6月24日#2 よく気づく。よく虫がいる。まだ眠れない。
照り焼き路面にクルマの陰なし。
日曜だからこそできる、のんびり孤独な撮影会。
雲がもう夏っぽいな。
山のような雲に向かって突進していく感じ。
水が残り少ない。ノドが乾いた。
次の町はまだかー!
よっしゃ、熱気の真ん中を突っ切り、ようやくシバニクの町へ到着。すごい名前だな。
ここでは待望のコーラを売っていた。すかさず3本購入!1本はここで飲む。
ここでは待望のコーラを売っていた。すかさず3本購入!1本はここで飲む。
日曜日に開いてる貴重な店では攻めの買い物をするに限る。
ところでこれはハンバーガーとは呼びがたい、またしてもただの肉はさみパンである。
この暑い中、いつ作ったかわからんシロモノをガラスのショーケースに並べっぱなしだった。
腐ってないか心配だったがそこそこうまい。
肉はさみパン、カマグエイにもあったな。この辺で流行している食文化なのだろうか。
あー、とりあえず一息つけたよ。
さっきから積乱雲が発達しまくっているのが気になる。
ひょっとしてひと雨降るかな。
ちょっと降ってすぐ上がるなら涼しくなってよさそうだけど、大体そう都合よくはいかないものだ。
やがて17時を過ぎ18時も過ぎると、ずいぶん過ごしやすくなった。
もう日陰じゃなくても休憩できる。こうなるとペースも上がる。
次のカスコロとかいう、これまたなんとも言えない名前の小さな町でもありがたいことにコーラを2本買えた。
これで今夜の水不足の心配はほぼ解消だろう。
外にたむろっていた酒くさい親父たちに混じってうまいコーラを飲んでいると、
内容はよくわからないながらもなんとなく一輪車の話題で盛り上がるのが楽しい。
左端のお爺様がとてつもなくいいオーラを放っていたので、俺のマウンテンユニを持ってもらって撮影。
と思ったら、酒臭いおっさんたちも並び出したの図。
みんなそれぞれにシブい。男の顔つきだ。
なんちゅうか、とても和気あいあいとした雰囲気のあと、今回は俺も喜んでモンタの儀式をして出発。
こういう楽しいことがあると元気が出て、やはりペースは上がる。
こういうとこ、人間である。
さ、もうちょい行こうか。ラストゥナスまではまだまだ遠い。
6月のキューバは、朝は6時過ぎまで暗いが夜は20時まで明るい。
夕方からこの時間までにどれだけ進めるかが勝負だ。
今日はペースがいいな…というところで気づいたのだが、
そういえば、キューバの国道では今のところ、しんどいと思うほどの急坂がない。
そういえば、キューバの国道では今のところ、しんどいと思うほどの急坂がない。
おかげで随分と助かっているはずだが、そういうことはなかなか気づかないものだな。
気づきついでに。
今日はなんと、買い物にペソクワーノしか使っていない。
最初の頃にペソクワーノが大量にあっても使うところがないと嘆いていたのはなんだったのか。
まあ今でもエセ成金程度の札束は残っているが。
住宅地を抜ければサッサと制限速度が90とか100になるのがこの道路。
確かにハイウェイなのだ。
馬車とか自転車とか一輪車とかも走ってるけど。
この石段にユニを置いて座ろうとしたら、そこに非道なまでにデカいクモがいて焦る。
俺の広げた掌ぐらいはある巨大グモだ。こええぇぇぇ!!
これ、気づかずに座ってたらどうなってたんだろう。こえええぇぇぇぇぇ!!!
