実録本部半島

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許田の道の駅の夜は快適ではあったが、
夜中に若者たちがたむろして少し騒がしかった。
これも沖縄っぽいといえば沖縄っぽい。
夜中には少し雨も降ったので、
それでも道の駅のひさしの下で寝たのは正解だった。

朝7時、二人のおっちゃんに相次いで話しかけられつつ、出発。
路面はまだ濡れているが、雨は上がってくれている。
今日明日は降らないという予報を信じたい。

許田から数キロも北上すれば名護の街に着く、その間。
今日も朝からバイクがウォンウォンとうるさい。
沖縄県警言うところの、ダサイ族のみなさまである。
おいおい、走り初めってやつは3日でもまだ終わらんのか。

それにしても、群れることがカッコイイという発想が俺にはよくわからん。
バイクを珍奇で先鋭なカタチに改造し、
爆音を鳴らしつつツッパるのは、それなりに力強い自己主張ではある。
だがそれをワラワラと大勢でこれ見よがしにやるってのは、
不良というよりはただのスイミーのように俺には見える。

まあ、彼らはうるさいのは困るが、
どうもきちんと信号は守っているようだし、
ほかのバリバリ飛ばす系のバイクたちともなんとなく共存共走してるようだ。
そうなると、ほとんどただのツーリングクラブと一緒なのではあるが。
たぶんそんなダサイ族もまた、
沖縄のエネルギーをもて余した青少年たちの受け皿の1つなのだろう。

そんなことを考えていたおかげか、名護に来るまでは早かった。
街の入口にあるコンビニ前を通過しようとすると、
小学校高学年ぐらいの少女がホットのお茶を差し出してくれる。
3人家族が俺を待ち受けていたのだ。
おや、朝から可愛らしいお嬢さんに差し入れをもらえるとは嬉しい。
今日も幸先がいい感じかな。ありがとう!

名護はそこそこ大きな街で、沖縄北部の代表格である。
那覇方面からブッ飛ばしてきたバイクたちが、
休憩して引き返す名所らしいA&W(沖縄のファーストフード屋)には、
やはりバイクがたくさん停まっているのだった。
つまり、ここを過ぎれば少しは静かになるのだろう。

名護は本部(もとぶ)半島という大きな半島の根本にあって、
メインの国道58号線は半島をショートカットして北に延びているが、
沖縄一周というならやはりこの半島ぐらいは回らないと違和感がある。
そこで、特に迷うことなく本部半島をグルリと迂回するルートへ。

那覇からの国道58号は歩道も完備されており、
一輪車的にはこの上なく走りやすい道のりであった。
そしてそれは本部半島を行く別の国道に乗り換えても同じで、
幅は狭くなるがしっかりと歩道は続いてくれるようだ。
これはありがたい。

お、今ホーンを鳴らして俺を追い抜いていったオレンジ色のハーレー、
あれは昨日万座毛で出会ったエージさんに違いない。
沖縄に移住して1ヶ月か。
南の島で暮らすってのは、どんなもんなんだろうな。

バス停の近くでクルマを停めて待っていた男性。
「でーじ(とても)すげー!」と方言で驚いてくれる。
彼いわく、ちょうど今ごろ、
オリジナル製作のミニカーで日本を一周しているという女性が、
沖縄あたりまで来ているのだと言う。
話を聞いて思い出したが、その人、
前にネットでちらっと見たことある気がするな。
何年も前から計画だけはあって、本当にやるのかやらないのかと、
2ちゃんねるあたりでずいぶん叩かれていた人だったか。
ほぅ、結局は旅に出たんだな。
じゃあもう批判されなくていいじゃないか。
自分は何もせずパソコンの前でギャーギャー騒いでる脳人間たちよりも、
よほど実のある経験ができることだろうと俺は思うよ。

本部半島から左手に海を望みつつ走っていると、
昔バイクで来た時に休憩した気がするアズマ屋を見つけた。
ちょうどこの頃は熱っぽくてカラダがダルく、
なんかおかしいなーと思っていた時だ。
あれから11年前か。
当時の俺に会えるなら、ちょこっと教えてやりたい。
俺は今もそこそこ健やかで、あいかわらず似たようなことをしていると。
それでもなんとなく、ガッカリはされなさそうな気がする。

東の空が黒いのが気になっていたら、やがて雨が降ってきた。
正月休み中らしい工場の軒先を借りて雨宿りさせてもらう。

南国のぬるい雨が、草笛のような香りを運んでくる。
見上げると、ドッカリとした黒い雲の塊が、西の海へと流れてゆく。
それが自分の真上をゆき過ぎれば、
しだいに雨は止みはじめ、雲間からまた太陽が輝くのだ。
島にいる気がした。