神戸

昨日はいつのまにやら65キロも走っていた。
いくら関西が北海道・東北より狭いとは言え、
さすがに京都・大阪・神戸の三都物語を一日でユニサイクリングすると、それぐらいにはなるんだな。

海岸沿いにある神戸新都心のベンチで少しだけ寝るつもりが、起きたら6時だった。
おっと寝すぎた。これだけ寝てればそりゃ蚊にも刺されまくるわ。かゆい!
さぁ、急がねば。

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近くにある新聞屋まで激走。
新聞屋は朝が早いので6時過ぎではもう誰も居ないかと思ったが、まだ居てくれて助かった。

突然現れて驚かそう企画第2弾は、学生の頃に住み込みで働いていたこの新聞屋だ。
今度こそ、狙ったとおりのリアクション!…というには、ちょっと普通だったか。
チッ、昨日のタッキンといいこの新聞屋の面々といい、
みんなそろそろ俺がおかしなタイミングで現れても驚かない体質になってきているらしい。
慣れてきやがったな!

まぁ北海道から一輪車で2200キロぐらい走ってきたよと言っても、
それがどんなもんなのか、実際よくイメージしにくいだろうしな。つまりはインパクトが薄い。
やはり、背中に羽根をつけてパラシュートで降りてくるぐらいのことをやらないとダメなのか…。

ビックリ企画が2回とも中途半端に終わったところで、神戸市灘区はとっとと去ります。
今日中には実家に着くだろう。あと40キロぐらいかね。

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はい神戸です。って感じのところを撮っておく。

神戸は観光地がコンパクトに一極集中しているので、
これ一枚で全神戸っぽさがほんのりと醸し出されるのが大変よろしい。

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何これ、川崎重工?
JRの線路から電車を直接出し入れできるらしい。
鉄道好きでもなんでもないんだが、好きな人が見たら喜ぶかなと思い、陸橋の上からなんとなく撮る。

バイクで走ってるだけでは気づかない光景が、地元神戸にもたくさんあるものだな。

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コンビニ休憩中。
日本を旅しているといつも思うのは、クルマのナンバーを見ると移動した実感がわくということ。
逆に言えば、都会の風景などはもはやどこもあまり変わらないわけだ。

飽きるぐらいに見慣れた神戸ナンバーを前にすると、もうすでに実家に着いたような気にすらなる。
だがあと数十キロ、まだ気を抜いてはいけないのだが。

再び走り出したところで、スッとスポーツドリンクのペットボトルを差し出してくれた人がいる。

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さっきのコンビニで俺を見かけて、クルマで追ってくれたようだ。

そこにいるのが普通の地元なのに、こうやって応援してくれる人がいる。
そうか、やっぱり今の俺は、一輪車で旅をしているのだった。
おかげで気分がシャキッとした。
あともうちょっと、気合い入れて走るぜ!

あ。
この時はじめて、スボンの股の部分が裂けていることに気づく。
この部分は特にハードに使ったからなぁ。
しかし問題は、いつから裂けていたかということだが…。
えーい、そんなことは知らん!

兵庫区、長田区、須磨区…神戸市の旅は続く!!

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…っておい!
どうせならもっと早く言ってくれ!!

昨日は日曜、今日は地元・神戸だ。
どちらも見栄を張って、できるだけ歩いているところなどは見せたくないシチュエーションである。
そうなると、次のコンビニが来るまでは走る!というコンビニ駅伝方式の進み方になるわけだ。

明石海峡大橋の見える垂水区のコンビニで止まると同時に、家族連れのお父さんが話しかけてきた。
自転車の整備士の資格を持っているといい、俺のマウンテンユニサイクルに興味を惹かれている様子。
一輪車についてツッコんだことを聞かれると俺も嬉しくなるもので、聞かれるままにペラペラとしゃべる。
そして彼が自然にスッと差し出したモノを受け取ると、これが千円札。

ぐわっ、しまった!!

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仲の良さそうな家族である。

それはそうと、またしても金を受け取ってしまうとは。
現金をもらうと本当に困惑してしまうのだが、だからといって断固拒絶するほどの理由もまたないのが難しい。
相手もきっと、俺が貧乏そうだからお金をくれるのではなく、
旅を応援したい、自分の夢も乗せていって欲しい、そんな気持ちからの行動なのだと思う。
でもなぁ。どうしたもんか。
うーむ、旅に出る前はこんなことで悩むとは想像すらしなかった。
幸せなことではある。

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同じコンビニで、さらに青年に話しかけられる。

フィジーなどで海外放浪をした後、日本に戻って営業の仕事に就いた。
でも、淡々と過ぎていく毎日がつらくてしょうがない。どうすればいいでしょう!?とのこと。

おそらく…、毎日が淡々としているのは非常に当たり前のことで、
毎日いろんなことがある、旅のような日常のほうがおかしい。
毎日がつまらないのはそれだけ安定しているということ。いろんなことが起こる日々は逆にいえば忙しく、次第に消耗する。
人間が生きていくにはどちらも必要だと思うから、できる範囲で交互に楽しんでみては。
そんなことを言った気がする。
でもたぶん、彼はここで俺などに出会わなくても、好きなように動くことができるのだろう。
そんな気がするよ。

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明石海峡大橋!

