対馬旅 6月26日 その2

 
#走り出せ…?


イメージ 1

厳原市街の狭い歩道は乗れる気がしないので余裕で歩きまくり、郊外とおぼしき場所まで来た。
神戸からすでにもう色々あったが、今からが旅の本番だ。

背後に見えるのは最近できたらしい立派なトンネル。
まずはとりあえず、対馬を縦断するこの国道382号線というのを北上していくとしよう。

トンネル手前

このトンネルはいきなりやたらと長い。
新しいので歩道も広く、ご丁寧に車道との間に柵まである。

これは…乗るしかないな。

むしろ、この条件で乗らなければ他にどこで乗るのかというぐらいだ。
前半は上りだったので様子を見て、
頂点を越えた後半の下りから、対馬初のアルティメット・ライディング

…だったが。
うわぁああ、重い。ザックが重い!!

旅の期間やアルティメットホイールの特性を考慮して、
今回の荷物はアイスランドやキューバ、日本縦断の時よりもかなり軽くして臨んだハズだった。
しかしそれでも重い。
何がつらいって、太ももにかかる負担がすごいのだ。

これはまさにそう、走る空気椅子。

100メートルも乗れないまま、耐え切れずトンネルの途中で下りてしまう。
これは、マズいぞぉーーー。

人知れず悩みつつ、トボトボ歩いて長いトンネルを抜ける。
トンネルを出た先は交差点になっていて、
そこにはなんと、微妙な笑顔の修行さんご夫妻がッ!!

「あれにどうやって乗るのかな、見てみたいねーって…。」

アルティメットにはまだ自信がないので厳原市街は歩きます!と堂々宣言して出てきた俺だが、
まさかこのいかにも走りやすそうなトンネルまで歩いて出てくるとは思わなかっただろう。
うひゃーーーー、俺、最高にカッコワリィ!!

それどころか、夫妻の心配さ加減がいやおうなく増してしまったようなのが問題だ。
今回はバイクを預かっていただいている身、出発を見送られて終わりというわけにはいかないのだ。
ここは少しでも安心してもらわねば…。

そう思った俺は、歩道上で少しアルティメットに乗って見せることにした。
ホラ、一応は乗れるんですよ!ということをアピールしたかったのだが、
ここで飛び乗り乗車にまさかの2連続失敗。
痛恨である。やはりザックを背負って乗るのは難しい。
そしてこの時、ご夫妻の表情に濃い斜線が入るのを見てしまったような気がしてしょうがない。
うわぁマズいマズい。
心配にムダな拍車をかけてしまったのは疑う余地もない。
ここはせめて、意味不明な笑顔で押し通すしかないな。

「いやー大丈夫ですよ!ダメなら全部歩きますし!ハッハッハッ!!」

こんな感じでムリヤリ景気よく再出発。
もう正直、振り返って顔を見られないよマジで。

#対馬、これは初めての。

イメージ 2

国道382号線、ひとまずこんな感じ。

歩道があるところはあり、ないところはない。
これは本州の幹線国道と同じ。
舗装の程度はわりと良い。
そして、前もって修行さんに聞かされてはいたが、思ったよりクルマが多い。

離島の道ならあまり周囲を気にせずアルティメットに没頭できるかと思っていたが、甘かったな。
乗る場所はよく選んだほうがよさそうだ。
大体そもそもまだマトモに乗れないのだが。

イメージ 3

お、さっそくきたよ。韓国がらみの看板。

だがこれだけではまだ何もわからない。
これからだな。
 
イメージ 4

ちょこっと雨が降ってきたか。
でもこれぐらいなら問題ない。たぶん止むだろう。

厳原の長いトンネルを出てから、風景がグッと離島っぽくなった。
今の対馬の人口は約3万人。
昔は倍の6万人はいて賑わっていたと修行さんのお父さんから聞いた。
どこも同じだろうが、とにかく若者がいないとのこと。

そういえば、夫妻の心配の最たるものは、
「もしも助けが必要な時に対馬じゃまわりに誰もいない」ということのようだった。
それほど人に会わない島なのだろうか…?

まぁアイスランドなんかは北海道プラス四国の面積に30万人しかいなかったからな。
あれに比べれば人間との遭遇率はまだマシなほうだとは思う。
 
イメージ 5

対馬を歩き始めてから、わりとあちこちで地図を見かける。
観光客への配慮が感じられるな。
なかでも韓国人旅行者からの観光収入が貴重であるという話は聞いているが、実際どれほどのものなんだろう。
もし韓国人が来なくなったら島の経済が破綻するぐらいであれば、それは深刻な話だ。

地図によるとここは根緒というところらしく、あともう少し北上すれば、
対馬の南北を分ける万関橋(まんぜきばし)というところに着くだろう。
 
イメージ 6

キスゲ、かな。

元中学校の生物の先生というお父さんいわく、対馬ではよく見られる花だそうだ。
花をボンヤリと眺められるのも、歩いているからこそ。
 
イメージ 7

比田勝(ひたかつ)まで、あと84キロだと。

フェリーが着いた厳原が対馬最大の町だとしたら、
同じく港町である比田勝は、対馬北部で最大の町なんだと思う。
当面の目標はこの比田勝になりそうだ。

84キロかぁ。
普通の一輪車なら気合い入れれば1日でも着きそうな距離ではあるが、
今回はアルティメットホイール。
しかも今のところロクに乗れないんじゃあ、こりゃ何日かかるかわかったもんじゃないな。
イメージ 8

鷄知と書いてケチと読む、少し大きめな町まで来た。
(本当は鶏の字のつくりが鳥ではなく隹なのだが、機種依存文字らしいので鷄知と書く。)

おお、なんとゲオがある。それにダイレックスというディスカウントショップまで。
これはありがたいな。
なんせここまでの道のりで、こういった店はもちろん、コンビニもまったく見当たらなかった。
この先このような店があるかどうかはわからないので、今のうちに思いつくモノは買っておこう。
といってもメモ帳とか、スネ用パッドがわりのサポーターの追加ぐらいだが。

それはそれとして。
トンネル事件以降、スキを見つけては何度かアルティメットにトライしてきた。
でもなぁ、こりゃムリでしょ。しんどすぎる。重い。
なんとか乗ってもすぐにモモが疲れてしまう。
これは…いいトレーニングだ…。

しかし、これぐらい追い込まないと、ズボラな俺は成長しないというのもまた事実。
今みたいにヒョコヒョコではなく、歩くように乗れたらラクそうなんだがなぁ。
どっちも2本足で進むのに、歩くのはそこまで疲れないわけだからな。
まぁ、考える時間と試す機会だけは山ほどある。
ボチボチいきますか。