同行二輪

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朝7時に起きると力強く宣言していたのに、気づいたら8時だった。

いつもそうだが、たまにちゃんとした布団で寝させてもらうとやっぱり寝すぎる傾向がある。
昨日は広島まで来てさらに広島市内をウロウロ徘徊したおかげで移動距離は50キロに達していた。
身体は今がチャンスとばかりに貪欲に休んだのだろう。

さて、一晩お世話になったわたぼうさん宅を出る。
しかも、彼と一緒にだ。
今日が休みというわたぼう氏は、俺を一輪車で並走して見送ってくれるというのだ。

彼の先導で、2台のマウンテンユニサイクルは走り出す。
複数でのユニサイクリングなどこれまでほとんどやったことがないので少し心配だったが、
彼が土地勘を活かして歩道の広い海辺の道を選んでくれたので、
2台はユニサイクルならではの遊びを交えつつ、ごく快適に進む。

そのうち、わたぼう氏が日頃ユニサイクルの練習に使うという臨海公園に到着。
すでにたくさんいたスケボーマン達の間を縫うようにして、
独学で鍛えた技の数々を披露してくれた。
うーむ、うまいなぁ。
たった2年の一輪車歴でこんなカッコいい技がキメられるとは正直驚きだ。
しかも、誰も同じ一輪車の練習仲間がいない中、一人で。

広島はスケボーや自転車なんかのストリート系のスポーツが活発らしくてあちこちでブイブイやってる連中を見かけるのだが、
なぜかユニサイクルとなると他にお仲間がいないらしい。
中国地方で一輪車はまったくハヤらないのだろうか?
せっかくこれだけの技を完成させるほどの能力と情熱があるのに、惜しい。実に惜しい。

公園で遊んだ後、彼はさらに旅に付き合ってくれるのだ。
適度に走ったり、話しながら歩いたりを繰り返し、愉快ながらもペースは早い。
彼はそのテクニックと軽装を存分に活用し、
あちこちのギャップに乗ったり跳び越えたりと楽しそうだ。
それを見てると、俺もそっち系の技を磨こうかな、なんてやっぱり思ってしまう。

とある写真屋では、なぜか店の前でデジカメを構えていた店主のおじさんに捕まり、
2人そろって写真を撮られ、
ついでにそれをプリントしてプレゼントしてくれた。
なんでも新しいデジカメが届いたばかりで、
写り具合を試してみたかっただけらしい。なんじゃそら。

今や世界遺産の日本三景、安芸の宮島では、
当然もみじ饅頭は食わずにその辺のコンビニで餃子ドックとか言う怪しい物体を買って食い、
右端にドット単位で微細に厳島神社の大鳥居が写っているかもしれない極限のロケーションで、
ユニサイクルショットをキメたりもした。

縦断旅の途中では何人かの個性豊かなユニサイクリスト達と出会ってきた。
その共通点は、とにかく話が尽きないことである。
好きな趣味で、しかも日頃話し合える人が極端に少ない。
これはもう当たり前の現象だと思う。

そんなわけで、延々と一輪車やその他モロモロの話で盛り上がりつつ、
広島市内を出て宮島、そしていつのまにやら山口県との県境まで!
時間も17時になり、そろそろ暗くなり始める。
栄橋という橋を渡って山口県に入った直後の和木駅にて、
電車で引き返すわたぼう氏とはお別れだ。

まさか見送りの並走が38キロにもなるとはさすがに彼も思わなかったに違いない。
ほとんど一輪車旅の一日を付き合わせてしまったようなものだ。

しかし、本当に楽しかった。
いつもは孤独な一人旅。
こんな楽しみ方もあるんだと彼は気づかせてくれた。
今日俺たちを見て、中には声をかけてくれた人々は、
きっと我々を、一輪車で日本を縦断する二人組だと認識したことだろう。
確かに今日一日は、そんな気分だったよ。

どうもありがとう!