5月15日(土)その2 首都へ
キテるね!さっそく15%。
これは否応なく期待が高まる。
これまでアイスランドでいくつもの峠を越えてきた。
やはり峠というのはこうでなくては。
やはり峠というのはこうでなくては。
あえてわざわざややこしい道を行こうとしている自分が、
今一体どんな顔をしているんだろうと思って、撮ってみた。
やっぱりおもしろい顔だった。
つづら折れに伸びる15%の坂道を、ひたすら歩いて登る。
さすがにキツい。
さすがにキツい。
でもここを登り切れば、今度はエクストリームな下り坂が待っているに違いない。
せっかくここに来たんだから、それぐらいの楽しみがないとな。
せっかくここに来たんだから、それぐらいの楽しみがないとな。
登りはじめて1時間。
やっと頂上らしきものが見えてきた!
やっと頂上らしきものが見えてきた!
ほー。
進んできた方角にはシングヴァトラ湖が見えるな。
それなりーの眺め。
じゃあレイキャヴィーク側はと言うと。
………。
まだまだ山があるんですね。
俺の勝手なイメージでは、峠の頂上に立った瞬間、
遥か遠くに首都レイキャヴィークと広い海が一望!!…という感じだったのですが。
遥か遠くに首都レイキャヴィークと広い海が一望!!…という感じだったのですが。
うーん、ガッカリである。
でもここまで登ってきた達成感というのはそれなりにある。
風が気持ちいい。
これは高山植物かな。
これまで花なんてあまり見たことがなかった気がする。
この季節のアイスランドに花が少ないのか、それとも自分に見つける気がなかったのか。
この季節のアイスランドに花が少ないのか、それとも自分に見つける気がなかったのか。
よし、気を取り直して下りだ。
下りもやっぱり15%。
ここからが楽しみで登ってきたようなものだ。
ほんじゃあ、出・発!
ほんじゃあ、出・発!
おおっ、スゲェ坂だ!案の定ブレーキが効かねぇ!
…あれ。もう終わっちゃった。
そしてしばらくフラット。そしてなぜかまた登り。
次は16%坂。
強烈な斜度ではあるが、やっぱり短い。
うーん…?
登ってきた道のような、一気に標高を下げる豪快な下りを期待していたんだが。
ひょっとして、期待ハズレ?
登ってきた道のような、一気に標高を下げる豪快な下りを期待していたんだが。
ひょっとして、期待ハズレ?
道は上がったり下ったりを繰り返しつつ、なんとなーく標高を下げていく。
ここにきて悟る。
ここにきて悟る。
失敗した…。
まさか、山越えルートがこんなおもしろくない道だったとは。
勝手な思い込みとは言え、残念だ。
ここはユニサイクル的には、逆方向に進んでナンボのルートだったなぁ。
勝手な思い込みとは言え、残念だ。
ここはユニサイクル的には、逆方向に進んでナンボのルートだったなぁ。
ゆるやかに下っていく道に沿って、地熱発電所から伸びる太いパイプラインがどこまでも続く。
たぶん発電所でできた温水を都市に供給しているのだろう。
人間では抱えられないほどのかなり太いパイプではあるが、触ったところで別に熱くはない。
実は羊の移動用パイプなのかも知れない。
結局、山はほとんど盛り上がりもないうちに下りきってしまった。
あとはこのパイプに沿って、
ひたすらまっすぐ20キロぐらい進めばレイキャヴィークにたどり着くハズだ。
今は17時半か。
今日中にレイキャヴィークまで行くとしたら夜になるな。
夜中に首都に着いてもしょうがないような気もするが。
それにしても寒いなぁ。
今日中にレイキャヴィークまで行くとしたら夜になるな。
夜中に首都に着いてもしょうがないような気もするが。
それにしても寒いなぁ。
ボンヤリと休憩しつつ、不完全燃焼だった山を振り返る。
彼女連れのクルマやバイクは何台か走ってたな。
エンジン付きの乗り物なら、急なアップダウンとワインディングが続くあの道はそこそこ楽しめるだろう。
問題は、なんであんなところを一輪車で行ったのかというところで、
これはもはや、誰にも文句を言っていくところのない、虚しい問いかけなのである。
エンジン付きの乗り物なら、急なアップダウンとワインディングが続くあの道はそこそこ楽しめるだろう。
問題は、なんであんなところを一輪車で行ったのかというところで、
これはもはや、誰にも文句を言っていくところのない、虚しい問いかけなのである。
わかってるよ。わかってるさ。
18時。
逆光の向こう側に、キラリと光る海を見た。
おお、あれはひょっとしてレイキャヴィークでは!?
