対馬旅 6月27日 自業自得なだけに

#のぼってくだって
 
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なかなか冷えた夜だった。
バイク用のメッシュジャケットの上からトレーナーを着て寝たが、
深夜に寒さで目が覚め、さらにカッパの上下を着込んでやっと眠れた。
九州とはいえ、梅雨時の夜中ではまだまだ油断できないな。
ここはドアが閉まるタイプの完璧なバス停なので外よりは温かく、非常に助かった。
どうもありがとう&おじゃましました。

さて、早朝5時か。
アーバン野宿は遅く来て早く出るのが基本だ。
さっさと出発しよう。

この鑓川という集落を出て、ふたたび主要地方道の北上を再開。
明るくなって見てみると、地方道とはいえ道は良くて国道に引けを取らない感じだ。
だがそれはいいとして、昨日の万関橋を過ぎたあたりから、俺のスマホはまるで電波を拾わなくなった。
やはり離島でソフトバンクってのはムリがあるんだな。

電波の受信状況を調べてみると、ドコモの電波はこのあたりでもちゃんと飛び交っているのがわかる。
対馬の人はほとんどがドコモなんだろうなぁ。
俺のスマホどこまで行けば復活するのやら。

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海沿いを進む地方道39号線は、峠を越えては小さな漁港、ひたすらこの繰り返し。
さすがはリアス式海岸の島。
実際に歩いてみると、海岸線が入り組んでいるのがよくわかる。
アルティメットを肩に担いで歩くフォームがだんだんサマになってきた。

ちなみに漁港で見かける船は大抵、デカい電球をたくさんブラ下げたイカ釣り船。
この辺はイカが獲れるんだな。

地図によるとこの周辺には「身投岳」という山があって非常に怖い。
さらにその奥が深入岳って…。絶対入りたくない。

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朝からもう何度目かの峠越え、トンネル越えをしてきたところでおもむろに、
鶏知(けち)でも見つけたディスカウントショップ、ダイレックスを発見。
これといって町でもなんでもない場所なのにいきなりどうした。

しかし惜しむらくは、まだ営業時間には早いということ。
昨日の昼に食べた修行さんの弁当以降は何も食っていないので、俺でもさすがに少し腹が減っている。
どうしたもんかと考えていると、普通の自販機の横に、なんとアイスの自販機が!
最近は甘いモノを食べないようにしている俺だが、この状況では話は別だ。
アイスを食う。立て続けに2本食う。
うまい。

実は、この自販機の近くには、さっきから1人の若い女性が立っているのだった。
少し早く出勤してきた店員さんだろう。
日本人だとわかってもらうべく元気よく挨拶してみたところ、会話が始まった。

「それ、乗れるんですかー?」

「い、一応は…。ところで、韓国から来る観光客って多いんですか?」

「多いですよー。でも、むこうの自転車の人たちはウェアをバッチリキメた人ばっかり。
 あなたはちょっとこう…違うような格好だったからアレ?と思ったんですよ。」

あぁ、微妙な格好だから違和感があったというわけですね。
なるほどよくわかります。
しかしふーん、自転車っていってもロードレーサーで走る人が多いんだな。
観光客の自転車といえばママチャリを想像していたが、だいぶイメージが違ったようだ。
 
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対馬には、ツシマヤマネコという島固有の生物がいるらしい。
なんと天然記念物だ。

調べると、日本にいるネコは、イエネコかイリオモテヤマネコか、ツシマヤマネコのみ。
しかも20世紀にイリオモテヤマネコが発見されるまでは、
ヤマネコといえばツシマヤマネコのことだったらしい。
そして現在、生息数は推定100匹ほどと言われている。

うわ、貴重な存在なんだな。
地元の人でも滅多に見かけることはないというが、
修行さんのお宅にはお父さんが撮ったという、思いっきりカメラ目線のいい写真があった。
まぁ俺はこの手の珍しい生物にはどこに行ってもまず遭遇しないので、あまり気にしない。
徒歩とアルティメットホイールじゃ飛び出したヤマネコを轢くような心配もなくていいじゃないか。

ところでこの看板、下のほうに小さく『長崎県』と書かれている。
そう、対馬って長崎県なのである。
福岡県のほうがよほど近いような気がするし、実際に船も博多から出ているのだが、なぜか長崎県。
これには色々と経緯があるらしいけど、つまりオトナの事情ってことでいいだろう。
政治問題になってるわけでもないしな。

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今日は朝からアップダウンの連発だ。
ここまで何本の峠を越え、トンネルをくぐってきたことか。
アップダウンが多い島だとは聞いていたが、確かになー。
ということで、今日はまだほとんどアルティメットに乗っていない。
そのかわり、疲れた時はホイールを椅子がわりにして休むという高等テクを編み出した。

ただ歩くだけならこれほど疲れはしないと思うのだが、
最近のマイブームで地下足袋を履いてきてしまったところが非常に感慨深い。
ハッキリ言って、足の裏が痛い。
 
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写真ではわかりにくいけど、対馬の海は透明度が高く、エメラルドグリーンでなかなか美しい。
陸地からかなり離れた島だから、水質は外海のようなものなのかもしれない。

外海だけに、フェリーも揺れる時はすんごい揺れるそうだ。
俺はもちろんそんな時に乗ることはない。絶対にない。
 
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また上りか。しかも10%。
歩いて進むと長いよなぁ。
最初の頃はあった歩道もサッパリなくなったし、正しく地方道って感じになってきたよ。
ソフトバンクの電波にいたってはもう期待する気も失せた。

ところでさっき、この旅で初めて、クルマのドライバーから声をかけられた。
男性2人が乗っていて、第一声が「日本の方?」。
どうやら俺がアルティメットホイールを担いで歩いているのを見て、
自転車がパンクでもしたのかと心配してくれたらしい。

なるほど、ハタからだとそんな風に見えるんだな。
これからはなるべくアルティメットが目立たないよう、道路と反対側の手で担ぐようにでもするか。
 
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坂を上り切れば、峠の頂点はトンネル。
本当にこの繰り返しだ。あんまり続かれると疲れるわ。

でもトンネルがなければもっとキツい峠越えになっていたハズで、ここは文句を言う筋合いではない。
むしろ掘ってくれてありがとう!
そういえば北海道で修行さんが言ってたなぁ。
対馬は坂とトンネルばかりの島であると…。