4月14日(水)その1 北のイタリア人
なんの因果か、超自然的散財を果たした昨夜。
爽やかな目覚めとともに、まずはキッチンにやって来る。
昨夜はまるで気づかなかったが、あらためて見るとなかなか綺麗なキッチンである。
えーと、そんなことより、何か食えるものはないかな…。
あ、引き出しの中に、賞味期限が1年ほどブッチギられたクラッカーを発見。
きっと1年以上前の宿泊者が置いていったものだろう。
ちょっと食ってみたらイケそうだった。ラッキー。
あ、引き出しの中に、賞味期限が1年ほどブッチギられたクラッカーを発見。
きっと1年以上前の宿泊者が置いていったものだろう。
ちょっと食ってみたらイケそうだった。ラッキー。
ダイニングとリビング。
こちらもなかなかいい感じ。
昨日に引き続いてどうもノドが乾いてしょうがないので、
ひたすらコーヒーと紅茶をガブ飲みする。
他の宿泊客は早朝から出払ってしまったようで誰も居ない。
でもなぜかキッチンの隅っこで期限切れクラッカーをむさぼる。
素敵なダイニングやリビングというのはどうも落ち着かなくていけない。
中は綺麗なのに、外観がまたなんともいえない。
ところで、客がいないのはいいけど、
オーナーのクリスティーナさんが10時前になっても出てこないというのはなぜだ。
クルマでハプンまで送ってくれるんじゃなかったのか!!
もういいや、いちいち頼むのもメンドウだし、また3キロ歩いて街まで行くか。
オーナーのクリスティーナさんが10時前になっても出てこないというのはなぜだ。
クルマでハプンまで送ってくれるんじゃなかったのか!!
もういいや、いちいち頼むのもメンドウだし、また3キロ歩いて街まで行くか。
今日からしばらく天気待ちのためにハプン暮らしだ。
もはや3キロ歩くぐらいはどうってことない。
昨日と較べると余裕が違うぜ。
もはや3キロ歩くぐらいはどうってことない。
昨日と較べると余裕が違うぜ。
ひっそりとした宿をこっそり脱け出して、
昨夜も通ったハプンへの道を再び歩き始める。
明るいと見通しがよくていい。
やっぱり暗い時間帯に歩いたりするもんじゃないな。
昨夜も通ったハプンへの道を再び歩き始める。
明るいと見通しがよくていい。
やっぱり暗い時間帯に歩いたりするもんじゃないな。
背後からクルマが通り過ぎて、俺の前で止まった。
あ、あれ。
昨日のイタリア人じゃないか。今日は一人か。
「やぁ!また会ったね!
ハプンに行くのかい?さあ乗って乗って!」
ハプンに行くのかい?さあ乗って乗って!」
というわけで、乗せてもらう。
昨日も通った道だし、街まで3キロだし、今回ばかりは何も気にする必要がない。
昨日も通った道だし、街まで3キロだし、今回ばかりは何も気にする必要がない。
クルマは、あっという間にハプンに着いた。
明るくなってあらためて見ると、やはりそこそこの規模の街だ。
3000人ぐらいは住んでいると言ってたような気がする。
明るくなってあらためて見ると、やはりそこそこの規模の街だ。
3000人ぐらいは住んでいると言ってたような気がする。
当初は街に来たらキャンプ場か安いゲストハウスを探そうと思っていたのだが、
「まずは朝食を食べないか?」
という彼、ヴァレリオに誘われて、クルマは大きな学校みたいな建物に止まる。
学校?の駐車場から見たハプンの街並み。
今の俺にはこの程度でも充分都会に思えてしまうぜ。
ヴァレリオはここの関係者なのか、ズンズンと中に入っていく。
内部には学生らしき若者がたくさんいる。
ヴァレリオいわく、ここには大学と高校と図書館と、街関係のオフィスが同居しているそうだ。
さっそく連れて行かれた一室には、昨日ヴァレリオと同時に会ったローザがいた。
内部には学生らしき若者がたくさんいる。
ヴァレリオいわく、ここには大学と高校と図書館と、街関係のオフィスが同居しているそうだ。
さっそく連れて行かれた一室には、昨日ヴァレリオと同時に会ったローザがいた。
