6月16日 まちがう。

夢を見るほど深く眠っていた。
のだが。
少年たち?が接近してくる気配で飛び起きる。
バス停内に立てたテントに興味を示し、近づいてきている。
無意識のうちにテントを内側から激しく揺らしたところ、彼らは驚いて逃げてくれたようだ。

ただのイタズラだったのだろう。
ここがまだしも治安のいいキューバでよかった。
だがやはりイランの言う通り、この位置取りには多少ムリがあったかもしれない。
この町の数少ない盛り場、24時間営業のガソスタがすぐそこの立地なのだから。

ふう、まだ午前1時か。
まあ3時間は眠れたのだからよしとしよう。
もう行くか、次の町、コロンを目指して。
眠いが仕方ない。
暗闇のなか、手探りでテントを片付ける。
 
イメージ 1
 
バス停のすぐ近くにある、イランたちと出会ったガソスタ兼ショップ兼ファストフード店。
この時間だとおそらくまだイランは働いているだろう。
立ち寄って挨拶していこうかとも考えたが、客が複数いるようなのであきらめた。
仕事のジャマしても悪いしな。
 
イメージ 12
暗い夜。月が隠れていよいよ暗い。
とりあえず出発してはみたが、あの短すぎた睡眠では眠気が払拭されるはずもない。
町の途中でみつけたベンチにしばらく横になってみる。
が、ここも蚊がすごい。
こちらが動きを停止したが最後、群れになって一斉に咬みついてくる感じだ。
しかもここ、暗くてわからなかったがどうやら学校らしい。
ウトウトしてるところで巡回中の守衛らしき人物に見咎められ、追い払われてしまう。

いかん。どうにも眠い。しかし寝転べる場所がないのだ。
やむなくトボトボと進み、いつしかホベヤノスの町を出ていた。
あたりは畑なのだろうか、一面が丈の高い草に覆われている気がする。
真夜中に進むと気が滅入る場所だ…。

こんな時間にこんな場所だとさすがにほとんどクルマも通らないが、
たまにやって来たクルマがなんとパトカーである。
やばい俺、思いっきり怪しまれる条件を完備している。
めんどくさいことになったと思ったが、
聞かれたことをありのままに答えていると、どうやらわかってくれたようで無罪放免。
スペイン語もロクに通じない外国人に嫌気がさしただけかもしれないが、解放してくれるならなんでもいい。
職質には慣れてるけど拘留はちょっと勘弁してほしいんだよな。
 
イメージ 4

ようやく朝。
やはり路面がちゃんと見えるのはいい。
夜中のユニサイクリングは路面の細かい凹凸がわかりづらくて神経を使うのだ。
 
イメージ 5

涼しいし、距離を稼ぐなら今だ。
スイスイ走って、小さな町は素通り。
今日も暑くなるのかねぇ。
 
イメージ 6

お、コロンはもうすぐかな。
といいつつ看板から相当進まないと町には着かなかったりするので、期待しすぎは禁物だ。
 
イメージ 7

いつしか、長い直線道路の左右に広大なサトウキビ畑が広がりはじめた。
これまでにはない景観だ。
これぞ、ちょっとキューバっぽい感じ?
 
イメージ 8
 
そういえばまだ前からの走行写真を撮ってないなと思い、サトウキビ畑をバックに撮る。
でもあまり思ったようには撮れてない。
知らないだろうが、背後からよりも前から撮るほうがいろいろと面倒なんだよ。
 
イメージ 9

ホベヤノスから34キロ走ってコロンまで来たが…、なんか思っていたのと違う。
町域が妙に広いわりにはこれといった市街地がない。
疲れたのでここで一泊もしくは日曜日を見据えて二泊と考えていたが、ここではさすがにつまらなそうだ。
はぁ。次行ってみるかー、さらに40キロぐらいあるけどー。

やはり、今日も暑くなりそうだ。
休憩中に近くで遊んでいた子どもたちに手を振ってみるが、
彼らは俺を遠巻きに見つめるだけで、近寄っては来ない。
これはキューバの特徴なのかもしれない。
子どもがあまり寄ってこないのだ。
大人が子どもに外国人の存在をどう教えているのか、その一端を垣間見る気がする。
 
イメージ 11
 
道を聞いたガソリンスタンドの人々。
一人に聞くと、ワラワラ出てくる。イモヅル式!?
子どもは近寄って来ないのになぜオトナはこうなんだろう。
 
ちなみに、こういったガソリンスタンド兼ショップは、キューバでは高級なほうの店に分類されるらしい。
店員が珍しく揃いのユニフォームなんぞ着ているし、支払いは必ずCUCオンリーだ。
キューバでクルマを持っている人というのがどういう位置づけなのかがわかる。
 
イメージ 10

コロンですが。
勘違いしていた。実はかなり大きな町でした。
町に入ってからこの繁華街までの距離が長いんだよな。
それが最初にわかっていれば、たぶんこの町に泊まっていただろう。
もう決めてしまったから先に向かうけど。
人が多いと注目されまくりでちょいと居心地が悪い。さっさと抜けよう。
 
イメージ 2
 
道端にちょっと隠れて休憩。
あまり話しかけてこないキューバ人とはいえ、人がいるところではそれなりに捕まってしまう。
最近では、通じない会話をするのが面倒な時には、
 
「カンサーオ!(疲れてるんだ!)」
 
これ一択。これで大体あきらめてくれる。
 
イメージ 3
 
異国の珍しい景色や動物、植物も、それが目の前にあればすぐ普通になってしまう。

コロン以降の道はなんだか雰囲気があってよろしいのだが、
一車線で狭く馬車が多く従って馬糞も多く、一輪車には乗りにくいし歩くのもつらい。
馬は見たり乗ったりしているぶんにはいいけど、実は馬糞が結構わずらわしいのである。
こういうことは、『馬車の島』というのどかなイメージだけではまるでわからない。
そんなキューバの歩きづらい道を徒歩で進んでいるのはまさに俺だけ。
さぞや目立っていることだろう。
キューバ人は乗り物に乗るか、もしくはヒッチハイクが基本だから、
馬糞なんて大して気にならないんだと思うよ。
 
さて、俺はコロンを経由して、トリニダーという町に行こうとしている。
メインロードからは結構寄り道になるが、
歴史のある美しい町でオススメ!みたいなことがガイドブックに書いてあるので、
ただでさえ起伏の少ない今回の旅には数少ない見どころになるかもしれない。
 
メインロードとトリニダー方面への迂回路の分岐は、コロンにあった。
俺はコロンの町で何度か道を聞き、確認を取りながら、慎重に道を選んできたわけだ。
 
だ、が…。
 
うわ、やってもうた!
どうやらコロンからの出口を間違っていたらしい。
出口付近で念のためにもう一回聞いて確認したにもかかわらず、それでも間違うとは!
人の意見などアテにせず、スマホでなんとか使えているGPSで方角をチェックすればよかったのだ。
 
でもまぁ、しょうがない。
ここからコロンまで10キロ以上戻ってやり直すのはイヤすぎる。
いっそこのまま進んで、サンタクララの街を目指そう。
トリニダーはもし帰りにヒマがあれば寄ることにする。
 
ふぅ。これも旅。
計画なんて、いくらでも変えていけばいい。
あとさしあたって気になるのは、土日問題だな。