５月14日 いきものたち
朝は少し寒い。
昨夜、思ったとおりに少々雨が降ったせいか。
夜はずっと誰かに見つからないか気になっていたが、朝になってしまえばレストエリアは快適だ。
ゆっくりとテントを乾かしてから出かけるとしよう。
そういえばこのテントで雨に当たったのは初めてである。
超軽量・コンパクトだけを考えて選んだ、フライシートも無いモンベルのテント。
そこそこ雨でもいけそうだな。
さあ、テント乾いたかなー。
そろそろ出ようかなー。
レストエリアを出て最初の小さな町のガスステーションでさっそく休憩＆食料補給。
昨夜と今朝がちょっと冷えたので、今はパワーレードよりホットココアがうまい。
一応念のために葛根湯も飲んでおく。
日本においてこのカップでココアが出てきたらかなり驚くだろうが、ここではこれが普通だ。
もう慣れた。
ガスステーション前のカジノでホンダの軽トラを発見！
おおっ、軽トラ！
軽トラ愛好者として非常ーーに親近感が湧くぜ！
日本の軽自動車はアメリカの安全基準を満たしていないと聞いたことがあるから、
こいつは中古の個人輸入か何かではるばるアメリカまでやって来たのだろう。
ゴルフ場や農園でのカートとして使われているという話もあるし。
軽自動車は日本では圧倒的な便利さを誇るが、アメリカのフリーウェイを走るにはあまりにも無謀だろうな。
それにしても、カジノの駐車場に軽トラが止まっている風景は日本の田舎のパチンコ屋とそっくりである。
パチンコがないアメリカではカジノがその役目を担っているわけだ。
どこにでもいるよな、ギャンブル好きってのは。
今さらながら、ニューメキシコでプリシラから貰った水筒。
動物大好きなプリシラらしくデザインがWWF。
重いものを極力排除する俺の旅スタイルでは水といえばペットボトルが定番なのだが、
まあなんというか、お世話になった人に貰っちゃったのでこれは使うしかない。
ちなみにこれに水を入れておくと数時間後にはぬるま湯になっているという特典つき。
旅の行程もオクラホマシティで大体半分を過ぎた。
ここはもう西部とも言えない地域だと思うが、そのせいか近頃は本当にガソスタの数が増えたよ。
補給のことばっかり考えていたアリゾナやニューメキシコに比べればだいぶ安心感がある。
これなら不意に雨に降られてもなんとかなるだろう。たぶん。まだ強い雨に降られたことないから。
今日は２台もクルマを止めてしまった。みんな優しいなー。
１台なんかボロいクルマに夫婦＋大型犬が乗っていたが、それってもう俺の乗る場所ないでしょ。
天気もそこそこだし、脚のケガもほとんど治ったし、急ぐ理由もない。
今は気楽にユニサイクリングさせてもらうよ。
今後の予定といっても特にないが、とりあえずオクラホマ州からアーカンソー州に行かなくてはなるまい。
このままI-40を行けば、アーカンソーの入口の町であるフォートスミスは120マイル先。
アーカンソーの州都リトルロックはもっともっと先。
これと言った目標もなく、淡々と進むのみ。
ただただただただ走行距離を増やしてゆく旅。
やがて、オケマーという町を通過。
雨がパラパラ降るが問題ないレベル。
それはそうと、最近の路肩ではアルマジロの死体をよく見る。
フリーウェイの路肩は無料だけに大して掃除もされていないので、
タイヤの破片や缶・ビンの他に、クルマに轢かれた動物の死体がしょっちゅう転がっているのだ。
動物の種類は地域によってリスだったりウサギだったりシカだったりするが、この辺はアルマジロなんだな。
悲しいことに、轢かれた動物の種類によって自然環境の移り変わりを知るわけだ。
変化に乏しいフリーウェイで動物以外に目立つものといえば、警察。
オクラホマ州警のパトカーがユニサイクリング中の俺に併走し、
にこやかに手を振ってやっぱり写真を撮って走り去って行く。
おい仕事しろ。
今日は淡々と走って96キロ。まあ満足。
ヘンリーエッタの町では自分の走る側にガソスタがなく、水を買えないまま通過してしまった。
そしてその先にあるのが、ユーフォーラ湖という大きな湖。
たぶんこの辺の人々にとっては一大レジャースポットなのだろうが、
夕方から夜に差し掛かる時間帯でこんな何もない湖沼エリアに突っ込んだ俺にとってはたまらない。
どこまで走っても店はなく、野宿に適した場所もなく、日は暮れ、虫は増え。さらに増え。
これだから水辺は嫌いなんだ！
町とガソスタが増えたと思ってすっかり油断していた。
レジャースポットらしく途中にKOA(キャンプグラウンド・オブ・アメリカ）はあったが、
あんなただのキャンプ場のくせしてモーテル並みの金を取るところに俺が行くわけがない。
そういう意味ではKOAについて事前に学習させてくれたキングマンのカニ夫人、ありがとうよ！
もうすっかり日も暮れたので、安全のために一輪車に付けた前後ライトを点灯。
この手の装備は安全のためと警察に文句を言われた時のために付けているものの、
できればあまり使いたくはない。というより、使う状況におかれたくはない。
今日は失敗したな…。
ああもうロクな場所がみつからないが、暗くなってはやむをえまい。
もうその辺で寝る。