19時。
なんにも変わってないようにも見えるが、
いや、俺には見える!
逆光の向こうに、レイキャヴィークの街が!!
19時半。
おもむろに直線道路が終わった。
このまま道なりに進んで行くと最後にはクルマの多いリングロードにぶつかってしまうので、
どこか気の利いたところで右折して、ダートの中を行くショートカットロードに入らねばならない。
どこか気の利いたところで右折して、ダートの中を行くショートカットロードに入らねばならない。
だが地図がボロいのか俺がボロいのか、その道がイマイチよくわからないのだ。
焦った末に、薄暗くて誰も通らなさそうなボロボロの道を曲がってしまう。
焦った末に、薄暗くて誰も通らなさそうなボロボロの道を曲がってしまう。
20時15分。
ボロい道は、高台に建つ何かの工場で行き止まりになってしまった。
でもホラ、もうすぐそこに街が見えるんだ!
すぐ近くにあるのに、どうやったらそこに行けるんだ!
すぐ近くにあるのに、どうやったらそこに行けるんだ!
あちこち探し回った末に、どこかに通じてそうな砂利道を発見。
このパイプをたどって行けば、たぶん街に着けるハズだ。
そう信じて進むことにする。
ダートを走っていて石に引っかかり、珍しく大転倒する。
いかん、どうも焦ってるな。
しかし、こんなところで道に迷うとは…。
やっぱりクルマが多くてもわかりやすいリングロードから行くべきだったか。
やっぱりクルマが多くてもわかりやすいリングロードから行くべきだったか。
20時半。
目の前が突然開けた。
あ、街だ。
やった、なんとか着いた。
やった、なんとか着いた。
最後の急坂を一気に走り下りて街を目指す。
でもここ、一体どこ?
お、ちょうどいいところに、モトクロスバイクに乗った少年とその弟らしき幼児が。
俺が走ってきたダートでモトクロスの練習でもした帰りかな。
さっそく彼らに現在地を聞いてみるとしよう。
でもここ、一体どこ?
お、ちょうどいいところに、モトクロスバイクに乗った少年とその弟らしき幼児が。
俺が走ってきたダートでモトクロスの練習でもした帰りかな。
さっそく彼らに現在地を聞いてみるとしよう。
「ヘイ、ボーイズ!ちょっと聞きたいんだけど…。」
ゴ、ゴメン!!2人とも女の子だった!!
第一印象が悪かったのか俺は彼女たちに思いっきり警戒されていたが、とにかく現在地は教えてくれた。
そりゃあそうだろう。
観光客が絶対に通らないような怪しいところからおもむろにユニサイクルガイが出てきたら誰だって怖い。
そりゃあそうだろう。
観光客が絶対に通らないような怪しいところからおもむろにユニサイクルガイが出てきたら誰だって怖い。
どうやらここはレイキャヴィークの中でも北東のエリアだ。
大体俺が思っていた通りの場所に出てきたことになる。
じゃあ、あんなワケわからん寂しい道でも一応は正解だったんだな。
ともかく、レイキャヴィークには着いた。
まずはどこかで一息つきたいものだ。
風が強くて寒い!
まずはどこかで一息つきたいものだ。
風が強くて寒い!
おおっと、24時間スーパーを発見!
さすがは首都だ。
さっそく突撃!
