古道の影

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目が覚めると、古墳にはうっすらと雪が降り敷いている。
夢に古代人は出てこなかったな。たぶん。

麗しのダブルシュラフ作戦のおかげで、
寒い思いもせず9時間あまりも安眠できた。
が、寝袋から出るとさすがに冷えるのである。
しばらく古墳に登ったり石棺を拝んだりして身体を温め、スタート。

国道にある温度計が、-2度であると主張している。
あれ、下がっても0度じゃなかったのか?さすがは山。
日が昇っても雪はしばらく消えず、
そして日陰の路面は、ちょっと凍っている。

一輪車ってのは経験上、氷の上でも意外と滑らない乗り物である。
ただし、平面においては。

人気のない日陰の急な下り坂で、案の定リリカルに滑るユニサイクル。
見事に着地はしたが、そのまま滑り落ちていく俺。
うーむ、これはちょっと危険だ。
俺もそうだが、クルマも怖い。
この地域のクルマがみんなスタッドレスタイヤを履いてるとも考えにくいからな。
今日は土曜日で交通量も多いだろうし、用心して行きますか。
一輪車の旅においては、
飛ばしてるクルマに1回でも当たれば、もう次はない。

東広島からさらに西へ。
広島まではあと30キロほど。
今日の道のりは、ゆるやかな下り勾配がメインらしい。
昨日は海から散々のぼらされたからなー。
たぶん広島まではこんな調子だろう。
ラクでいいんだが、非常に残念ながら、歩道率が低いんだ。
ここは山の中をウネウネと進む古い道だからなんだろうな。
見たわけではないが、
このあたりは昔から海岸線が入り組むか切り立つかして、
海沿いに道ができにくかったのだろう。

本州の西側を瀬戸内海に沿って伸びる道は、昔は山陽道と言った。
前半の旅で通った国道1号線が旧東海道をベースにしていたように、
国道2号線はその山陽道が基になっているはずだ。
だからおそらく遠い昔から、
福山から広島へと至る道は海沿いではなく山を通ったんだと思う。
クルマが交差する現代ですら狭いところもある道なので、
往時はもっと狭く、歩きづらい道であったことだろう。

それにしても、江戸時代よりずっと昔から脈々と使われている道のりを、
今でも大勢の人間が何も考えずにビュンビュン走っているのである。
最新のGPS機器を装備し、電気で走ったりすらするハイテクマシンが。
道は時間を記憶している。
ただ国道を走るだけの旅が、ときどきちょっとおもしろく感じるわけだ。

そうこうしてるうちに、そろそろ広島かな。
すぐ近くに巨大なマツダの本社工場があるのに、
目に見える範囲のマツダ率の低さと言ったらまぁ。
ちょっと可哀想になってくるな。
わりと国産品愛好家なのに、
おフランス製のマウンテンユニサイクルなんかに乗ってる俺が言うのも妙な話なんだが。