところ、

な ん か 乗 り に く い 。

以前のオフロードバリバリタイヤではさすがにイカンだろうと思って
かなりロード向きなタイヤ(タイオガFS100 24*2.10)を選んでみたのだが、
これがどーーぅも乗りにくい、というかなぜかとても曲がりにくい。
いつもよりかなーり余分に体を傾けないと曲がってくれないようなイヤな感じ。なぜだ。

そもそも一輪車のタイヤ交換なんか初めてなので、
ひょっとしたら素人爆発の相当珍妙なチョイスをしてしまったのかもしれない。
大体このタイヤ、一輪車専用じゃなくてリッパな自転車用だ。

こんなことなら以前のスリ減ったブロックタイヤのほうがまだマシかとも思ったが、
アイスランド走行中にタイヤが減ってなくなるのは避けたいし、
オフロード用タイヤで舗装路を走り続けるのも非効率的で確実にシンドそうである。

もうそろそろ家を出ないといかん時間になっても悶々と悩む。
で、結局は新しいが乗りにくいほうを選ぶ。
まぁそのうち慣れるに違いない。

タイヤにばかりかまってはいられん。
今度は荷造りである。
今さら荷造りである。
小学生でも遠足の前の日に荷造りをするシッカリ者はいそうな気がするが、
俺をそんなヤツらと一緒にされるのは迷惑だ。

とりあえず、使いそうなモノをリュックにガンガン詰めていこう。

あぁ、入りきらないね。

しかも、すでにメチャクチャ重いね。

こんな物体を背負って一輪車に乗ろうという気がまるで芽生えてこない。
今さらではあるが。
そして、時間は刻々と迫ってくる。

うーん、ここまで準備を怠った海外旅行計画というのもあまり聞いたことがない。

しょうがないのでリュックに入りきらなかった寝袋とテントとヘルメットは
一輪車用の段ボールにムリヤリ同梱した。

この一輪車、詳しくはオフロード用の特殊なマウンテンユニサイクル。
デカい段ボール箱は、それを購入した時の代物だ。
こいつがまた役に立つことがあるとは思わなかった。
あとはこの巨大段ボールが無事に飛行機に積んでいただけるかどうかだけが問題である。


このとおり、いちおう、
一輪車でアイスランドというところを走ってみようとは思っているのだが。

期待を通り越して異様に重いリュックを背負って果たして走れるのか。
そしてそれ以前に、
デカ箱に入った一輪車がちゃんと飛行機に載せてもらえるのかどうか。
すべてが不明。

あぁ、困ったなぁ。フフフ…。

なんて微笑んでるうちに、空港までクルマで送ってくれるヨッシーが来る。
もうそんな時間か。忘れ物、きっと色々あるぞ。

彼のクルマにデカ箱はなんとかギリギリ入り、まずは最初の試練をクリア。
この先が甚だ不安であるがもう遅い。

イメージ 1

というわけで、野望の第一歩、旭川空港に侵入いたします。
この箱どう考えてもデカい。そして重い。
加えてリュックがまた重い。
コイツは一体何をしに行く人なのか、道行く善男善女にはまったく予想できないに違いない。

粛々とスカイマークの行例に並ぶと、受付のお姉さまが一言。

「このお荷物、大き過ぎて運べないかも知れません。」

そうですよね。大きいですよね。
いきなり頓挫ですか。今回の旅。

よくわからん裏方の人が現れて入念にサイズを計測した結果、

「うーん、なんとか入るでしょう…」

とのこと。
そんなに迷惑な物体なのか俺のマウンテンユニは!しょっぱなから申し訳ありません!

えーいそもそもは、明日乗る予定のスカンジナビア航空が、

『自転車(一輪車も含むらしい)は柔らかい輪行バッグなどでは運べません。
 輸送に適したシッカリした梱包でお願いします』

とかなんとか言ってきたのが発端なのだ。

最初からコレかよ。今後が甚だ不安である。
だがまぁいい。なんとか北海道脱出まではできるのだから。


飛行機は大変素敵な乗り物なので、
乗ってしまえばアッ!?というまに羽田空港である。
スゴイ!ハヤイ!
だがターンテーブルとはまた別の特別出口から巨大箱が出てきた時にはすっかり正気に戻った。

イメージ 2

羽田空港では旧知の旅仲間、中田氏が出迎えてくれる。
ついでにクルマで成田空港近くまで送ってくれるという。
正直とてもありがたい。
あの大箱を持って都内をウロウロする恐怖にウチ震えていたのですよワタクシは。

今日東京に着いたのはいいが、出国は明日。
ちょっとヒマやなーと思って声をかけただけなのに、
送ってもらったあげくに忘れえぬ日本の味・牛丼までご馳走になって感無量。

空港近くのネットカフェにデカ箱ごと入店し、中田氏と別れる。

イメージ 3

夜。
北海道ではまだまだ咲かない桜が咲いていた。

北海道から東京までは、来た。

アイスランドまで行けるのかな。こんな調子で。

ま、考えてもしょうがないことだ。