4月7日(水)その1 ユニサイクル・ツーリング

よく寝た。
たまに寝る普通のベッドというのは実に素晴らしい。

このゲストハウスに客は俺しかいないらしい。
よって人目を気にすることなく部屋と共用のトイレ&シャワーを行き来し、
最後は空ペットボトルに水を入れて出発準備完了。

今日は天気がいい。
あれほど吹き荒れていた風もウソのようにおさまり、気温も高めだ。
よし、これなら行ける。
やっぱり一日待機してよかった。
さらばセルフォス!

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街の出口にある標識。

『じゃ、ここから先はなんにもないから。』

ということを表現してあまりある。
怖っ!
充分な水と食料を持たずにこの標識を通過すると……干物のできあがりだ。

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平日の朝8時。
クルマはさほど走っていない。

今日はもう祝日じゃないので、アイスランド人の生活も平常運行に戻っているようだ。
それにレイキャヴィークを出て、
さらにアイスランドでも比較的規模の大きい街らしいセルフォスを抜けたことで、
クルマの通行量が自然に減ってきたということもあるようだ。

これは助かる。
一時は本当にどうしようかと思った。

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でも…ひたすら…道が…。
ダイナミックといえばダイナミックなんだが。
変化がなさすぎといえばなさすぎ。
時間が止まって見えるわ!

とはいえ、やはり今日は走りやすい。
クルマが数えるほどしか通らなくなった。
アイスランドに来て今日で4日目、初めてマトモな一輪車旅ができているのが嬉しい。

写真では道の左側にいるが、アイスランドは日本と逆で右側通行の国だ。
俺も最初は律儀に右側を走っていたのだが、
クルマが少なくなってきて自由度が増してくると、だんだん左側を走ることが多くなってきた。

理由は2つある。
まず道の両端は傾斜になって落ち込んでいて、
個人的に、左に向かって傾斜している左側のほうが一輪車で走りやすいということ。

次に、左側を走っていると、
正面からクルマが来るのがかなり遠くから目視できて回避しやすいということ。
逆にクルマと同じ右側方向を走ってると常に後ろから追い抜かれるカタチになるが、
追い抜くクルマもセンターラインを割らないといけないし、背後から抜かれる俺も毎回怖い。

これがアイスランドの法律でいいのかどうかは知らないし、
正面から来るクルマを驚かせることもありそうなので最上の方法とは思わないが、
今のところはこれで行こうと思う。

そんなわけで左側をのんびりと走っていると、
前方にクルマを止めて、どうやら俺を待ち構えているらしき人々がいる。
写真と、ありゃたぶん動画も撮られている模様。
こりゃ止まらないわけにはいかなそうだ。

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神々しいほどの逆光を浴びる、スサーナさん一家。
どこの国の人かは知らんけどアイスランド人だろうか。見た目で判断は不能。

息子たちがユニサイクルに乗るそうで、彼らの尊敬?のまなざしが眩しい。
残念ながら俺のスーパーマシンは脚の長さが足りずに乗れないようだ。勝ったな…。
それにしてもこうやって見るとデカいな、マウンテンユニサイクル。

彼らに色々と聞かれた中で、
とにかく衝撃的だったのはこれ。

「アイスランドの北部を走る時はタイヤを換えるの?」

「え?なんで?」

「今、あのあたりは雪と氷だらけよ。4月はもちろん、5月になってもしばらくあると思う。」

「マジで!?」

ひどい話だ…。
まだ道の上に雪なんかあるのかよ。
走るのは全て普通の舗装路だろうと思ったから舗装路向きのタイヤにわざわざ換えてきたのに、
まさか雪道があるとはな…。
乗りにくいタイヤを選択して来てそもそも失敗したと思っていた矢先なので、
これじゃあ二重に失敗したような気持ちでいっぱいだ。

だけどまぁ、アイスランド北部なんて、まだまだ先の話じゃないか。
行くとしても5月ぐらいでしょ。なんとかなるわな。ハハハ…。

スサーナ一家と別れてもしばらくそのことが頭から離れなかったが、
道端で休憩してるとクルマの老夫婦にまた写真を撮られた。
街を抜けて田舎エリアに来た途端、
みなさまの好奇心がむき出しになってきていらっしゃるような気がして仕方がありません。

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基本的になーーーんにもない平原を走っていると、
たまに川を通るだけでもなんかおもしろい。
きっと山の雪解け水が一斉に流れ込んでいるのだろう。
いかにも冷たそうだ。

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セルフォスで一日休んだにもかかわらず、右ヒザの痛みはあいかわらず。

一輪車に乗っててヒザと股が痛くなってきたら降りて歩き、
リュックの重みで肩が痛くなってきたらまた乗り、の繰り返し。

一輪車では時速10キロぐらい。歩いて4キロぐらい。
この速さでは、目に映る光景は、いつまでもほとんど変わらない。

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雲がねぇーーー。

天気がいいのは最高だが、そのぶん今度は暑いぜ。
よって休憩の数も増える。

でもようやく目的の、ユニサイクルツーリングができている。
しんどいけど、気分は決して悪くない。

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セルフォスを出て30キロぐらい。ヘトラという小さな町に到着。
5時間で30キロなので、休憩も含めて平均時速6キロぐらいで進んでいることになる。
速いのか遅いのかよくわからないが…。
とりあえず、進んでいるのでよしとする。

ここで水と食料の補給をして、あまり休まず再出発。
天気のいいうちにできるだけ進んでおきたいからな。

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ずらーっと並ぶ、次の街リスト。

一番遠いトコで600キロかよ!ゲンナリする。
まぁ、いずれ着くことでしょうよ。

今は淡々と、一番手近な街から順に攻めていくとしましょうよ。