6月19日#2 雨に沿う

雨…やんだかな?
ちょっと怪しいけど、出てしまおう。
こんな樹の下にいつまでもいるの、イヤ!
 
ってなわけで、そこからしばらく進むとたどり着くのが。
 
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プラセタスの町。
町に着いたら雨も止みかけ。
ここで少し休むか、あるいは寝られるようなメドが立てばいいのだが。
 
おや、町の通りでピザ屋を発見。
今度こそ寄ってみよう。
 
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ついに念願のピザを買う!
5ペソクワーノ。日本円で20円ぐらい。
安い。でも、あったかくてうまい。
雨のせいで少し身体が冷えていたんだ。こんな時は、温かいだけでありがたい。
それにしてもシンプルなピザである。思ってたのとだいぶ違う。
生地の上にチーズを振りかけて焼いた、だけ、のような気がする。そうに違いない。
 
あぁ、また雨が降ってきた。
ピザ屋の軒先でゆっくりと雨宿りでもしたいところだが。そんなことができるわけがない。
町で立ち止まったが最後、ユニサイクルのまわりに人々が集まってくるのはもはや常識なのだ。
いやーもう話しかけられるよ。
店のお姉さんにも、客たちにも、全然関係ないところから出てきた興奮気味の兄ちゃんにも。
はぁ。
人に囲まれるのはやっぱりめんどくさいなぁ。
雨降ってるから勘弁しろって言ってるのに、乗ってみせろともうしつこいことしつこいこと。
あの兄ちゃんなんか、アイフォンか何かで動画を撮ろうとしてるしな。
 
ここまで人に集まられたらしゃーない、乗ってやるかぁ。
動画の人、準備はいいか、行くぞーー。
まるでサーカスのような人だかりの中、一輪車に飛び乗ってサッソーと出発。
これ、実はそんなに難しいことでもないんだけどな。
ただ荷物背負って一輪車に乗ってるだけだぞ。
 
特に芸もできない俺。
一旦乗ってしまうと、もう走り去るしかない。
ロクに休憩もできないし、ピザを食いながら出たゴミすら捨てられない。
しかもまた結構な勢いで雨が降ってきて、ゲンナリ。
じっくりと雨宿りがしたかった町を、皆様に見送られるまま、スルスルーッと出てきてしまった。
やれやれ。
 
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雨脚はまた強く、隠れるところもない。
たまに屋根のあるバス停を見つけてみても、そこにはすでに人がインストール済み。
やれやれ。
雨に降り続かれると一輪車に乗ってはいられないし、黙々と歩くしかない。
 
でも、濡れると困る携帯と財布を防水袋に入れてしまえば、あとは覚悟もできる。
むしろ暑くなくていいのだ。歩くから遅いけどね。
こんな経験でも、いつかのための血肉となる。
そう信じて。
  
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夕暮れ間近。
ようやく、ささやかな屋根のある場所をみつけた。
途中に休む場所もなかったし、疲れたーーー。
今は使われていない古いバス停の跡だろうか。
屋根もあちこち錆びて雨漏りしまくりだが、隅っこに座ればなんとか雨に当たらなくてすむ。
 
あと20キロ弱は進まないと次の町に着けない。雨はまったく止む気配がない。
やれやれ。
結局、今日は雨の日だったのだ。
キューバでは天気が読めないから、どうしようもないか。
 
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さて、朝まで降ってくれるつもりだろうか。
タイヤの空気がちょっとずつ減っていってる感じなのも気になる。
雨で肌寒いと水の消費が減るのはいいのだが、食料は乏しくなってきた。
マリア・ビスケットを食うか。
これ、もうずいぶん前のバラデロのショッピングセンターで買ったものだ。
量こそ多いが大しておいしくないので、今日に至るまでザックの中に残っていた代物。
このパサパサで味もないマリアビスケットが、今はとてもうまく感じられるなんて。
 
これを食べて身体を休めたら、また雨の中を進もう。
 
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断続的に雨が降り続く中を、ヨタヨタと歩いてきた。
もう夕刻。
たまたま見つけた小さな集落のバス停が意外に居心地よくて、そのまま居ついてしまいそうだ。
ありがたいことに人はいないが、なぜだか犬はいる。
 
犬、俺がジャマなのかな。
いつもの場所に俺がいて迷惑かけてるのかな。
ごめんな。一緒に過ごそうか。

キューバのバス停にしては綺麗で、ベンチもしっかりしている。
ここなら寝られそうだ。
雨は止みそうもないし…こういうのもアリだろう。
昨日はサンタクララの街でわりと金を使ってしまったからな。
要は、いかに金を使わずに帰国までの日数を過ごすかなのだ。
せっかくの海外旅行なのにまぁセコい。いつものことだが。
 
ちょっと早いけど、もう寝てしまおう。
今日の走行というか移動は、52キロ。
ふぅ。