クロスカブおかわり
最近ハスラーばっかり乗ってクロスカブのことをすっかり忘れてしまったのね!
そう思われるのは心外だ。
実はクロスカブ、またエンジンをバラしていたのだよ。
前の修理で大きな異音は直るには直ったんだが、
どうもそれとは別に、エンジンの前あたりでカチャカチャ…というかすかな雑音が発生しているようなのだ。
カブのエンジンで前方にあるモノというと、バルブ、カム、カムチェーンなど。
そういえば前の修理ではピストンとシリンダーばかり気にして、そのへんはロクにチェックしなかったな。
エンジンが温まると音も消えて気にならないのだが…いやそれはそれで気になる!
というわけで、またエンジン分解ワールドに突入。
ほい、カムですよ。
燃焼室に混合気を送り込むバルブを押し出すための重要なパーツだ。
興味がない人には完膚なきまでに興味がないことであろう。
どうだ、興味のない話はつらいか、退屈か。フハハハ。
えーさて、ベアリング損傷なし。カムにカジリなし。つまり異常なし。
異常はないけどクロスカブのエンジンを開ける手間を大して手間と感じなくなってきた自分が怖い。
カムが無事なら次はバルブの調査というのが順当なところだろうが、
バルブを分解して調べて直すというのは非常ーに面倒だしイジリ壊しそうなのでそこはキラーパスし、
続いてカムチェーンとカムチェーンテンショナーのチェックといこうか。
まずはブラックボックスから引っ張り出してきたこんな道具を使ってフライホイールを固定し、
まんなかにある固いナットを外しまして、
じゃあ今度はフライホイール本体をひっぺがしましょう、というところで問題発生。
手持ちのフライホイールプーラーが合わない。
そもそもフライホイールというのは、磁石の重りである。
磁力によって強力にくっついているので人力で取れるモノではなく、
コイツを外すためにはフライホイールプーラーという特殊工具が必要なんだよ。
こういうヤツ。
これはどこにでも売ってる汎用フライホイールプーラー。
フライホイールのメスネジに対してオスネジをネジ込む構造なんだけど、
クロスカブのフライホイールにはなんと直径28ミリのオスネジが付いていやがった。
オスに対してオスが合うワケがない。いや人間界の特殊な話は別としてな。
とにかく変わった造りだなぁー、ということで、
こういうのを買うハメになった。
これはメスネジバージョンのプーラーだ。
いやー通販ってつくづく便利だなぁーと喜んでいたら、これがまた合わない!
カタチと径(M28)は合っているのだが、ネジのピッチが合わないのだ。
ピッチ1.0ではダメで、どうやらピッチ1.5じゃないとダメらしい。
そして、M28のP1.5というプーラーは、単体ではネットのどこを探してもない。
ちなみにカブのサービスマニュアルに載っている純正特殊工具はとっくに品切れなのでこれもダメ。
ここで思いつめた俺は、
ついに禁断の『フライホイールプーラーセット』を買ってしまった。
まぁ意外と安いんだけどな。
しかしこのセットにある『M28 P1.5』というヤツが、
買って初めてわかったがオスネジタイプだったので結局意味なし。
オスにオスが…というのはもうイイとして、
おいおいこれじゃなんのために買ったんだよ!
そう、こんなことをしている間に、いたずらに日々は過ぎていったのだ。
こんな田舎で人知れず、ムダな努力を続けていたのですね。
なんて素敵な殿方なのでしょう。
こうなったら最後の手段!
職場から借りてきたフライホイールプーラーならぬベアリングプーラーで勝負だ。
用途が違うのでムリヤリっぽい引っ張り方になるが、他に打つ手なし!ウラアアア!!!
ってやると、あっさりと外れました。ポコンって。
初めからこうしときゃ…い、いや、これも経験、いいいいい勉強になったよなあああああ。
祝フライホイール脱着記念ということで、カブ110のオートカムチェーンテンショナーの図解。
下のピンがエンジンオイルの油圧で押し上げられてカムチェーンの弛みを自動で張る構造なのだね。
ちなみにピンは油圧を受けて上がるけど下がりはしない特殊な構造になっているので、
オイルを抜くまでは一度張ったチェーンが弛むことはない。
だからオートカムチェーンテンショナーというわけだ。
最近知ったのだが実はこれ、昔のカブからほとんど変わっていない伝統的な構造だったりする。
オートではない手動調整の頃から基本はそのまま。
世界のカブも新型110ccになってまったく別物になったと言われたりするが、
こういう基本的なところはしっかり過去のノウハウを受け継いでいるのだな。
テンショナー周辺は異常もなく綺麗なモノだったので、うっすら本命視していたカムチェーンを取り出す。
上が旧品。下が新品。
どうだろう。わかるだろうか。
そう、まったく一緒だ!
まるで伸びてねぇ!
異常ナシもいいとこ!!
まさか、ここまでバラした挙句、異常部位を見つけらないとは…。
こうなるとあと怪しいのはバルブか、根本のフライホイールベアリング、ぐらいかな。
どちらにしろ素人にはおいそれと手を出せないところだ。
しょうがない、これでまた元通り組み直すとしよう。
それでもとりあえずちゃんと走るわけだし。
そして組み上げてさっきちょっと走ってみたら、
オイルが回る最初にいくらか音がしたけどエンジンが温まるとすっかり無音で調子イイ感じ。
ふーん、これは結構いいセンいってるかもしれない。
もうこれでヨシとしちゃおう!
復活復活!!
うわ白い。
ここ数日の雨が山頂では雪になっていたんだな。
そのうち初雪が降ってバイク通勤できなくなるのが先か、今年の仕事が終わるのが先か。
寒いのイヤだからもう終わってもいいぞー。