5月15日 ファンな影

 
昨夜はユーフォーラ湖のあたりで暗くなって適当なところで寝たわけだが、
朝になってよく見ると、これがまた疑う余地のない行き当たりバッタリな寝床であった。
やはりキャンプ地は明るいうちに見つけておくに限る。
まあこの辺には家なんかないし、誰にも見つからなければそれでいいんだけどな。
 
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広大なユーフォーラ湖を抜け、チェコタという町でやっと最初のガスステーション。
辺鄙なトコだからか物価がちょっと高いがこれはしょうがない。
いつもどおりにカードで決済して伝票にサインをするとき店の女の子に、
 
「サインは血で書くんでしょ?」
 
と言われる。
一瞬なんのことかわからなかったが、彼女は笑っているのでジョークのつもりなんだな。
たぶんテレビか映画でアジア人が血でサインだか血判だかをしているシーンでも見たのだろう。
まったくどんな映画だよ!
しかしこの子は、日本において血で文字を書くことのシリアスな意味合いを、あまり理解していないわけだ。
遠い他国の文化の理解なんて往々にしてそんなもんだろうけどな。
 
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アメリカでよく見かけるトラックの運搬法。
 
この状態のままフリーウェイを爆走したりしているからビビる。
合理的と言えば合理的なような気もするが、真横を走られるのはゴメンだ。
 
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フリーウェイの路肩でテントと寝袋の乾燥中。
 
今朝は雨に降られたわけじゃないのにテントが湿っていた。
乾燥した西部ではまったくなかった現象だ。
そろそろ湿度の高い地域に来たってことだろう。
これから毎日これをやらねばならんのかと思うとちょっと面倒だな。
 
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ワーナーという町でフリーウェイを一旦降り、マクド休憩へと向かう。
 
関係ないけど、オクラホマシティという名前は長いので、看板ではよく短縮されてオクラシティになってしまう。
 
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ワーナーのマクドナルドで、青い液体をチビチビ飲みつつWIFI使用中。
 
これまでアメリカのマクドにおいて、店内のコンセントを使って充電していいのかどうかの確証がなかった。
そこで今回、おばさま店員に丁寧ーに聞いてみたところ、非常ーに快く貸してくれたのである。
ありがとう、助かるよ!
 
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おーおー、窓の外にはおなじみのバイク集団が。
 
こういう人たちはほぼ間違いなく年齢層高めなんだよな。
若者はもうバイクに乗らないし、乗ってもつるまない。
日本と同じ現象だ。
 
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充電で時間をもてあましたので、おかわり自由のドリンクバーにおいて、
いつもの青いパワーレードにコーラその他を混ぜてみる。
大変厳しい色になってしまったが、味はまだほんのりと正気を保っている。
大丈夫だ!
 
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今日は天気がいい。
しかし身体はどんよりと疲れている。
充電のためでもあるが、なかなかマクドから動く気がしない。
何人かのフレンドリーな人々が俺に声をかけてくれ、少し喋って、笑顔で去っていく。
中にはクルマに乗っていかないかと誘ってくれる人もいるが、この天気なら走るしかないさ。
 
やがて充電も完了し、ワーナーの町を出る時が来た。
それはいいんだが…、あれ?
背後の雲が黒い。そしてジワジワと迫ってくるような。
これはマズいか。
ダラダラ進んでいたペースを一気に上げる。
迫り来る黒雲から逃げないと。
 
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ぐおおお、橋の上は路肩が狭くて怖い!!
 
そんな恐怖の橋を越える頃、きた。
ポツポツと。雨が。
 
うわーヤバい、こんななんにもないところで雨か!
急激に勢いを増す雨。近くで鳴り響く雷。まさに雷雨。
とにかくどこか橋の下にでも潜りこまなければ。
もうじき次の出口がある。おそらくそこも他と同じく高架になっているハズだ。
 
ザンザン容赦なく降る雨。身体が急速に冷えてゆく。
豪快に水しぶきを上げながら走り去るクルマたちが止まってくれる様子はない。
本当に大変な時には、誰も助けてくれないのか。
思わず弱気になる。
でも今はそんなことより、視界が悪いであろうクルマに轢かれないようにすることが重要なのだ。
 
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フリーウェイ出口は案の定、高架構造だ。
ろくでもない環境ではあるが、とにかくここで雨はしのげる。
 
この強烈な雨ではクルマでも走りたくないのだろう、他にも高架下で停車しているクルマがいる。
しかし声をかけてくる気はなさそうだ。
しばらくはここで待機だな…。
 
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30分ほども待っただろうか。
黒雲はゆっくりと過ぎ、雨はやんでくれた。
そこにはまた、さっきと同じ、うららかな晴れ間が広がる。
 
なるほどこれがアメリカの雨か。
雨雲が来て、やがて去っていく。まるでスケールの大きな天気図を下から眺めているようだ。
そしてこれはつまり、雲の流れをよく見ていれば、少しは事前に対策が立てられるかもしれないということだ。
 
雨には結構濡れてしまい身体も冷えたが、
その後に回復してくれた天候のおかげで、どうやら風邪もひかずに装備も乾かすことができた。
じょじょに調子を取り戻し、サリソーという町をパスしたあたりで、またもや変なところで寝る。
 
今日の走行は89キロ。
マクドや雨宿りで時間を費やしたわりにはそこそこな距離だ。
これまで1ヶ月間も移動中にマトモな雨に降られたことがなかったのに、ついに降られてしまった。
気候帯が変わったのだ。
これからは雨予報にこれまで以上に気をつけなければならないだろう。
やれやれだ。