スーパーで飲み物と食料を買い、店の外で食べる。
はぁ。ようやく落ち着いた…。
はぁ。ようやく落ち着いた…。
さて、と。もう21時だ。
これからどうしよう。
これからどうしよう。
どこかでテントを張るとしたら、街に入る前だった。
レイキャヴィークのような都会では、さすがにその辺でキャンプというワケにはいかない。
どこかのベンチで寝ようかとも思うが、それにしても今日は寒い。
壁に覆われたバス停の中のベンチがとても魅力的に映る…。しかし、これは最後の手段だ。
レイキャヴィークのような都会では、さすがにその辺でキャンプというワケにはいかない。
どこかのベンチで寝ようかとも思うが、それにしても今日は寒い。
壁に覆われたバス停の中のベンチがとても魅力的に映る…。しかし、これは最後の手段だ。
よし、こうなったら普通にキャンプ場に行こう。
レイキャヴィークのキャンプ場はここから少し遠そうだが、寒い思いをして寝るよりはいい。
レイキャヴィークのキャンプ場はここから少し遠そうだが、寒い思いをして寝るよりはいい。
22時。
5月のアイスランドの遅い夕暮れだ。
これがなければ、一周するのにもっと時間がかかっていたことは間違いない。
あぁー疲れた。
でも、もうレイキャヴィークにいるんだ。あともうちょっと。
22時40分。
あ、この場所は…。
ここ、知ってる。
今から下ろうとしているこの坂を、アイスランドに来てまだ2日目の俺は上がって来たんだ。
その日はイースターの祝日で、このあたりで自転車の集団が通り過ぎて挨拶を交わしたんだった。
今から下ろうとしているこの坂を、アイスランドに来てまだ2日目の俺は上がって来たんだ。
その日はイースターの祝日で、このあたりで自転車の集団が通り過ぎて挨拶を交わしたんだった。
そうか。
アイスランドを一周したんだな。
アイスランドを一周したんだな。
大きな道がクロスするここも来たなぁ。
今いるこの場所に座り込んで、観光案内所でもらったペラペラの地図を睨みつけていたものだ。
そして、この道を横断して先へと進んだ。
そして、この道を横断して先へと進んだ。
今にして思えば危ないことをしてたよ。
ちょっと探せば横断歩道から安全に渡れたものを。
それに俺はこの高速道路みたいなところをクルマと一緒になって走っていたんだ。
今の俺なら、ちょっと遠回りでも安全な道があることを知っている。
ちょっと探せば横断歩道から安全に渡れたものを。
それに俺はこの高速道路みたいなところをクルマと一緒になって走っていたんだ。
今の俺なら、ちょっと遠回りでも安全な道があることを知っている。
あれから40日。
アイスランドを一周する旅を通じて、それなりに知識と経験を積んできた。
今ではマトモな地図も、防寒着もある。
アイスランド語はいまだにサッパリだが、なぜかプチ有名人にはなった。
アイスランドを一周する旅を通じて、それなりに知識と経験を積んできた。
今ではマトモな地図も、防寒着もある。
アイスランド語はいまだにサッパリだが、なぜかプチ有名人にはなった。
とりあえず、一周は達成したんだな。
感慨は、意外とない。
感慨は、意外とない。
そこからさらに進んで、ようやくレイキャヴィークのキャンプ場にたどり着いた。
キャンプ場はやっぱりオープンしてなかったが、
この時期はその隣にあるユースホステルが窓口を兼ねているそうで、
そこで1000IKを払うことであっさりとテントを設営する許可が下りた。
この時期はその隣にあるユースホステルが窓口を兼ねているそうで、
そこで1000IKを払うことであっさりとテントを設営する許可が下りた。
ここがまた素晴らしいところで、
キャンプ用に1000IK払うだけで、ユースホステル内の宿泊以外のすべての設備を使えるのだ。
飲み水やトイレ、シャワー、キッチンもあるし、コンセントも使える。
こちらは有料だがコインランドリーやインターネットもあって、もう至れり尽くせり。
キャンプ用に1000IK払うだけで、ユースホステル内の宿泊以外のすべての設備を使えるのだ。
飲み水やトイレ、シャワー、キッチンもあるし、コンセントも使える。
こちらは有料だがコインランドリーやインターネットもあって、もう至れり尽くせり。
これから数日間は首都レイキャヴィークを満喫しようと思っているので、
そのベースキャンプとしてここは非常に利用価値が高いだろう。
そのベースキャンプとしてここは非常に利用価値が高いだろう。
ガラガラのキャンプ場の隅っこにテントを建てたら、もう日が変わる時刻だ。
ブッパの家のあるロウガラウスからレイキャヴィークまで、結局1日で着いてしまった。
ブッパの家のあるロウガラウスからレイキャヴィークまで、結局1日で着いてしまった。
今日の走行距離、100キロ。
獣のように走ったよ。
獣のように走ったよ。