タランチュラ?じゃないにしても、親戚レベルだとは思うぞ。
危険動植物に関してはまるでノーマークだったキューバだが…まさかあんなのがいるとは…。
テントや寝袋の中にあれがいたら死ぬほどイヤだな…。
やがて日は落ち、あたりは真っ暗になった。
しかし今日はまだ走る。昨日はカマグエイで宿に泊まったから体力もあるし。
今夜も雷がすごい。このところ、毎晩のように雷鳴を聞いている。
この時期のキューバはこういうもんなのだろうか。
長大な稲妻が、タテに落ちたりヨコに流れたり。さながら天空のショーである。
遠くで見ている限りは。
86キロ走って、グアイマロの町に着いた。
そこそこ大きな町だが今の俺には特に必要なものもなく…と思っていたら、ここで突然の雨。
すぐにいいバス停がみつかったので避難だ。
今夜はここで過ごすことになるのだろうか。
もうちょい進みたかったところだが、夜の雨の中を突き進むほどではない。
まずは待とう。
そうだ、今夜は道端の草むらでホタルを見た気がする。
そうだ、今夜は道端の草むらでホタルを見た気がする。
暗闇のなかを泳ぐ、黄緑色のほのかな光だった。
バス停で雨宿りをしながら、ベンチにゴロリと横になる。
昼間はそうでもないのだが、夜のキューバは蚊が凄まじい。
油断していると一気に咬まれまくってしまう。
ところが、日本からなにげなく持ってきていた、
肌に塗るタイプの蚊除け薬がかなり効果的であることに最近気がついた。
これは一輪車で日本縦断の旅をしている途中で親切な人からいただいたモノで、
荷物のパッキングの際にちょうど近くにあったという理由でちょこっと入れてみたというもの。
これを塗ると、本当に蚊に咬まれなくなる。これはいい。まさに大助かりだ。
これを塗ると、本当に蚊に咬まれなくなる。これはいい。まさに大助かりだ。
雨は止んだらしい。
星も輝いているし、もうちょい進んでみるか。雷も光ってるけど。
しかしいい時にグアイマロの町にいたものだ。まったく濡れずにすんだからな。
雨上がりのグアイマロは、意外なほど明るく人出があり、店もたくさん開いていた。
日曜の夜はこれが普通なのだろうか。ここでは21時はまだ宵の口なのかもしれない。
町を歩いていると、兄ちゃんが話しかけてきた。
カサの勧誘だ。これは珍しい。
ハバナのような都会でもないのに、向こうから話しかけて宿の斡旋をしてくるなんてな。
カサは、自分から飛び込むならともかく、相手から勧誘してきたのは怪しいと感じるので却下。
この町で泊まるつもりは特にないし、水と食料もそれなりにあるので買うものもない。
先に進もうか。
こちらも熱心に客引きしてくるチャリタクシーのおっちゃんをパスして、夜に賑わうグアイマロを出る。
町を抜ければ再び周囲は闇に覆われている。
一昨日の夜はユニを押して歩いたが、日曜でクルマも少ないし、今夜はナイトランといこう。
真っ暗ななかに星の光がうっすらと明るいキューバの夜道。
そこをユニに取り付けたライトが点滅する光を頼りに進む。
キューバの道は舗装が悪いのが心配だったが、道の中央線のあたりを走ればそう問題ないことがわかった。
もちろんこの時間帯でクルマがほとんど来ないからこそできる芸当だ。
キューバのナイトラン、静でなかなかいいものである。
途中の村で、まだ明かりをつけてる小さな店があったのでフラフラ寄ってみると、
なんと狭い店の中で兄ちゃんと姉ちゃんが存分にイチャついている。
にもかかわらず、冷静に注文する俺。ノドが乾いてるんだよ!
水やジュース類はないようだったので、かわりにコーヒーを注文。
例の小さいカップのやつだが、甘く温かく、ホッとする味だ。
たて続けに2杯!
さあ100キロまでもう少し。店の兄ちゃんいわく、ラストゥナスまであと30キロ。
いこうか。ジャマして悪かったな!
その後、0時にリセットした本日の走行距離、104キロ。
やはり一輪車の長旅に出たら一度は100キロ越えをしておかないとな。
ああそろそろ眠い。このバス停でもいいが、どうしようかな。
いや、ここはあまり居心地が良さそうではないから、もうちょい行こうか…。
それから13キロ。2時。
眠い。
次の町への距離を表示した看板の下で、テントをひっぱり出してもう寝る。
そんなわけで、走行距離は、117キロ。
看板によればラストゥナスまではあと11キロだ。
おやすみ。
さすがに疲れた。