6月24日 ポコポコ

疲れていたのか。
カーニバルの喧騒にはまったく邪魔されることなく、朝まで熟睡の巻。
よし、出るか。
 
宿泊したのはマニュエルの部屋だが、
一輪車その他の装備は階段がしんどいだろうということで、隣の家で預かってもらっている。
まずはそれを取りに行かないとな。
 
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一輪車に乗るところが見たいと言って出てきたマニュエルと、あれ?後ろのかわいい子は誰だ。
彼の娘か親戚なのだろうが、こんな子は初めて見たぞ。
きっとマニュエルに言われて俺がマウンテンユニで爆走するところを見に来たのに違いない。
こうなると乗らないワケにはいかんなぁ。
石畳って結構乗りづらいんだが。
 
間が一日空いただけでちょっと感覚が薄れてしまう飛び乗り乗車。
どうにか成功。さらばマニュエル。色々教えてくれてありがとう。
あー荷物が重い。
 
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あれ、思ったよりも静かだな。
カーニバルの余韻も朝には沈静化しているものなのか。
ゴミも散らばってないし、これだと普段と変わらない感じだ。
 
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うわっ。
大通りに出たら思いっきりカーニバルじゃないか。
道を通行止めにしてパレードとは、なかなかスケールがデカい。
今日は日曜だしハデにやるのだろうな。
 
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出番待ちの着飾った小さな踊り子たちと目が合う。
今なら写真もたくさん撮らせてくれそうなのだが、ニコッと笑ってスイッと人だかりをパスしてしまった。
カーニバルに参加しないにせよ、もうちょい写真ぐらいは撮ってもいいのでは…なんて考えているうちに、
賑わっている会場を抜け出てしまう。
後戻りするほどでは…ないな。
 
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あたりから祭りの気配がなくなっても、カマグエイは広い。
街からなかなか出られず疲れてきたが、6キロぐらい歩いてようやく市街が終わったようだ。
ここからは、再び草原の一本道。
 
街の隅っこで、日曜なのにやっている店を発見。
ちょっと食料でも買い足しておくか。
 
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ハンバーガーと書いてあったが…。
いや、これは鮮度が甚だ微妙なひき肉を焼いてパンで挟んだだけの物体だ。
食感がコリコリしているのは、骨なんだろうか。
うーん後で腹を壊さなければいいが。
一緒に頼んだジュースは袋に入ってるしな。
こちらは凍らせればチューペットになりそうな味だ。
まぁ、おじさんがとてもイイ顔をしてくれるから、それでいいんだよ。
  
ハンバーガーの味は正直不毛だったが、店の人と若い客たちに和やかに見送ってもらえたので、
気持ちよくカマグエイから走り出すことができる。さらば!
 
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ああ、ただの道だ。
1日ぶりなのにもう久しぶりな気がする。
 
しっかり休んだおかげで、走りはそこそこ力強い。
自転車で並走してきた陽気なおじさんが、サンティアゴまでは遠いなーという話のあと、
 
「ポコポコ!」
 
と言った。
 
ポコポコ?
少しずつとかゆっくり行けよとか、そういう意味なのだろうと勝手に解釈して、ありがとうと言っておく。
 
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それにしても今日は暑い。
カマグエイに至るまでの数日間は雨ばっかりだったからなぁ。
そうか、暑いとこうなるんだったな。
風が気持ちいいのが救いだ。
よしよし、ゆっくり行こう。食料も確保できたし、焦る理由はない。
 
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ふぅ、暑いなー。少しずつ進むしかないわ。
たまに日陰を見つけるともう隠れざるをえない。
日陰とそれ以外の圧倒的な空間が、クッキリと分かれている。
ここは違う国だ…、そう感じる。
 
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日曜ってのは、やはりクルマが少なくていい。
充分な水と食料さえもっていれば、荷物は重いが、なかなかのんびりとした一輪車の旅ができるよ。
しかし汗が止まらない。せめて汗がひくまでは休んでいよう。
陰から這い出すのも一苦労だ。
  
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手も脚も日焼けの水脹れだらけだ。
これがやがて黒くなってくれれば、多少の陽射しにはビクともしなくなるのだろうか。
 
ああ、セミの鳴き声だ。キューバにもセミっているんだなぁ。
ボーッとしてくる。
みんな、なんとなく生きてるんだよ。いろいろ理由はつけるけど、なんとなくだ。
生きる構造になっているから、ただ流れに乗っているだけにすぎない。
 
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あまり広くない木陰でムリヤリ休んでいたら、近くの庭から兄ちゃんが出てきた。
ニコヤカに話しかけてくるのだが、なかなか離れていかない。
ひょっとして俺はフルーツ泥棒と勘違いされているのではないかと思い、
あえてこの木の実は何なの?と聞いてみた。
マンゴーだそうだ。
ああ、これがマンゴーの木か。ついにマンゴーの木を特定した。
あんなにうまいモノがその辺に生えてていいな。
木陰に入れば涼しいし。
 
確か俺は同じことをパプアニューギニアのヤシの木で感じたことがあるが、
ヤシの木は真下にいると実の落下で死ぬので、涼むなんて論外なのだった。
 
道の上は灼熱でも、木陰に入れば、この風だ。
カリブ海を渡ってくる風。
最高に気持ちがいい。
でも、休んでばかりもいられない。
 
走って走って休んで休んで。
そう、同じことの繰り返しなのだよ。