5月15日(土)その1 エコっぽい旅

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今朝は5時起き。
ティッダとシッペは立派に留守番をしている。

雨はすっかり止んでくれた。
念のためにフラフンのパソコンを借りて天気予報を見ると、しばらくは大丈夫そうだ。

テーブルの上に書きおきと、1000クローナ札を置いておく。
「1日いくらで泊まれるの?」とオーナーであるブッパに聞いたら、400IKって言ってたからな。
2日分とチップということで。
本当はフラフンから「俺がコーヒーに誘ってクルマに乗せたんだから金はいらないよ。」とは言われてたんだが。
ちょっとした気持ちだ。

では、最初のゲストになる光栄に恵まれた、このビューティフルホステルを出るとしよう。

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さらばティッダ。
腹が減ってるとは思うが、もうちょっと我慢しててくれよ。
そのうちフラフンとブッパも帰って来るだろう。…たぶんな。


このロウガラウスからレイキャヴィークまでは大きく分けて3通りのルートが考えられる。

国道1号線を使うルートは4月の最初に通ったし、なんと言ってもアホみたいにクルマが多いのでパス。
シングヴェトリルの北側を通って首都に至る道は3日前に通った。
そうなると同じ道嫌いの俺としては、もう真ん中の山越えルートしかない。

途中でダートもあるし山越えはキツそうではあるが、他の道をもう1回通るよりは気分がいい。
この道だとレイキャヴィークまで100キロぐらいだ。2日ほどで着くだろう。

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さぁ出発!

お、ティッダ、お見送りしてくれるのか?

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うーん。
見送りと言うか…このままだと付いて来そうな感じだな。
ここは心を鬼にして、少しキツく言うしかなそうだ。

ほら、家に帰れ!

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あちゃー…。
あんなに言ったのに、距離を置いてずっと付いて来る。
この距離感がまたいじらしい。

でも、このままだと犬連れの旅になってしまうぞ。
ティッダが町に帰れるうちに、今度こそキツく叱って追い返すしかない。

思いっきり怒鳴りつけたらやっと町まで逃げ帰ってくれた。
こんなことはしたくなかった。

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追い風。直線。されどクルマ多し。
天気がいいのと1日じっくり休んだおかげで、調子はまずまずだ。

今日はどこまで行けるかわからないが、気楽に行けるとこまで行く感じでいいだろう。

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遥か前方にデカい山が見えてきたな。
まさかあれを乗り越えて行くことはないと思うが。

あの手の大きな目標物は、遠くにずーっとあるだけでなかなか近づいてこないんだ。

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路肩にツクシみたいなのが生えている。
アイスランドの『夏の始まりの日』とやらはもうとっくの昔に過ぎてるけど、
実際には5月の半ばになってやっと春が来たような感じだ。
これからはもっと緑も増えてくるのだろう。

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ロウガラウスを出て30キロほど。
ようやく分岐点が見えてきた。
まっすぐ行けば懐かしのセルフォスの街。
でもここは右に曲がって、あえて山越えルートを目指すぜ!

ところでこのあたり、別荘地というのかサマーハウスというのか、
こじんまりしたロッジ風の家があちこちにたくさん建っている。
これはたぶん首都圏の人々が所有する家なんだと思う。
前から思ってたけど、
アイスランド人ってサマーハウスとキャンピングカーを持つのが一種のステイタスなのかも知れない。

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進む方角が変わって急に追い風になった道のりを無心で進み、ようやく10キロ。
シングヴァトラ湖の南岸まで来たよ。
3日前はこの北岸を通ってゲイシールを目指したんだった。

ここでレンタカーに乗ったドイツ人の青年と出会う。
多いよなぁ、ドイツ人。なぜだ。
彼は旅行中で、あちこち走りながら彼女と合流する日を待ってるんだと。
へー、素敵なご身分ですね。

そんな彼、ユニサイクルの旅人なんか見たのは初めてだ、凄いアイデアだ!とやたらと感心してくれる。
彼自身も写真をバシバシ撮りながら、今まで何回ぐらい写真を撮られた?と聞いてくる。
えーと、そんなの数えたこともないな。
「数え切れないぐらいだよ。」と答えといた。

さて、ここからはダートだ。のんびり行こう。

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水力発電所。
アイスランドは水力と地熱ですべての電力供給を賄っているらしい。
石油がなくなって世界が大混乱に陥っても、この島の人々は普通に生き残るのかも知れない。

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ついにダート。さっそくのぼり坂。挨拶がわりだな。

クルマでダートを勢いよく走ってきたおばさんが、「乗っていく?」と声をかけてくれる。
いや、大丈夫。ありがとう。
アイスランドでダートを走るのもそろそろ最後かも知れないから、楽しんで行かせてもらうよ。

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石は多いが路面は固くしまっていて、そこそこユニサイクリングもできる。

道はこんな状態だが、首都レイキャヴィークまではあと40キロほど。意外と近い。
暑いけどいい天気だ。
重いリュックのせいで慢性的に肩が痛いのはどうしようもない。

そういえばここでもオフロード車に乗ったおじさんに「大丈夫か?」と声をかけられた。
珍しかったのは、そのクルマが対向車だったこと。
ダートロードとはいえ、対向車に声をかけられることはさすがにあまりない。

もし俺が疲れたから乗せてくれと言っていたら、
たぶん彼は反対方向にも関わらず乗せていってくれただろう。アイスランド人なら充分ありえる。

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ダートをたどって行くと、やがて湖の南岸に行き当たる。

子供用のオフロードバイクをクルマに積んで遊びに来ていた家族と少し話す。
近頃は人に会ったぐらいではそんなに話しこんだりしないのだが、
やはりバイクを見るとつい目がいってしまうな。

この家族のように、アイスランド人の夏の楽しみ方と言えば、やっぱりアウトドアがメインなのだろう。
キャンプとかハイキングとか、バーベキューとか。
他に何をするかって言うとあんまり思いつかないしな。

その点、冬は…ひきこもって本でも読んでるんだろうか。
外が一日中暗いと性格も暗くなりそうだ。1シーズンだけ実験してみたい。

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はい、今度は地熱発電所。

この辺は発電所が多い。
首都圏に供給する電力がまとめて作られているのだろう。

それはそうと、

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この先は峠が待ってますよー。

やっと15キロのダートが終わったと思ったら、今度は峠か。
いやいや、ここは峠がダートじゃなくて良かったと言うべきだな。

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なんか色々書いてあるけど、山越えルートの入り口だ。

冬期は5月1日まで除雪しないと書いてある。
ほぅ、わりと最近じゃないか。意外と雪深いのか?
でもこの天気だ。さすがにもう大丈夫だろう。

よっしゃ!
それじゃあ本日のメインイベント、山越え行くぜ!