7月6日#2 ハバナとバハマとバナナは名称を再考しろ。
そんじゃまぁ、ビエハ散策にでも参りますか。
アパートに居てもペソクワーノは減らないし。
いきなりだがオビスポ通りにやって来た。
ここはハバナを観光する人ならまず訪れるだろうという観光名所だ。
実はここには一度来たことがある。
でもあの時はキューバに着いたばかりで、銀行に両替をするためにやって来ただけで、
しかも徹夜で歩き続けた翌朝だったので意識が朦朧としており、正直ほとんど印象がない。
今こうしてよくよく見ると、シャレた店や老舗のホテルなどが並ぶ文化の薫り高い通りなんだな。
そしてこのオビスポ通りをズドーンと突き抜けると、
そこはもう海なわけだ。
目の前にあるのは運河。そして向こうに見える城みたいなのは、カバーニャ要塞だとさ。
でもここまで来たら気になるのは、
やっぱこれだよな。
なんでハバナに侍が!?ってところだが、彼の名は支倉常長。
あれだあれ、慶長遣欧使節の人。
詳しくは伊達政宗に命じられてローマ法王に会いに行ってキリシタンになって、
7年かけて日本に帰ってきたら日本がキリシタン禁制になっててロクな目に遭わなかった人。
そんな人の像がハバナにある。
つまりはキューバに来た初の日本人なんだろうな。
大先輩である。
キューバの感想を聞いてみたい。
彼の故郷である仙台までは11850キロメートルあるらしい。
それはそうと、数字の3ケタ区切りがカンマ(,)じゃなくピリオド(.)。
スペイン語圏ってカンマとピリオドが逆になるらしいのだ。
だからこれは11キロと850メートルではなく、11850キロメートル。そして小数点はカンマで表す。
これは違和感アリアリ。わかっていても見かけるたびにギョッとする。
こんな大事なこと、なんでとっとと世界で統一しないのかね。
えーとあれは、モロ要塞だ。
運河の向こうには海底トンネルで行けるらしいのだが、トンネル入口を見た限りではクルマ専用っぽい。
あんな要塞のためにわざわざタクシーに乗ってまで行く気にはならないので、
俺はきっとこの運河を渡ることはないだろう。
支倉常長もいる公園の周囲をウロウロしてたら、ピザ屋をみつけたので食ってみる。
見たとおりにデカい。
キューバのピザのくせにトッピングが僅かながらもあるのが驚異。
このピザにビールとコーラで53ペソクワーノ使って、今日やっと100ペソを超えた。
まだまだ先は長い。
ペソクワーノ払いのレストランかバーを見つけてパーッと使えば話は早いんだろうが、
外からじゃどっち払いかわかりづらくて入りにくいんだよな。
ただでさえレストランは俺には少々ハードルが高いというのに。
そういえば、昨日の中華街ではレストランの女が無言でメニューを突き出してきた。せめて差し出せ。
そしてさっきは、「チーノ、レストラン!」と叫んで勧誘してくるアホがいた。
普通に考えて、そんな誘い方で入店してくれる客がいると思うか?
あいつらは一体何をどう誤解しているのだろう。
ビエハ広場か…。
有名らしいから来てみたが、まぁただの広場である。
噴水を撮るとみせかけて有名な広場でイチャつく謎の外国人カップルを盗撮する俺であった。
あー、どこもパッとしないなー。
ハバナ観光がしたくて来たわけじゃないからなー。
あと4日もあるのにすでに観光に飽きた模様。
だからといってナイトライフを満喫するって柄でもないし、困ったものだ。
しかしビエハ地区、歩き回ってるとカサ・パルティクラルはたくさん見つかる。
やはり歴史的な地区にはカサも多いようで、中には泊まってみたい素敵な物件もある。
でもいい立地のカサはせっかく突撃してもまたよそに回されそうだ。
そんなことが何度か続いてもはや発想が悲観的になっている俺。
今でこれならハイシーズンは大変だろうな。
観光客なのに泊まる場所が見つからなかったりするんだろうか。
観光ロードに飽きて裏道に入ったらバナナトラックが道を塞いでるし…。
バナナ積み過ぎ!!
これって傾いてるのは道の傾斜のせいだけじゃないよなきっと。
ちなみにバナナトラックはいくら満載しててもただのバナナなんだが、
これがマンゴートラックだとあたりがものすごいマンゴー臭に彩られて叫びだしたくなってしまうぞ。
行くアテもなく。またしてもオビスポ通りに帰ってまいりました。
謎の歌って踊る派手なお姉さんが子どもたちを集めて何かやっている。
新手の誘拐じゃないことを祈るばかりだ。
ところで、さすがにオビスポ通りなどは観光客が多い。
アジア人も少しはいたが、これはやはり少ない。
アジアからだとキューバは遠いし高いし、わざわざ来る理由ってあんまりないもんな。
あとは、何人だかしらんが、とにかくイチャついてるカップルの多いこと。
連中はイチャつくためにわざわざ飛行機に乗ってキューバにやって来るのだろうか。
あれはもう恥ずかしいというより、見ていてどこかしら気持ち悪い。
生々しい動物の交尾を見せられているようだ。ここはサファリか。
さて空がゴロゴロ鳴っている。
これは3日連続で夕立が来るのか?
一旦ジョージのカサに避難したほうがいいかもしれない。
屋台で買ったこのケーキは見た目をはるかに裏切るマズさだ。
甘いと思って食べたら味が無かったというか…。
これはクロケッタ。こちらはカリッとしてておいしい。
屋台でクロケッタという名前をよく見るけどどんなモノなんだろうと思って買ってみたらこんな感じ。
カリッと揚げたドーナツのような。
ここみたいにお菓子を売っている小さなカフェテリアのおばさんには笑顔が素敵で優しい人が多く、
想定外の対応をされることがままあるこのキューバにおいては貴重な癒しの存在である。
こういう人たちは僅かなペソクワーノ収入を得ながら小さな店で一日をのんびりと過ごしているようだ。
あ、今思い出したが、
昨日中華街の屋台で何気なく買ったハンバーガーとコーラにはそれぞれ1CUCをブン取られたのだった。
ぼったくる店の人間ほどふてぶてしく、つつましく生きている人ほど誠実で温かい。
キューバに限った話ではないな。
そんなこんなで部屋に帰ってきた。
あの二人は俺が出る時も居なかったが帰ってきても居ない。
どうやらつくづく入れ違いのようだ。
でも部屋の鍵も家の鍵もアパート玄関の鍵もすべて預かっているので出入は自由。
これまでキューバで泊まってきたカサの中でも随一のこの放任さが嬉しい。
もはや昼のハバナに見るべきものはなさそうだ。
暗くなったらもう一回出てみようか。