5月8日(土) うまい!!
よい寝床でよく寝た。
ブロンドゥオスのキャンプ場、ここはいい。寒くもない。いい季節になってきた。
さて今日は、ロウガルバッキという小さな町まで行けるかなってところだ。
どうしてもってわけじゃないけど。
これから土日なので、小さな町にたどり着いたところで店が開いてない可能性も高いからな。
どうしてもってわけじゃないけど。
これから土日なので、小さな町にたどり着いたところで店が開いてない可能性も高いからな。
今日明日はまたしても峠越えのしんどい道のりが予想されるが、
食料は2日分ぐらいは充分にあるし、特に予定もないから急ぐ必要もない。
気の向くままにのんびり行くとしましょうか。
食料は2日分ぐらいは充分にあるし、特に予定もないから急ぐ必要もない。
気の向くままにのんびり行くとしましょうか。
当面の目標は、一番下のボルガルネスって街だな。
調子がよくて2日、でもたぶん3日はかかるだろう。
何度も言うが、イーサフィヨルズルには行きません。
10時半。
向かい風が強い。全然進まねぇ。
それでも気合いでちょくちょく乗ってみるが、
向かい風が強いと背後から来るクルマの音が直前ギリギリまで聞こえないのが怖い。
やはりあらゆる意味で、向かい風は一輪車旅には向かないようだ。
まぁ、こんな時は歩くとするさ。
13時半。
歩いていても、少しずつは確実に進む。
遠くの景色は止まって見えるけど、それでもやっぱりちょっとずつは変わっていってる。
それでいい。
休憩してたら、通り過ぎたレンタカーの兄ちゃんがわざわざ戻ってきた。
彼はオランダ在住のオーストラリア人で、
顔のあちこちにピアスはついてるが、よく見るとイケメンだ。
話してみると性格もフレンドリーでかなりいいヤツっぽい。
きっとオランダでもオーストラリアでも人気者なんだろう。
彼は俺のことを新聞で見たというんだが、え、新聞?ニュースじゃなくて?
ひょっとして新聞記事にもなっているんだろうか。
もっとちゃんと聞いとけばよかった。
ひょっとして新聞記事にもなっているんだろうか。
もっとちゃんと聞いとけばよかった。
14時半。
道端に妙なものがあったので記念撮影する。
するとクルマに乗ったお婆さんが現れて、カメラを構えはじめた。
彼女もこの珍妙な像を撮りたいんだなと思ってこの場から離れようとすると、
彼女もこの珍妙な像を撮りたいんだなと思ってこの場から離れようとすると、
「あなたを撮りたいのよ!」
と言われてしまった。
たぶん俺は今のアイスランドにおいて、天然記念物のようなポジションなんだと思う。
たぶん俺は今のアイスランドにおいて、天然記念物のようなポジションなんだと思う。
あんなオブジェが珍しくて写真を撮りたくなるぐらい、あたりには何もない。
追い風はあいかわらずで、歩いていれば当然進むのも遅い。
そして歩きがメインの日は、荷物の重さがことさらこたえる。
20キロの質量が両肩に食い込んで痛みを発し、たびたび休まざるをえない。
こんな時はもう、焦ってもしょうがない。一歩一歩、じわじわと。
追い風はあいかわらずで、歩いていれば当然進むのも遅い。
そして歩きがメインの日は、荷物の重さがことさらこたえる。
20キロの質量が両肩に食い込んで痛みを発し、たびたび休まざるをえない。
こんな時はもう、焦ってもしょうがない。一歩一歩、じわじわと。
前方にはまたしても上り坂だ。
この辺、意外とアップダウンが多くて参る。
この辺、意外とアップダウンが多くて参る。
意を決して、延々と続く長ーい坂に足を踏み入れる。
天気は薄暗く、今夜がまた冷えそうなことを物語っている。
もう17時半か。
今日はこんな調子でどこまで行けるかな…。
天気は薄暗く、今夜がまた冷えそうなことを物語っている。
もう17時半か。
今日はこんな調子でどこまで行けるかな…。
いつまで続くんだろうと思う、坂の中腹。
そこにポッと、ドライブインが出現した。
ドライブインというよりは、峠の茶屋といった風情だ。
そこにポッと、ドライブインが出現した。
ドライブインというよりは、峠の茶屋といった風情だ。
え、何これ?こんなの地図にはなかったぞ。
でもひょっとしたら、ここで何か食事や買い物ができるかな?
いや、今日は土曜日だ、期待はできない…。
でもひょっとしたら、ここで何か食事や買い物ができるかな?
いや、今日は土曜日だ、期待はできない…。
期待と不安を抱えておそるおそる近づいてみると、なんと営業中!
さっそく入店!
さっそく入店!
中はレストラン風になっていて、カウンターの温厚そうなおじさんが話しかけてくる。
「いらっしゃい。何か要るものがあるかな?」
「えーと…、ハンバーガーのようなものが、食べられるといいんだけど。」
「それなら。ウチはいろんなハンバーガーを取り揃えているよ。」
そう言ってメニューを手渡してくれる。
うわっ。本当にいろんなハンバーガーがあるな!迷うわ。
少し考えて、バーベキューバーガーというのを注文する。1050アイスランドクローナで、840円ほど。
少し考えて、バーベキューバーガーというのを注文する。1050アイスランドクローナで、840円ほど。
「飲み物はどうするかね?」
「あぁ、んーと…。」
「そこに置いてある水ならタダだよ。これこそ本物のアイスランディック・ピュアウォーター!」
「ハハハ、じゃあそのアイスランディック・ピュアウォーターをいただくよ。」
さっそく飲んでみたらこの水がやたらとうまくて、たて続けに数杯飲む。
どうやらハンバーガーはすぐにはできそうにないので、外に出て写真を撮る。
こんな感じのドライブインがあちこちにもっとたくさんあったらラクに旅ができるのに。
待ってました、バーベキューバーガー!
