下降!

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海から出発して海へたどり着く旅だから、上った分だけ必ず下る。

なんだか長かった気のする神奈川県から、静岡県へ。
そしてここからは、純然たる下り坂であろう。

事前に聞いていたとおり、国道1号線の静岡側には歩道がある。
今まで歩いて上がってきた苦労が報われそうな予感だ。
よし、滑降開始。

おーーーっ、速い!
チマチマ上げてきた標高が、ズルズル下がっていく。
上りはどうせ歩きだから路側帯でもいいが、下りが歩道だとまるでスピードが違う。
これが逆なら悲惨なところだった。
北から南へと向かう今回の旅は、出発が予定より2カ月近く遅れたせいもあって、季節、風向き、気温、天候などどれをとっても我ながらウーン?と首をかしげたくなる。
しかし、ここ箱根に関してだけは、この方向で正解だ。
北から南でよかった!

箱根の静岡側はほとんどきっちりと歩道があり、ユニサイクリングを楽しむには申し分なくオススメだ。
途中、草が生えまくってるのをのぞけばな…。
草がバンバン伸びる季節だし、1日に1人通るかどうかわからん歩道のために、そう頻繁に草刈りするのも大変だろう。
だから苦情を言うつもりはないのだが、これは実際、なかなか厄介なのである。
しかも今日に限って例外的にTシャツ短パン、近所のコンビニに買い物に来た30代フリーターの格好で走っている俺。
そのまま草むらに突っ込めばどうなるかは目に見えていた。
痛い、そして痒い。実は肌は弱い。

写真を撮ったり圧倒的な雑草群を前に躊躇したりするほかは、ひたすら一輪車に乗って走り下りる。
こんなに長い下り坂を走るのは初めてかもしれない。
おかげで、上りには5時間かかったのに、2時間で下りてきてしまった。早っ。

しかし、ノリノリで麓まで下りてきたら、モモやヒザがガクガクになっているのに気づく。
うわ、やり過ぎた。
上りの登山じみた筋肉疲労とはまた別種のダメージが!

まぁとにかく、箱根越えは達成したらしい。
予想より上り区間が短かった感触だが、それでもさすがに天下の険、苦しい場面も多かった。
そのたびに、雨よりはマシ!とか江戸時代よりはマシ!などと自分を洗脳して前に進んだ。
そんな1キロ1メートルが、きっと未来の力になる。

さて。
箱根の長い下り坂の余韻もようやく消えてきたかという、三島市のこのあたり。
なぜか、歩道が石畳である。
看板が立っている。拝見すると、ザッとこんな風なことが。

『旧東海道の面影を今に残すべく、このあたりの歩道は、思いきって石畳にしちゃいました! 三島市』

「勘弁してください。 キケンジ」

走りにくいよ!
ほら、地元の人々だってわざわざ道の端っこの狭い平らなとこを選んで歩いてるし!
俺が三島市から立候補した議員なら、まずはこの道をなんとかする公約を掲げることだろう。
東海道の面影を今に残すのは賛成なんだがな。ワガママなユニサイクルツーリストもいたもんである。

三島市の高台から、沼津の街、そして海が見える。
天気が良ければきっと富士山まで望めるのであろう。
激しい峠越えの余韻と疲れを引きずりつつ、三島市街を抜け、沼津へ。

沼津の大型スーパーのベンチでボーッと佇んでいたら、
店員のおじさんと客のおばさんの二人から声をかけられた。
どちらもいつもどおりに、どこから来たの、どれぐらいかかるの、といった定型文的質問をしてくるが、やはりこの辺の人は違う。
「箱根を越えてきたの?」と聞いてくれるのだ。
今日越えてきましたよ…しんどかったよ…。

おばさんは、「パワーをもらっちゃったわ!ワタシ最近パワーがなくって…」と言いつつニコヤカに去っていき、
いつのまにか居なくなっていた店員のおじさんは、再登場したと思ったらホカホカの鯛焼きを手渡してくれ、俺にパワーをくれるのであった。

沼津からはしばらく国道1号線を行かず、海沿いを走ってみようと思う。
静岡を走るなら海沿いのサイクリングロードがいいよ!と3人ぐらいの人に言われたので、さすがに興味がわいたのだ。
今夜はサイクリングロードの起点にある千本浜公園で寝ようと思って来てみたが、直感的にあまり好みの寝床ではない。
結局、夜のサイクリングロードをしばらく走って、24時間営業のショッピングモールの軒を借りて眠りにつくのであった。

走行は…51キロか。
はぁ。今日は、疲れた。