5月9日(日)その1 マウンテンユニ試乗会


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朝から天気がいいな。暑くなりそうだ。

地図によると、今日は人里離れた山岳地帯を走り抜けることになる。
でもこんな暑い日は、水の確保がしやすい山エリアを走るほうがむしろ好都合かもな。

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快晴。しかも風がいい。
ここ数日では最高のコンディションだろう。

こんな時はすかさずソーラーチャージしとかないとな!

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ブロンドゥオスから山を越えて再び海に出てきたので、今はアップダウンが少ない。
さらに追い風ときたら、もう爽快この上ないな。

背後から抜いていったクルマがなにやら歓声を上げている。
助手席から身を乗り出して…あ、昨日のスペイン人一行か。
昨日はあれから途中のどこかで泊まったんだろう。
またなー。

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海と羊。
このあたりは長ーい入り江になっている。
天気がいいと羊も平和そうだ。おかげで俺も平和だ。

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もう20キロ近くも走ってきたか。
なんだかあっという間だったな。
昨日、一昨日と20キロ進むのにどれだけ苦労したことか。

地球に遊ばれてるなぁ。

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ここは天気がいいと本当に綺麗なところだ。
やはり海沿いを走るのは気分がいい。

海の青を眺めているとなぜ心が和むのだろう。不思議だ。

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3時間で爽やかーに30キロ走って、分岐点に来たよ。

リングロードをまっすぐ行けば、やがてはレイキャヴィーク。
右に曲がると、はるかかなたの333キロ先に、イーサフィヨルズル。
何度でも言おう。
イーサフィヨルズルには行きません。

なぜかここの標識に限って、同じように自転車をたてかけた跡がクッキリと残っている。
他のみんなもここで『イーサフィヨルズルには行かないぞ。』という決意をこめて写真を撮ったのだろうか。

ところで。
この場所に来るすぐ手前、長い下り坂を下りてきたあたりで、
なんとあのアニカとグレタが乗ったクルマとすれ違った。
そういえば彼らは俺が泊まった翌日にレイキャヴィークに行くと言っていたので、その帰りなんだろう。

俺はその時、坂を下りてて勢いがついていた。
俺も乗せてもらったあの緑色のクルマに気づくのが遅れたせいもあったか。
笑顔で手を振る二人に気づき、ハイ!と手をあげて、そのまま通過してしまった。

一晩泊めてくれた家の人々に、こんなところで偶然に再会したのだ。
普通ならユニサイクルを下りて、話ぐらいするだろうに。
でもあの時の俺は、なぜか、そのまま通り過ぎてしまった。
止まろうと思えば止まれたのに。
グレタの運転するクルマも減速して止まりそうな気配だったのに。
なんで俺は、そのまま走り去ってしまったのだろう。
後悔というか…そのことがアタマから離れない。

イーサフィヨルズルとの分岐のすぐ向こうには、またしても地図にないドライブインがあった。
しかも今回のはかなり立派で、バスターミナルも兼ねた大規模な道の駅って感じだ。

今日は日曜日で、しかもちょうど昼メシ時。
ドライブインには遠くからでも大量の人々が見える。
そこに一輪車で入っていく時の、皆様の熱すぎる視線が痛い!

そこでなるべく人目を避けようと、ドライブインの裏側っぽい日陰に回り込む。
ここなら誰も来ないだろう…と思ったら、ワラワラと来た…来たよ…。

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アイスランドの高校生たちと、その引率の先生たちだろうか。
先生が俺に話しかけてきた瞬間、堰を切ったように学生たちが群がってきた。
そして必然的に、マウンテンユニサイクルの試乗会になる。
アイスランドではユニサイクルは一般的ではないのか、結局誰も乗れずじまい。

やっと高校生たちが去っていったと思ったら。

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今度はスペインから来た3人組。
昨日会ったスペイン人とはまた別。
スペイン人にも色々いるんだなぁーと勝手に感心する。
3人の中でも運動神経の良さげな写真の彼がいいところまでいったが、やっぱり乗れず。

ようやく満足したかと思ったら、今度は別の家族が。
どこの国の人だか知らないが、家族のパパが、

「やぁ!こんなに次々と話しかけられたら、キミはいつまでたっても出発できないな、ハハハ!」

などと言いつつ、やっぱり彼とも長話になる。

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あ、家族連れなのに娘しか撮ってなかった。
我ながら露骨だ。

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うむ。我ながら露骨だ。そして自分に素直だ。
彼女も俺もマウンテンユニもそれで喜んでるんだからいいじゃないか。

こんな感じでいろんな人がユニサイクルにトライしたけど、やっぱり誰も乗れず。
いやぁ、優越感バリバリですなぁ。

でも新しい挑戦者が現れるたびに必ず「乗って見せて!」と言われるので、
そのつど毎回実演しないといけないのはさすがにちょっと疲れる。
しょせん一輪車暦1年未満の俺。実はたいしたことはできないんですよー。

せっかくの立派な道の駅風ドライブインではあったが、
こんな調子ではまったく安らかに休憩などできるわけがない。
ひたすら会話と実演だけで日が暮れてしまいそうだ。
人との交流もいいけど、今日はコンディションが最高なんだ。
今は休むよりも、走りたいんだ!

と言うわけで、トイレと水を汲むぐらいで、慌しくドライブインを脱出。

あー。
あんなに人に囲まれることってメッタにないので緊張した。
俺はとてもじゃないが大道芸人にはなれそうもない。
あ、でも路上パフォーマンスはしたことあったなそういえば。

ドライブインを出て、ふたたび爽やかーに疾走していると。
おや、来ましたよ。

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燦然と輝く峠が!!

どれどれ。
今回のは標高は407メートルと大したことはないが、え?距離37キロ!?なんだこれ!!
単純に2で割ったら、上りだけで18キロあるってことかーー!?

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見るからにしんど…。
でも今日のこの風、この天気、このテンションなら行ける!楽勝!!

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もう結構のぼってきたのでは…と、振り返る瞬間。

遠くにチラッと見える海のあたりにさっきのドライブインがあったハズだ。
だいぶ来たなぁ。

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約2時間後。ふたたび振り返る。
もはや、よくこんなトコまで来たな、というぐらいの感慨しか湧いてこない。

長い…いくらなんでも長いぞ、この峠…。
アイスランドに来てからもう幾つもの峠を越えてきたが、これは極めつけだ。
斜度もなければ雪もないけど、違う意味ですっかりゲンナリングだ!

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さらに30分後。16時。
お、ひょっとして、ついに頂上か!?
ようやく、ようやくなのか。

それにしても暑い!
汗を大量にかき、水の消費が激しい。

それなのにこのあたり、予想に反して川が全然ないんだ。
どうやらこの辺にあったハズの雪はすっかり溶けて、
綺麗な雪解け水が流れる川なんてのはもう完全に消失してしまった後らしい。
こいつは誤算だった。
山なら水なんかいくらでも補給できると思ってたのに。

でもこれからは下りが続くはず。
峠を一気に下って、清流をみつけるしかない!