東京!神保町!!

渋谷から神保町は、方角的には北東で、逆戻りになる。
電車に乗って戻ることに障害はない。

不穏な雰囲気を漂わせるマウンテンユニを輪行バッグで覆い、
今日は朝から雨なのにあえてつけてなかったザックカバーを、今かける。そして電車に乗る。
これで外見上、『日本縦断一輪車男』を示すものは何もなくなったのだ。
フフ…すべて計算どおりである。
決して少なくない車内の人々が、大荷物にメットをかぶった俺をどう見たかは知らない。

歩きではきっと間に合わなかった神保町は、電車だとアッ?という間だった。
勤める会社がたまたま神保町にあった中田氏も同行してくれたので、実にスムーズに到着。
ここで待ち合わせの時間まで、彼とコーヒーを飲むことに。

神保町で会う約束をしているのは、田内さんという、未だ会ったことのない人物だ。
詳しくはわからないが出版の世界に身をおいている人で、
ネット経由ではなく知り合い経由で俺のアイスランド旅行の話を知り、そして出版の打診をしてくれたという、正直珍しい人である。
今回は俺が一輪車でノコノコ東京までやって来るというので、ようやく直にお会いする機会ができたというわけだ。

待ち合わせの場に現れた田内さんは、想像していた線の細い感じではなく、決して大きくはないが、ドッシリとした風貌。
神保町はランチの町です、どんなメニューでもありますが何が食べたいですか?と聞かれ、咄嗟に中華と口走る俺。
こういう時はなぜか中華が口から出やすい。中華つよし。

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中華は中華でも、ちょっとまぁ本格的なヤツでビビった。
食事のテーブルには、俺と田内さんの他に、ベテラン編集者とお見受けした畠山さんという方、
そして出版つながりで興味を持ったとのことで許可を得て参加してもらった中田氏の、計4人がついた。

東京のビジネスマンたちが、立って名刺を交わすシーンを間近で見られたのがとても嬉しい俺。
俺も一応、こんなんでいいのか…と思いつつ、『キケンジ』と書かれた名刺を苦しまぎれに提出。
やったぞ、俺もこれでなんとなく…なんとなく…。

そして会話は、マジメに出版に関する話なのである!
平たく言えば、俺は何を言っていいやらわからず寡黙気味、せっかくの中華の味も覚えていない。
ましてや写真を撮ることなど思いつきもしなかったが、さすがプロ中田、いつのまにか撮られてた。
俺は結局、聞かれたことを弾かれたように、かつたどたどしく喋っていただけのような気がする。

これからアイスランドの本を出しますよ、という話では全然ないのだ。
アイスランドを一輪車で一周したという記録が書籍になりうるかどうかを、
田内さんの仲介によって、プロの編集者を交えて検討していただいた、といったところか。
ヒトゴトみたいに言っているが、実は俺の情熱次第なんだろうか、という気もする。

情熱かぁ…。
情熱なぁ…。

そんな感じで、ドキドキの中華会談、終了。

神保町で田内さん、畠山さんと別れる。田内さんとは今晩また会うことになりそうだ。
俺はそれまで何をしてようかなーと考えていたが、
なぜか複数の人々にアツくすすめられているスカイツリー見物ってやつに、この際行ってみるとしよう。

あいかわらず雨だ。スカイツリーはさらに東の墨田区で全力逆方向だ。
よし、電車だな。人間、慣れというのは怖ろしいものだ。

今日は時間があるとのことで、スカイツリー探訪にも付き合ってくれるらしい中田氏。
え、仕事は大丈夫なのだろうか…などと一瞬よぎったが、大丈夫、彼なら道端のヨモギを食ってでも生きていくであろう。