これが、箱根。

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

イメージ 5

イメージ 6

イメージ 7

イメージ 8

箱根湯本の、随分と立派な宿を出る。
旅人の心を知る中田氏の粋な取り計らいのおかげで、
温泉に浸かり、リラックスルームで熟睡し、いい環境でブログも書けた。
ありがたい。これで箱根に挑む準備は万端である。

国道1号線まで出て、世話になった中田氏と別れる。
ここからは、ついに箱根の峠だ。

案の定、町を出てすぐに歩道がない。これは予想どおり。
それより、暑い1日になりそうだ。
道はウネウネとカーブを繰り返しつつ、どこまでも上り坂が続く。
この道を15キロの荷物を背負って延々と上る行為は、登山を思わせる。
これが箱根か…。
想像と実体験は、質が違う。

非常に暑い。気温は28度。
山道なので木陰が多いのが救いだが、それでも汗が止まらない。
大平台のヘアピンカーブがある地点で、たまらず最初の長い休憩をとる。

とにかく、暑いのをなんとかしなくては。
普段はTシャツの上に着ているメッシュジャケットを、ついに脱ぐ。
日焼け防止と安全性、あとは携帯などの収納のためにずっと着てきたジャケットも、この暑さにはかなわない。
ズボンも膝から下を取り外し、これでTシャツ短パンの身軽なお兄さんに変身だ。
さらに、那須塩原市でトラックの運ちゃんに貰って大事にキープしておいたリポビタンDを、ここで飲む。

ここらへんですでに、この峠が今回の旅で最大の難所であることは間違いないと確信した。
できることはすべてやる。
ここ一発のアイテムを使うのは、ここしかない。

薄着になったことで、少しは暑さが和らいだ。
あまり広いとは言えない路肩を、頻繁に迫ってくるバスやトラックの音に神経を集中させながら進む。

箱根の峠を人力で上っていく人間は、俺だけではない。
キメキメの自転車はよく見るし、歩く人、走る人、なぜかママチャリを押して上がる人、いろいろだ。
俺も朝からまったく一輪車に乗らずに歩き続けているので、歩く人に分類されるな。
それでも背中の日本縦断看板のおかげか、クルマや自転車からたまに声援を受ける。
とあるキメキメチャリダーが追い抜きざまに、
「お疲れさまです!」と声をかけてくれた。
がんばってください!が定番なので、これは新鮮だ。何かを共有している感じがする。
しかし、いつもはレーザーのように俺の横を走り去るロード用自転車も、さすがに箱根の坂には苦労している。フッ、カメのようだ。
まぁ、歩いてる俺よりはよっぽど速いんだが。

キツいながらも、だんだんペースがつかめてきた。
宮ノ下、強羅と、温泉地を順調に越える。
ずっと何もない山道が続くのではなく、
こうして時々小さな温泉町があって休めるのがありがたい。
いつのまにか標高もだいぶ上がってきたようで、風が涼しい。
気温23度といえば、出発した地点と5度も違う。

芦之湯という地点で、再び休憩。
今度は東京で大将さんに貰ったブドウ糖の粒と、昨日マイケルさんがくれたゼリー状の栄養食を摂取。即エネルギーって感じだ。
暑さと疲労で消化力が落ちているので、流し込めるこの手の食料は助かる。
問題は、最後の切り札であるマムシグロンをいつどこで飲むかだが…。

芦之湯を出て少し急な坂を上がり切ると、おもむろに標識が。
国道1号線の最高地点、874メートル。
おや?道のりとしてはまだ半分も来てないハズだが、もう最高点か。
それじゃあこれから先、どう考えても上りより下りのほうが多いな。

苦節10数キロ、ようやく俺の出番が回ってきたようだ。
最高点からの下りを、本日初のユニサイクリングで滑降。
歩道はあったりなかったりだが、クルマの数はひっきりなしというほどではない。これなら車道も可とする。
急な坂を一息に走り下りると、そこはもう芦ノ湖だ。

3年前にも確かにやってきたこの湖。
今と同じような感じでブログを書いた場所や、買い物をしたコンビニがわかる。
懐かしいが、あまりのんびりもできない。
写真を撮って少し休憩し、すぐに出発。

芦ノ湖からは、また上りになる。
だがすでに最高点を制覇した俺としては、気分的にはもう大したことはない。
日本屈指の長く険しい峠。でもそう、ここはやはり日本だ。

外国の知らない土地の旅では、常に張りつめている緊張感のほかに、
どこか、違和感と疎外感を足して2で割りそこねたような気配を感じるものだ。
しかし、ここは日本。
木々のカタチも風景も見慣れたもので、ここでいくら疲れ果ててもなんとかなるという気になれる。

箱根峠の道の駅についた。
15時前か…少し急いだほうがいいだろうか。
さっきの下りでブレーキの効きに不安を感じたので、話しかけてくれる人々と会話しつつ、念入りに調整する。
これまではあまり気にならなかったが、やはり箱根の長くて急な下りにおいては、ブレーキの性能は死活問題だ。

最高点を越え、芦ノ湖をパスして、道の駅まで来た。
よし。
次はいよいよ、本格的な下りが始まるハズだ。