6月29日 俺メリア

バヤモの朝。
昨日は怒涛の展開で落ち着くヒマもなかったが、やはりベッドの上で目覚めるのはいい。
心身が満遍なく遺漏なく休んだという実感に満ち満ちている。
 
昨日はなんだかんだで78キロ進んだらしい。これで合計880キロぐらいか。
それならサンティアゴまでに1000キロはいくだろう。また警察に捕まったりしなければ。
朝からずっと部屋にいてもヒマだし、もちろんバヤモ探検に行くぜ!
 
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カサを出てすぐのところで、小手調べにピザ。
もはや折らずには食えない体質になってしまった。
この店はピザの味は普通だが、ミキサーで作ったとおぼしきリフレスコ(ジュース)がおいしい。
酸っぱいというぐらいで何が原料なんだかサッパリわからないのはいつもながら申し訳ない。
 
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ピッツァ・カリエンテ。
辞書で調べながら推測するに、『あつあつピザ』ってところか。
カリエンテの横の黒塗りのところが気になるのは人情である。
たぶん値上げしたんだろう。
 
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バヤモの中心街はカサからちょっと遠い。
シンプルな街並みを黙々と歩いていたら、急に開けた場所に出た。
何かの記念碑の前では子どもたちが野球をしている。さすがにキューバだ。
 
キューバにはあちこちに野球場があるので、イメージどおり野球は活発なのだと思う。
ただ俺自身はあまり野球をやっている人々を目撃したことがない。
野球は球場でやるものだから道行く俺が見かけないのも当然かも知れないが、
思ったほどには野球一色という感じでもない。
それを言い出せば、思ったほどには誰も踊っていないし、街に音楽が溢れてもいない。
お国柄の先入観なんてのは結構ハズれるものだ。
 
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たぶんここが中心。
理由は一番デカい像があるから。 
この人の身元に関心がないのはいつものこと。
 
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近くにはこんな像もある。
実はこれ、キューバ国歌の楽譜らしい。
独立戦争時にこの地で初めて演奏された歌であるという由緒がいかにもキューバっぽいが、
実際に聴いたことなど一度もないのは俺っぽい。
 
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思いのほか賑わっているバヤモの商店街。
さほど広くはないながらも、ほどよく凝縮されていて密度は高い。
1キロぐらいで終わってしまう大通りを行ったり来たりして不穏な動きを見せつけた末、
 
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選び抜いて買ったのはこれ。
何これ?中にマヨネーズみたいなのが塗られてるだけ。パサパサ。
 
いかにもパンばさみしか売ってなさそうな小さな屋台で、『pan de pasta』とかなんとか書いてあったんだよ。
そりゃあ誰だってパンにパスタが挟んであると思うだろう?惣菜パン?
しかし実態は、パスタではなくペーストのことだったらしい。辞書だとどっちもpasta。
ぐわぁやられた。
このように辛い経験をした時、人は一生忘れない記憶を得る。
 
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ペーストの腹いせに、というほとでもないが、次は午前中からハムサンドとビールをかっ食らうことにする。
この缶ビールはマヤベというのかな。
初めて見たが、オルギン産らしい。ひょっとして地ビール?
いつものビールよりちょっと高くてちょっと苦くてちょっと強い。
 
この店の貴重なところは、ペソクワーノ払いであるというところだ。
後ろの冷蔵庫にあるビールやコーラの缶がすべてペソクワーノで買える。そして持って帰れる!
これがどれほど重要なことか。
食い物ではあれほどいい思いをしたオルギンですら、
ペソクワーノで買えるドリンク屋は結局見つけられなかったぐらいなのだ。
こういうところがキューバは本当に謎である。
 
よしよし。この店は気に入った。
お姉さんもいい人だし、また来よう。
 
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なんだこれ。まだ開いてない店だけど、クリメリアって書いてあるな。
喫茶店がカフェテリアだから、クリメリアはムリヤリ訳せば甘味処ってとこだろうか。
ついでに言うとパン屋はパナデリア。ケーキ屋はドルチェリアだったりする。
思わず日本でウナギ屋を開業してウナギリアと名づけたい衝動に駆られる。
 
ちなみにカフェテリアであってもコーヒーはあったりなかったりするし、
この街ではないが、カフェテリアと書いてあるから入ってみたらタバコ屋だったことがあった。
 
昨日は夜中にやって来たので地理関係がさっぱりだったバヤモ。
でも1時間も歩けば商業地区の位置関係はもう大体わかった。
まぁどこの街も基本構成というのはあまり変わらないからな。
 
あとはスーパーで少し買い物をしたいのだが、まだ開いていない。
10時開店の店が30分過ぎても開かなくて行列ができているのはこの国ならでは。
ふー暑い。
ヨソで適当に買い物して、夕方まで宿で涼むかな。
  
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うおっ、これは! 
XR250トルネード!!
確かブラジルホンダ製のオフロードマシンだ。実物は初めて見たよ。
 
これまでキューバでは見慣れないバイクばかり見てきたので、
自分の知識&興味範囲内のバイクを目撃すると非常に嬉しいのだ。
キューバ名物・マニア垂涎の旧車群は俺にとっちゃただのボロいクルマだが、これは見逃せない。
こいつならキューバの国道はもちろん辺境のダートでも楽しく走れるはずだ。
いやぁいいなぁ。
でもバイクで本気出して走るとキューバなんかすぐ端から端まで走り抜けてしまいそうだな。
 
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まだ午前中なのに2時20分。
ランドマーク的な建物の時計が壊れて止まったまま。
時間の流れが自分の中でしばらくギクシャクとしたあと、
いやこの島ではこれでいいんだという気分にだんだんなっていく。
 
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あぁなんとかカサに戻ってきた。
行きはそうでもなかったが帰りは直射日光が強くて距離の長さが効いたよ。
これからの暑い時間帯は涼しい部屋でしばしやり過ごすとしよう。
2階の左側が俺の部屋だ。 
 
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午前の部の戦利品。
銀色の四角いのは中身を知らずに適当に買ってみたら、クリームを挟んだウエハースだった。
これは携帯食料としてイケる!ペソクワーノの店だったし、後でもう何個か買いに行こう。
バヤモは屋台メシの種類はさほどないのにペソクワーノで買える食料だけは妙に充実している。
装備を整えるチャンスではあるが、もう目的地のサンティアゴはすぐそこだしなぁ。

アルトゥーロの一家はどうやら老若男女の大家族のようだ。
お婆さんたちやその孫たちは1階で何か手仕事をしながら仲良く過ごしている。
皆いい人らしく、帰ってきた俺にも気さくに対応してくれて嬉しい。
 
アルトゥーロは明るいところで見るといよいよもって豪快白人巨漢だが、
奥さんのエスメラルダはほっそりしていて物腰も柔らかく、なんだかわからんが褐色の恋人って感じ。
彼女は自室のカギの開け方がよくわからずに焦っていた俺のところに、
サッと出現してバキッと開けてニコッと微笑んで去っていくのであった。
おぉ、麗しのエスメラルダ…。
こうやって混血と民族融和は進んでゆくのだなあと不思議に感動した。
悪いが彼女の写真はない。
 
さて、宿に戻ってきたことだし、部屋で寝まくるかな。
何かやり残していることはないか。
そろそろ考える時期かもしれない。