屑風に光る

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国道を外れていたので気がつかなかったが、
いつの間にか立っている場所が岡山県から広島県に変わっていた。
とはいえ、ここは横に長い広島県の東端にある福山市。
広島まではまだ100キロほどある。

今日は、これと言った目的がない。
人に会うとか、どこまで行くというような。
例えば初日や昨日などは、野宿に便利な道の駅にたどり着くために夜もガンガン進んだ。
だが今日は、ここから到達できる範囲に道の駅はない。

道の駅は設備が整っているから寝やすいというだけで、ないならないでいいのだ。
寝るだけならわりとどこでもいい。

しかし、だからこそ今日は、
自分を前に進めようという動機が薄いのである。
つまり、やる気が出ない。

長い旅になると、こんな現象は時々どうしても起こる。
楽しいことばかりではなくて、
しんどいことや退屈な時間などが積み重なって、
やがて「長かった旅の記憶」が形成されるのだ。
旅の楽しいところだけを選んで経験できたとしたら、
それは都合よく編集されたイメージビデオを観ただけのことと変わらない。

こんなときは、気持ちを切り替えるのもいい。
最短ルートである国道から1本裏に入り、
繁華街や商店街、ただの裏通りなどを歩いてみる。
福山の繁華街は昼間は閑散としていて、夜の賑わいが想像できない。
市街地を過ぎると今度は小さな町工場や漁港が次々と現れ、
その町並みは幹線国道では感じられない小粒で雑多な変化を見せる。

ときどき考えごとをしながらゆっくり進んで、
次の尾道までやって来た。
夕方を終えてもはや夜だが、外で寝床を探すにはまだ早い時間だ。
このギャップはどこかで時間をやり過ごすか、さらに移動するかして解消するほかない。
意外と長いアーケード街を歩きながら、脚はさらに西へと向かう。

風が少し強く、結構冷たいのだ。
立ち止まっていると寒い。
しかしユニサイクリングを続けると暑いし、夜中に汗をかいてしまう。
今は歩き続けるぐらいのペースがちょうどいいらしい。

狭くて暗い海沿いの道をさらに歩き、
ついに明りの灯る三原市街までやって来た。
ここで早速、そこそこ条件のいい公園を発見。
すでに21時過ぎ。
今日はここで寝るしかないだろう。

移動距離は50キロ。
後半の旅を始めてから、毎日じょじょに距離が短くなっていってるのが笑える。