6月25日 轟け!轟いた!
暑い。もう無理。
テント内が蒸し暑すぎる。汗だく。
1時間ほどがんばってみたが全然眠れない。たまらずテントから這い出る。
あんなに眠かったはずなのに、今はそれどころじゃねぇ!!
テントは完全に蚊よけのためだけに張ったものだ。
そこを出た瞬間、阿修羅のように襲ってくる蚊!
暗闇の中を怖るべき速度でテント撤収、そして草原から道路上に返り咲き!
うぉぅ。いたずらに疲れた。
結果、とても残念なことに、
深夜の道の上を一輪車で走っているのがまだしも一番涼しいのだという事実が判明した。
こりゃあ進むしかない、な。
そこからさらに11キロ走り、あらー着いちゃったよラストゥナス。
カマグエイを出てそのまま夜通し130キロ。
まだ5時前なのに。もうグダグダ。
こんな時間に着いてもなんのメリットもないだろうが。
いや、キューバの大きな街の出入り口に特有である無意味にひたすら長いストリートを、
ほとんど人目につかずに市街地まで来られたのだ。これはデカイ。
いつもは民衆の大注目を浴びて非常に居心地の悪い思いをするところだからな。
さ、ガソスタ兼24時間ストアでやっと待望のコーラもゲットし、ついでに朝飯も食っておく。
24時間営業てのはこういう時に大変ありがたい。
なんだか店員もダラリとしててやってるのかやってないのか微妙っぽいが。
とにかくここで休憩して朝を待ちましょう。
とりあえず着いてよかった。お疲れ俺。
ああ、それにしても、毎日コーラ漬けである。
これが日本ならせめて野菜ジュースやスポーツドリンクなども取り混ぜているところだが、
この島には水かジュースかビールぐらいしか選択肢がなくてねー。
それに暑いキューバにいるとコーラがうまいんだよ。確かパプアでも同じことを書いた。
うーむ、日本に帰ったらカラダから砂糖抜きをしないとな…。
そんなことをツラツラと考えているうちに、ようやく夜が明けてきた。
ラストゥナスはルイスリストにカサ・パルティクラルの名前がある街だ。
よっしゃ、ちょっと早いだろうが、カサを探し始めるかな。
リストの住所を頼りに、まずは適当に市街を歩き出す。
誰に道を尋ねようかなーなんて思っていた、その時。
うっ…!?
ヤバイ。腹にきた。
さっきカフェでコーラを飲んだ時にもなんだかおかしいような気がしたんだが、
その時はさほどではなかったんだ。
でももう。ダメだコレは。いきなり一刻を争うレベルだ。
もう人に道を聞いてる場合などではない。
が。
キューバの街中で公衆トイレなんて見たためしがない。
さっきのガソスタはもう遠い。
街の外なら草原しかないから問題ないのに。
もうちょっとで宿なんだからそれからにしてくれたらいいのに!
思い通りにならない身体とあいかわらず予測のつかないキューバ型下痢。
いつかはこんなことになるんじゃないかと思っていたが。
グ、目の前に川が。橋が。
橋の下には…おぉ、人目につかなそうな草むらが。
近くにいた兄ちゃんの怪訝そうな顔を無視して土手をすべり降り、
川原で歩きながらザックを下ろして、草むらに潜む。
ギリギリ間に合ったようだ。
ハァ。
今回だけはマジでヤバかった。
ここに川原がなければ今頃どうしていたのか想像もつかない。
だがまぁ、分離してしまえばこっちのもんだ。次なる脅威はしばらく先であろう。
ここでようやく落ち着きを取り戻し、中断していたカサ探しを再開する。
この街もカマグエイと同じらしい。
通りの名前なんかどこにも書いてないので、目的地が全然見えてこないのだ。
こうなったらしょうがない。人に聞きまくろう。
キューバ人は一見素っ気ないようでも道を聞くと大変親切である。
皆さんそれは熱心に教えてくださるのだが、なにぶん俺の理解力が半端なく低いので混乱する一方だ。
だが大方の意見を総合すると、少しは見えてきた。
信号を右に曲がれ。
そしてまっすぐ行け。
そこにピザ屋がある。
プレグンタ。
途中まではわかるが、最後のプレグンタって何。
意味不明なのに、みんなそう言うんだよな。ピザ屋でプレグンタって。
なんなんだよ!
肝心のピザ屋がみつからず相当ムダに歩きまくったが、最後には温厚な紳士が連れてきてくれたよ。
あ、ピザ屋ってこれかぁ。
そしてプレグンタ。ここに来て、やっと解明できた。
「質問しろ。」
って意味だ。
なるほどなー、そりゃあみんながピザ屋でプレグンタしろっていうわけだ。
目的のカサ、ピザ屋の3軒隣だからな。
カサ・パルティクラルはこのあたりにもたくさんあったが、ルイスおすすめのカサはやはり良さそうである。
家の内外が綺麗だし、リストに書かれていたマイラおばさんは明るくて優しそうだ。
ここでも事前にルイスから話は通っていたみたいで話が早くてありがたい。
今は部屋に客がいるようだが、もうじき出るので入れ替われるとのこと。
はあ、疲れた。まずはゆっくりと寝よう。
と、思ったら。
なんと結局、別のカサに回されることに。
えーなんで!?理由は良くわからない。
客がなかなか出てこないからか。もう一泊すると言い出したのか。
とにかく、カサの人が電話で呼んだと思われる別のカサのおばさんが現れ、
彼女に連れられて移動するハメに。
あ、わりと近くだ。
そしてここ、さっき俺がカサを探してさまよっている時に、2階から俺を勧誘してきた家だったわ。
あの時は、ごめんねーって感じでスルーしたんだが、まさかここに泊まることになろうとは…。
一泊25CUC。設備は可もなく不可もなく。
そんなことより、なんだかハートが基調のリリカルなお部屋でございます。
まぁ俺は寝るだけなので、ハートだろうがなんだろうが関係ない。
天井ファン。俺、これ結構好きなんだよ。これさえあれば合格レベルだ。
洗濯した靴下を羽根に差し込んで回して乾かそうとした過去が懐かしい。
よく考えたら散々だった。
昨夜からロクに寝てないし、今朝は今朝で突発性キューバ下痢だ。
でもこうやって曲がりなりにも宿にたどり着き、快適な部屋で横になっている今。
すべてがどうでもいい。
まずは寝る。それだけだ。
本当に、こんなことの繰り返しだな、キューバ旅。