どうやら彼女、この街で観光関係の仕事をしているらしい。
しかもマネージャーという要職。
広い一人部屋でパソコンをカチャカチャやっておられる。
しかもマネージャーという要職。
広い一人部屋でパソコンをカチャカチャやっておられる。
俺は彼女に、ハプンで最も安い宿泊施設はどこかな?と聞いてみると、
彼女はわざわざあちこちに電話をかけて、値段を調べてくれた。
おかげで一番安いゲストハウスってのはわかった。
残念ながら、ハプンのキャンプ場はまだこの時期は閉鎖中で使えないらしい。
彼女はわざわざあちこちに電話をかけて、値段を調べてくれた。
おかげで一番安いゲストハウスってのはわかった。
残念ながら、ハプンのキャンプ場はまだこの時期は閉鎖中で使えないらしい。
ローザの仕事の邪魔をしてはいけないので、彼女の部屋を早々に退散。
ヴァレリオと共に、学生がたむろする建物内のカフェテリアに行く。
ヴァレリオと共に、学生がたむろする建物内のカフェテリアに行く。
そこでなぜか、彼にコーラとサンドイッチをおごられ、カフェテリアで長々と話す。
彼のことがだんだんわかってきた。
彼のことがだんだんわかってきた。
ヴァレリオはローマ出身の28歳で、アイスランドに来て3ヶ月目。
今は縁あってローザの家に住みつつ、彼女の手伝いのようなことをしているらしい。
なんだ、カップルじゃなかったのか。
そう言うと、
「まさか!親子ぐらい違うよ!」
だそうです。
今は縁あってローザの家に住みつつ、彼女の手伝いのようなことをしているらしい。
なんだ、カップルじゃなかったのか。
そう言うと、
「まさか!親子ぐらい違うよ!」
だそうです。
ローマではアウトドアガイドをやっていたという彼。
なぜか日本の文化が好き。
特に日本のアニメが尋常じゃないぐらい大好きという、変わったヤツである。
なぜか日本の文化が好き。
特に日本のアニメが尋常じゃないぐらい大好きという、変わったヤツである。
彼が子どもの頃にイタリアで放映されててよく観たアニメというのを次々と挙げるのだが、
ドラゴンボールなど日本でもよく知られたメジャーなものもあれば、
俺がまったく知らないようなマイナーな(しかも異様に古い)アニメもたくさんあり、
とにかく大量の日本アニメがいつのまにかイタリアに流れ込んでいたことを知って驚いた。
ドラゴンボールなど日本でもよく知られたメジャーなものもあれば、
俺がまったく知らないようなマイナーな(しかも異様に古い)アニメもたくさんあり、
とにかく大量の日本アニメがいつのまにかイタリアに流れ込んでいたことを知って驚いた。
その後、街を案内しようということで、彼と散歩に出る。
ハプンは海に面した港町で、背後には雪の残る山々も見え、なかなか綺麗な街だ。
街は1時間もあれば見て回れる広さではあるが、
その途中、いたるところでヴァレリオは知り合いに遭遇する。
その途中、いたるところでヴァレリオは知り合いに遭遇する。
どこぞのオッチャンに会っては、「彼には世話になったんだ。」と言い、
クルマに乗った女性に会っては、「彼女はフルートの先生だよ。」と言い、
女子学生たちに会っては、「彼女たちのサッカーチームのコーチをしたいと思ってるんだ。」と言う。
クルマに乗った女性に会っては、「彼女はフルートの先生だよ。」と言い、
女子学生たちに会っては、「彼女たちのサッカーチームのコーチをしたいと思ってるんだ。」と言う。
彼はイタリア語のほかには英語しか話さないのに、
その持ち前の明るい人柄で、3ヶ月の間にもうこれだけの人脈を増やしたらしい。
このイタリア人は、ハプンではちょっとした人気者なんだな。
その持ち前の明るい人柄で、3ヶ月の間にもうこれだけの人脈を増やしたらしい。
このイタリア人は、ハプンではちょっとした人気者なんだな。
次はスーパーに行く。
ハプンにはなんと、小規模ではあるがショッピングモールが存在する。
中にはスーパーの他に、いくつかのテナントも入っている。
スゴい!都会の空気!
