ascent -のぼり-

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別府は温泉が有名な海のある街だが、これほど坂もあるとは知らなかった。

ここからはショートカットだ。
快適な国道10号線を捨て、あえて山越えルートで少し内陸に入る。
さらば10号線。
一輪車的には日本で10本の指に入る本当にいい国道だった。
大好きでした。ありがとう。

実は今日は、どうしても明るいうちに着いておきたい場所があるのだ。
国道経由では大回りで大分市を通過し、
距離的にはずいぶん遠回りになってしまう。
そこでショートカット。
山を突っ切る県道52号というやつに賭けてみる。

そのために、まずは早朝の別府市街の坂を延々とのぼり…、
おぉ、なんじゃこりゃ。
坂の途上、おもむろに長大な建造物が出現。
ビーコンプラザにあるグローバルタワーとかいう棒的な何からしい。

それにしても、どこか投げやり感の漂う凄いデザインである。
これより何倍も高いが無難なカタチをしている東京スカイツリーよりも、
個人的にはよほどインパクトがある。
別府市もまぁ、金もないのに(想像)よくこんな妙なモノを造ったものだ。
よくやった!

ところで話は変わるが、別府の観光名所『地獄めぐり』は、
英語だと『Tour of the Jigoku』と言うらしい。
これは怖い。

どうやらやっと、別府市街はのぼりつめた。眼下の別府湾が美しい。
だが、まだまだ上がある。
道は思ったよりも高いところを通るようだ。

いよいよ県道に入る。歩道は当たり前のように消えた。
休日のせいかクルマの多い中、路肩をゆっくりと歩いて上る。
この道はもはや完全に山越え決定だ。
昨日の立石&赤松峠とは比較にならない。
ひょっとしたら、国道経由で海沿いを迂回したほうが早かったかもしれない。
そんな思いも脳裡をよぎるが、来てしまったもんはしょうがない。
少なくとも、クリスマスイブにあえて歩いてのぼるような道ではないことは確かだ。

途中で休憩した別府ロープウェー乗り場では、
クルマで軽々とやって来た(当たり前)カップルが戯れておられる。
いま俺のしていることはやはり、単なる変態的修行でしかないのか。

別府から2時間ほど上り続けて、ようやく頂上。
峠の茶屋ならぬ小さなガソスタが一軒あるだけでつまらん。
このまま道なりに行くと、やがてこれまた温泉で有名な湯布院に着く。
だが道の状況や今日の交通量からして、
下りで爽やかなユニサイクリングができるとは考えにくい。
ならばここはあえて、その脇にある細い道を選んでみるとしよう。
目的地は微妙に湯布院とは違うし、たぶんこっちのほうが早い。

ねらいは珍しく当たり、クルマがグッと減った下り坂を快適に走る。
ただこの道、ちょっと驚くほどの急坂がいくつもあり、
ブレーキはさっきからガツガツに握りっぱなしだ。
せっかく2時間かけて高めまくった位置エネルギーが、
ブレーキの摩擦力に変わって雲散霧消していく様は、実に虚しく情けない。

雪が降ってきた。
下り坂プラス追風で結構スピードが出ているのに、
雪は後ろから俺を追い抜いて前へと流れていく。
不思議な光景だ。走っている感覚を失い、力が抜けそうになる。

坂や雪と遊んでいるうちに、国道210号線に出た。
海沿いの大分市から湯布院などの内陸へと延びる国道だ。
ここに出たことで、山越えショートカットは終了。
結局どっちのルートが早かったのかはなんとも言えないが、
合流した今となってはもはやどうでもいい。

この国道をさらに西、内陸へ。
またしても上り坂の連続、しかも強い向い風である。
いい加減に疲れてるところでこれは効く。
またしてもユニサイクルには乗れず、歩みは遅々として進まない。
これまでの、風に乗った幹線国道の旅が、
いかに恵まれていたかが本当によくわかる。

さっきから、どうにも楽しくない。
しんどいし、なかなか見えてこない目的地にイライラする。
休むところもないが、あちこちで小休止を繰り返し、
それでも亀の歩みで進むしかない。
何もないところを数時間は歩いたか。
はぁ、もう、やっと着いたよ。

ここが今日の目的地、湯平(ゆのひら)温泉だ。
でもなぁ、国道入口から温泉郷までがまた、長いんだ…。