S.S.R

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昨夜泊めてもらった村上邸を出る。
出勤途中の彼は、俺を昨日クルマでピックアップした地点の近くまで乗せていき、そこで下ろしてくれるのだった。
さすがにわかっていらっしゃる!
これで日本縦断旅の再開だ。

実は10年前のバイク日本一周中に彼にもらった赤いフリースを、先日の北竜町あたりで紛失した。
そしてこの時彼は、今度は黒いフリースを俺に手渡してくれるのだった。
おぉ、2代目!
北海道もあったかくなったとは言え、夜はまだまだ冷える。
なんと、ありがたくも心憎い演出であろうか。
またすっかりお世話になってしまった。
ほなまた!

出勤ラッシュの国道を2時間も走ると、そろそろ札幌市を出る。
次は小樽。
しかし、それは長い峠を越えてからだ。

地元の自転車乗りに愛されているらしいこの峠は道が良く、歩道も綺麗に整備され、進みやすい。
俺も2晩連続で条件のいい寝床を確保して栄養も取ったおかげか、なかなか調子よく峠を歩いて登る。
長い登りが終われば、ようやく楽しい下りのスタートだ。

ところで最近、ひとつ賢くなった。
そもそも一輪車というのは、乗ってまっすぐ走っている分には、案外と力を使わずにすむ。
しかし、乗ったり降りたりする瞬間には、わりと結構な衝撃がかかるのだ。
もちろん平常時ならばまるで気にならない程度ではあるのだが、
今は体調はいいとは言え脚の疲労は取りきれず、しかも重いザックを背負ってるときている。
実際、疲れている時ほど、飛び乗るのに失敗して落車する確率が増えていたのだ。

そこで、最近の学習。
日本の道路には、しばしばガードレールや壁などの人工物が設置されている。
そこを手スリとして利用し、ゆっくり跨がってから走り出せばいい。
そう、一輪車の初心者と同じスタート法だ。

アイスランドでは人工物が極端に少なかったので、疲れていてもこんな方法は考えもしなかった。
だが、やってみるとコレはイイ。実にイイ。
しかし…。
唯一の難点は、見た目がカッコワルイのである。
日本縦断中とか書いてるユニサイクリストが初心者乗りかよ!
そう思われているに違いない。気がする。自意識過剰な年頃。
まぁ実際にやっていることだから、言い訳はすまい。
しかし、この有効で素晴らしい技をクールに表現すべく、
せめて何かカッコイイ名前をつけてやろうじゃないか。
で、つけた。

ソフト・スターティング・レボリューション(S.S.R)!!

…察してくれ、結構ヒマなんだ。

さて、峠の頂上から、編み出した必殺技SSRを繰り出して出発。
長く登ってきたぶん、長い下りだ。
スタイルキメキメの自転車乗りに何度も抜かれ、しまいにはスタイルバリバリのランナーにも抜かれる。
一輪車は歩くよりは速いが走るよりは遅い、という法則を改めて突き付けられた。

もうじき下りも終わろうかと言う頃、正面からまた自転車が登ってくるのが見える。
さほどキメキメでもないあの背格好は、やはり旅仲間、タコカレ氏であった。