調理担当らしきカウボーイみたいなシブいオヤジが、ニヤリと笑いながら持ってきてくれたよ。
あー腹が減った。
さっそく食お…
うめぇ!!!
うまい!このハンバーガー!めちゃくちゃうまい!!
信じられんぐらいにうまいぞこのハンバーガー。
「今までで一番うめぇ!!」と思わず日記に熱く書き込んでしまうほどにうまい。
間違いなく、これまでの人生で最もうまいハンバーガーだ。
あぁ、存在しててよかった…。
あぁ、存在しててよかった…。
これまでの疲れや冷えや飢えや渇き、そんなものがあったからこそ、だとは思う。
しかしそれにしても、このハンバーガーはうまいのだ。
くぅう、なんでこんなにうまいんだ。
アイスランドでこんなにうまいハンバーガーに巡りあうことがあるとは夢にも思わなかった…。
しかしそれにしても、このハンバーガーはうまいのだ。
くぅう、なんでこんなにうまいんだ。
アイスランドでこんなにうまいハンバーガーに巡りあうことがあるとは夢にも思わなかった…。
ハンバーガーを完食し、店を出ても、長らく幸せな気分が離れていかない。
長い上り坂も大して気にならず、元気にのぼる。
あたりは暗くなりはじめているが、今は心も身体もホットなので大丈夫。
おいしい食べ物がここまで全てを変えてくれるなんて。
あーホントにうまかったなぁ。ウヘヘヘ…。
長い上り坂も大して気にならず、元気にのぼる。
あたりは暗くなりはじめているが、今は心も身体もホットなので大丈夫。
おいしい食べ物がここまで全てを変えてくれるなんて。
あーホントにうまかったなぁ。ウヘヘヘ…。
そんなちょっと怪しい心理状態で坂をのぼり切ったあたりで、
背後からなにやらやかましいクルマがやって来た。
背後からなにやらやかましいクルマがやって来た。
おや、助手席の窓から身を乗り出して俺を撮ってる変なヤツがいる。
そしてそのクルマは俺の前方で止まり、
中からワラワラと男3人女1人の若者集団が出てきた。
そしてそのクルマは俺の前方で止まり、
中からワラワラと男3人女1人の若者集団が出てきた。
その中の一人、熱心にビデオで俺を撮影していた男が話しかけてくる。
「やぁ!やぁ!キミはなんでこんなことをしているんだい!?スゴイ、スゴイよ!!」
なにやら興奮している。危ないヤツだな。
「キミにインタビューしてもいいかな?今から撮るから!」
そう言って、俺の前で色々質問しながら動画を撮影するヒゲの濃い男。
彼はスペイン人らしい。いやぁ、情熱的だねぇ。
彼はスペイン人らしい。いやぁ、情熱的だねぇ。
勝手に写真や動画を撮影されるのは、もう慣れたとはいえやっぱり気分のいいもんじゃない。
でも今回は…逆にここまで激しく撮影やインタビューを求められるのは…むしろ笑ってしまう。
でも今回は…逆にここまで激しく撮影やインタビューを求められるのは…むしろ笑ってしまう。
まったく、アイスランドにはいろんな国の人々がやって来るもんだ。
そしてその人々がまた、一人一人違う。話し方も、笑い方も。
聞いてくることはほとんど同じだけどな。
そしてその人々がまた、一人一人違う。話し方も、笑い方も。
聞いてくることはほとんど同じだけどな。
一通り撮影とインタビューを終えて満足したらしい彼が、
「これからボクたちと一緒に来ないか?ユニサイクルを押して歩いていたようだったし…。」
「歩いてたのは上り坂だったからだよ。これから下りだし、ここからが最高なんだ!」
そう言うと、彼らは名残惜しそうにクルマに乗って去っていった。車内からまた俺を撮影しつつ。
紅一点の彼女はドイツ人だと言っていたが、一体連中はどういう関係なんだろうね。
紅一点の彼女はドイツ人だと言っていたが、一体連中はどういう関係なんだろうね。
学生のサークルみたいだった彼らと行動を共にするのも、あるいは楽しかったかも知れない。
でも俺は、やっぱり今は、一人で黙々とユニサイクルを漕ぐほうを選ぶ。
でも俺は、やっぱり今は、一人で黙々とユニサイクルを漕ぐほうを選ぶ。
もう20時。
なんだかんだ言ってブロンドゥオスから52キロまでは来たか。
ロウガルバッキはもうすぐだろう。もうひとがんばり!
20時半。
はい到着ー。
思ったとおりの寂しい町ですよ。
でもキャンプ場はちゃんとあった。
当然のごとく閉鎖中だったが、何か言われたらその時はその時だ。
当然のごとく閉鎖中だったが、何か言われたらその時はその時だ。
さっそくテントを展開。
もう21時を過ぎているのに、キャンプ場の向こうにある小さな公園ではまだ子どもたちが遊んでいる。
さすがは白夜の国だ。
さすがは白夜の国だ。
少し冷えてきたので、こんな時にはヌードルが重宝する。
今日は57キロ。
ほとんど歩いてたにしてはよく進んだと思う。
ほとんど歩いてたにしてはよく進んだと思う。
今日もいろんなことがあった。
明日はちょっとした山場だろうなぁ。
明日はちょっとした山場だろうなぁ。