白輪

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湯布院の道の駅は、時間がたつにつれて人が増える。
皆さん、雪による道路状況が心配で情報を求めに来るようだ。
そんな人々をのんびり眺めてる場合でもなく、俺ももう出る時間だな。

携帯食料として蕎麦饅頭を買い、
ついでにちょっと奮発して、大分名物だんご汁定食ってのを食べてみた。

ちなみに、俺が子どもの頃に苦手だった大分(湯平?)郷土料理の三強は、
鯉こく、ピーナッツ豆腐、そしてだんご汁だ。
しかし、寒い上に空腹である今、
このだんご汁定食がこよなく旨く、あったまる。
いやー俺、変わったのかなぁ。
今ならあのピーナッツ豆腐すらイケる気がする。

だが湯平温泉のピーナッツ豆腐屋はすでに廃業したらしく、
もうあのなんとも言えない味をどこで求めたらいいのかわからない。
鯉こくは…今でもあんまりいらない…骨だらけで…。

このままだと大分にはマズいものしかないのかと思われてしまうので、
ここで俺の大好きな大分料理もひとつ上げておくか。
それは「やせうま」と言って、料理というよりはおやつである。
きしめんの幅広いやつみたいな帯状物体に、
きな粉を絡めて食べるもので、これが実に旨いのだ。

しかし、今ちょっと調べてみたらなんと驚くべきことに、
やせうまの帯状麺とだんご汁に入っている帯状団子は、
実はまったく同じものであるらしい。
知らなかった!!

俺の好きなものと嫌いなものが、実は表裏一体の関係にあったのだ!
なんという運命のいたずら!なんという愛憎劇!!
…全然関係ないけど、大分の名産と言えばカボスです。

さて、大分をすべて紹介し尽くした気がするので、
心置きなく湯布院の道の駅を出発だ。
もう11時を過ぎている、今日はどこまで行けるやら。
外は風が吹き荒れており、雪が散ってプチ吹雪まがいだ。
道の駅を出て西に進むと昨日まではあった歩道があっさりなくなり、
雪の残る路肩をザンザンと歩いて坂を上る。

対向車線から来るクルマが、
時折チェーンをジャラジャラ鳴らしながらゆっくりと下りてくる。
上のほうはここよりも雪が多いのだろう。
それにしても、チェーンを履いてるクルマなんて久しぶりに見た。
北海道では冬は全車もれなくスタッドレスタイヤに履き替えるのが超常識なので、
こういうその場しのぎのアイテムを見かけることがむしろない。
そしてそんな北海道から来た俺は、
この程度の雪道や気温は大した問題ではないのだ。
怖いのは、雪道に慣れていない九州のサンデードライバーだけ。
頼むから突っ込んでくるなよ。

昨夜はよく寝たし空腹でもないので今日は元気だ。
これなら上りが続いても大丈夫。
パワフルに坂を上り切れば、そこには水分峠のトンネルがある。

キャーッ!なんかレトロでカワイイ!

なんて言えるような観光ガールならよかったが、
一輪車野宿旅中の俺から言わせれば、
内部が凍ってツララすらできている、
ただの狭くて危険で陰険なトンネルである。
クルマが来ないスキを狙って駆け抜けたのは言うまでもない。

トンネルを抜けるとすぐ水分峠の頂上に至る。
標高は708メートルらしい。
うむ、ここまで来ると確かにちょいと寒い。
路肩の温度計は無表情に-2度と申し出ている。

そんな九州の国道にしては厳しい環境にある水分峠ではあるが、
意外なことに、峠からの下り坂には歩道があるのだ。
もちろん雪が積もっているにしても、これはチャンス。
試しにユニに乗ってみたところ、なんとか走れそうだ。
まさか九州でスノーユニサイクリングができるとはな!

雪の歩道は思いのほか長く続き、
いつもより神経を使いながらも、
マウンテンユニはなめらかに峠を駆け下りる。
坂を下り切ると、さっきまでいた湯布院町はもう遥か後方。
次の九重町の市街に着いたようだ。

九重町に着いてすぐの場所にローソンがある。
九州を横断する行程においては、コンビニの存在は大変に貴重だ。
まして今は冬。
おそらくこの先は当分コンビニなどは望めないハズで、
この機会に食料を買い込んでおかない手はない。
何より現代人の俺にとっては、
寂しい場所でコンビニを見つけると本当に落ち着くのだ。
まちのほっとステーション。涙ぐましいまでにその通りだ。

ところで、峠を走り下りてくる途中、
マウンテンユニサイクルがなんだかギーギーとうるさかった。
コンビニで休みつつ調べてみると、どうやらただの油切れらしい。
昨日から雪を食らいまくってるからな。
そう言えばこの一輪車、水に濡れ続けるとこうなるんだった。
そんなことすっかり忘れてた。

致命的なトラブルではないのはよかったが、
このギーギー音もあまりほっておいてよいものではなく、
何よりうるさいので気分が良くない。
かといって機械油は携帯してないし、
この町に100均やホームセンターはまずなさそうだ。

どうしよっかなーと考えつつ進んでいると、
目の前に小さなスーパーを発見。
ちょっとした工具や日用品も置いてそうなので、とりあえず入ってみる。

うーん、CRCはあるが、デカイ容器のやつしかないので却下だ。
こうなると、何か代用品でしのぐしかない。
この際だから小さくて安い油ならなんでもいい!
というわけで、
「ラー油」と「油っこくない炒め油」、どっちがいい?

はい、油っこくない炒め油、198円で購入。
店を出てさっそく注油。
うむ、とりあえずイケそうだ。
全然大丈夫だろう、菜種だし食用だし、それに油っこくないし!

さあ、九重町でグズグズなんかしていられないぞ。
少し急がなくては。