やはりココには寄らないとな。

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むこうに見えるのは、淡路島。

でも淡路島は道が細いんだ。
自転車で行っても怖い思いをするらしいというのに、一輪車なんかで行くと3分で海にハマりそうだ。
行かないぞ!…行かないからな!

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国道2号線はそのうち、鯛で有名な明石市に進入いたします。
おや、ポツポツと雨が…。
昨日はもちこたえてくれた分、やはり今日は降るか。
もう実家は近いし、どうでもいいといえば、いい。

ところでさっき、西明石の川崎重工(kawasakiのバイクの故郷だ)近辺において、
ユニサイクルで激走する俺を、二本足で走って追いかけてきた人がいた。
あっさりと追いつかれたショックを押し隠しつつ話を聞いてみると、
彼は神戸新聞という地元紙の記者さんで、たまたま『日本縦断中』を見かけて走って追ってきたとのこと。
凄まじい記者魂である。大したスクープでもあるまいに…。
そして後日、改めて取材を受けさせてもらうという話になってしまった。

ふーん、新聞かぁ。
新聞の取材は去年、アイスランドから帰国した時に経験したことがある。
あの時は初めてのことだったので興味深く、かつソワソワしたものだったが、2度目となるとな。
しかも今どき一輪車の日本縦断ぐらいで記事になるのか?と変な心配もしたりする。

おっと、そういえば、アイスランドの取材は読売新聞だった。
あれはそもそも、学生時代に勤めていた新聞屋の奥さんがおもしろがって本社にタレこんだのがキッカケだ。
新聞業界のことはよく知らないが、前の取材が読売で、今度は神戸新聞というのは、何か問題があるのだろうか。
一応、新聞屋に聞いてみよう。そう思ってメールをしておく。

しかし。
「神戸新聞の取材を受けても大丈夫なのか?」
と聞いただけなのに、
「じゃあこの際、神戸新聞と読売新聞の両方から取材を受けなさい。また電話しといたから。」
というように、事態が大変複雑になって返ってきたのには心底驚いた。

うわ…。
また地方紙の地方欄を慎ましく飾ることになるのか…。
あれはプロの記者に色々と厳しく聞きこまれるのが意外としんどくてな…いやそんなことより、まずは無事に家までたどり着かなくては!

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さぁあともうちょい、本降りが来る前に、それなりに急ごう!

しかしここまできて、さらにちょっとした事件が。
青信号を渡って細い歩道に入ろうとしたら、前から自転車が来るのが見えた。
これは交差できないと判断し、いつものように一輪車から急速降車しようとしたら、
靴底がペダルのピンにひっかかったか、足が離れずにそのまま尻モチをついてコケた。

スピードも遅いのでケガも何もしていないが、
この旅で初めてマトモに転倒したことに、ショックを受ける。
それも交差点内だ。
状況によっては危険なこともあっただろう。

今までは「一輪車は上手じゃありません!」で押し通してきたが…。
これは、神戸から再スタートするまでには、それなりにうまくなってないとな。

自分で言うのもおこがましいが、俺は今、『一輪車で長旅をする第一人者』であると言える。
なんせ他にやる人がいないからな。
そんなヤツが旅の途中で事故に遭ったりすれば、一輪車での公道走行について、後々問題になることがあるかもしれない。
せっかく見つけた一輪車旅という新しい楽しみ方が規制されてしまうのは、ちょっと残念ではある。
よし、やっぱり、もうちょっとスキルを上げておこう。
いい目標ができたぞ。
オトナはモチベーションを高めるにも、いちいち手続きが必要なのだ。

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うおっ、あと数キロというところで、雨!
ついに降ってきやがったか!いやいや、今までよくもってくれたよ!

梅雨のシーズン真っ盛りだというのに、本州に入って以来、ほとんど雨に降られてなかったからな。
そのぶん暑さに苦しんだとは言え、やはり雨よりはよかった。
最後にちょっと降られるぐらい、祝福のシャワーみたいなもんか。

そしてここで早速かかってくる、読売新聞記者さんからの電話。
実家を目前にして、走りながら電話する俺。このへん、田舎道ですから。
記者さんはどうやら早目に取材してしまいたいようなので、数時間後に家まで来てもらう約束をする。

そして実家に着き。
シャワーだけ浴びて、寝てしまわないうちに取材の準備にとりかかるのであった。

あ、今日の走行は42キロ。
宗谷岬から神戸の実家まで、2194キロでございました。

なんだか、あわただしいなぁ。