人がいる

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ふたたび海に出られてからは、雨は弱まり、平地も増え、
やっと継続的にユニサイクリングができるようになった。

このあたりの海は大浦湾と言い、ジュゴンがいるそうだ。
ヤンバルクイナの山を越えたと思ったら、今度はジュゴンの海である。
そう言えば、パプアニューギニアでは極楽鳥の棲む森、
アイスランドではイッカクがいる海というのも見てきたが、
俺は結局そのどれにも遭遇していないのが自慢である。

どうせあいつらはあいつらでよろしくやってるんだろうから、
別に俺と会わなくてもいいじゃないか、と思ってしまうのだ。

そんな俺の不熱心な行動パターンなど、動物好きな人から見れば、
一体何をしに行ったのかと初対面から殴られそうな気もする。
そのうちツチノコでも轢くかもしれない。

今日は出だしの雨でつまづいた反動か、後半の伸びがいいみたいだ。
多少の上りも雨さえなければ快適に走り抜けられる。
やがて、ちょっと大きな町に来たな、と思ったら、
そこが今話題の辺野古である。
ちょっと手前には同じく話題のキャンプシュワブがあった。

沖縄各所にある基地は、思っていたよりもずっと面積が広い。
このキャンプシュワブも相当な広さであり、
内部ではおそらく200ボルトのアメリカ用電気製品なんか使い、
クルマも右側通行だったりするのかもしれない。

そんな辺野古で、俺は4日ぶりのコンビニを見つける。
おぉ、コンビニ!会いたかった!
早速入ってみるが、実は欲しいものなどなかった。
野菜ジュースだけ買ってシュッと出てくる。

それにしても日本のコンビニは凄い。
日本中でほとんど同じモノが、ほとんど同じ配置で売られているのだ。
もはやあの店内だけは、まったく位置情報を排除した、
四次元空間であるような気がしないでもない。

辺野古からさらに調子よく進むと、宜野座(ぎのざ)に至る。
ここまで来るともう完全に街であり、なんでも揃いそうだ。
コンビニ以上にご無沙汰なドラッグストアを見つけたので、
また熱が出たら困ると思い、葛根湯粉末を買っておいた。

葛根湯は病気そのものをどうにかするわけではないが、
とにかく身体を温めてくれるというので、
クスリ嫌いな俺が気休めに時々飲んだりする漢方薬である。

そんな葛根湯を店の前で一包飲んだせいでもあるまいが、
寝床を探しながらスイスイ走っているうちに、
ついに宜野座を出て、次の金武町(きんちょう)まで来てしまった。
おやまあ、こんなとこまで。
もう18時なのに、まだなんとか走れるほど明るい。
冬至の頃に比べれば随分と日が長くなったものだ。

金武町にもキャンプハンセンという基地があり、
これまた規模がでかく、夕暮れの市街には地元民と米兵があふれている。
ネオンもキラキラとしていてもう繁華街と言っていいレベルだ。
ここまで来ると、便利というよりはむしろ治安を心配しないといけない。

金武町にも物産館というのがあるようだ。
そこを道の駅みたいなものかなと想像して、とりあえず行ってみた。
うーん、ちょっと違うが、まあまあ。

そこでしばらく休んでいたものの、
やはりどうしても、何かが違うような気がして、引っ越し。
なんとか別に落ち着き先をみつけた。
自分のこういう直感はそれなりに信用している。

ところで、自販機で温かいお茶を買いたかったのに、なかった。
そこで仕方なく沖縄特有の「さんぴん茶」を買う。ジャスミンティーだ。
うーむ…、マズくはないんだが…。
この花の芳香は、あらゆる食べ物に合わないのではないかと、俺は思う。

それで思い出した。
日本好きなイタリアの友人が、確かこんなことを言っていた。

「日本茶はおいしいんだけど、食事の時は水を飲みたいんだ。
お茶だと料理の味がわからなくなるから。」

たぶん似たようなことをいってるんだろうな。
要は慣れなんだろうが。
さんぴん茶に慣れるほど沖縄にいるとも思えないし。

今日の走行は、47キロ。
12時から出たのだからそこそこ走ったみたいだ。
最初の10キロぐらいは、もう本当にカメだった。