ハプンにはなんと、小規模ではあるがショッピングモールが存在する。
中にはスーパーの他に、いくつかのテナントも入っている。
スゴい!都会の空気!
スーパーは広くて、今までの町じゃ売ってなかったような珍しいものがたくさんある。
たとえばコレ。
ニッポン…。
日本と何か関係があるのだろうか。
とても気になるので買って食うと、チョコをかけたライスパフだった。
うーん、なるほど、そうきたか。
ヴァレリオが何か食材を選んでいる。
チーズとかハムとか、トマトとか。
どうやらサンドイッチを作りたいらしい。
チーズとかハムとか、トマトとか。
どうやらサンドイッチを作りたいらしい。
でも2人ともアイスランド語をよく知らないので、
チーズやハムに書かれてある詳しい分類名が理解できない。
「とりあえず、コレにしとけば?」という感じで適当に選ぶ。
チーズやハムに書かれてある詳しい分類名が理解できない。
「とりあえず、コレにしとけば?」という感じで適当に選ぶ。
「アイスランドで売ってる野菜や果物は、ほとんどがヨーロッパからの輸入品なんだ。
だから大きな声では言えないけど、あんまり新鮮でいいのが無いんだよ。」
だから大きな声では言えないけど、あんまり新鮮でいいのが無いんだよ。」
アイスランドのスーパーは日本に較べて野菜コーナーが小さいとは思ってたが、なるほどなぁ。
学校兼事務所の建物に戻り、
職員用とおぼしき休憩所で手作りサンドイッチを作るヴァレリオ。
これもまた、ご馳走してくれた。
金を出すといっても「お金は大事にしないと!」とか言って出させてくれないのだ。
パンに色々乗せて挟んだだけのサンドイッチだが、そこそこ旨かった。
でもヴァレリオはこの味にイマイチ納得がいかないらしく、
でもヴァレリオはこの味にイマイチ納得がいかないらしく、
「ちょっとあっためてみるよ。」
と言い出し、そのサンドイッチを電子レンジに入れてチンした。
で、出てきたホカホカサンドを口にして一言。
「マズい…。」
コイツ、アホやな。
昼食が終わった後は、なぜか犬の散歩だ。
ヴァレリオが乗っているクルマは実はローザのもので、
その荷台部分には、3匹のシベリアンハスキーが格納されていた。
その荷台部分には、3匹のシベリアンハスキーが格納されていた。
今まで気づかなかった…。
ローザの愛犬であるこの3匹を散歩させるのが彼の日課ということで、
その散歩に付き合うことに。どーせヒマだし。
その散歩に付き合うことに。どーせヒマだし。
ハプンの街の突端、灯台が見えるあたりは、格好の散歩エリアだ。
ここで3匹のハスキーをクルマから降ろし、
手馴れた様子で順番に散歩させるヴァレリオ。
これは何かの拍子に俺がしばらくリードを持った時の写真。
食事中でも、街の散策中でも、犬の散歩中でも、
ヴァレリオはとにかくよく喋る。
日本人の知り合いとすらそんなに長々と喋る内容が思いつかないタイプの俺としては、
よくそんなに喋ることがあるなーと単純に感心してしまう。
よくそんなに喋ることがあるなーと単純に感心してしまう。
「あ、ボクが喋り過ぎだと思ったら、いつでも言ってくれよ。黙るから。」
自分でそう言うあたり、自覚はあるらしい。
でも、俺も今までは孤独な旅だったので、
こうしてアイスランドにいる外国人同士、つたない英語で話し合うのも悪くはない。
こうしてアイスランドにいる外国人同士、つたない英語で話し合うのも悪くはない。
ヴァレリオとは昨日今日と偶然遭遇しただけなのに、
いつのまにか結構仲良くなってしまっているのが、不思議といえば不思議だ。
いつのまにか結構仲良くなってしまっているのが、不思議といえば不思議だ。