5月4日 壊れた英語でよかったら

 
昨夜はサンタローザ郊外の変なところで寝たので食料を買えなかった。
ほんの数キロ戻ればサンタローザの町に店はあるのだが、
一方通行のフリーウェイを逆走して戻るほどの気にもならない。
 
 
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あ、廃墟。
フリーウェイ上でガスステーションの標識をみつけて下りてみたら、思いっきり閉店している。
これ廃業したの何年前だよ。標識片付けとけって。
 
しかしこの場所には看板が立ててあり、それによると、
ここから24キロ先にあるカアーボという町にはガスステーションがあるらしい。
ふーむ、24キロぐらいなら水や食料が乏しくてもどうにか行ける。
そうと決まればサッサと向かおう。
 
ここで、アルバカーキで買ったプラスチックバケツを踏み台に使って乗車。
名づけてバケットスタートだ。
よっしゃ、2回目成功!
 
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そこから24キロ進んで、カアーボのガソスタ。
ガソリンはありそうだが、なんと食料は無い!!
 
これまでアメリカのガソスタには必ず食料品も置いてあったのに、ここに限って水も食料もない。
ヤバい、こんなことならサンタローザで買っておくんだった。
諦めきれずにしばらく前をウロついていたら、中からおばさんが出てきた。
彼女によると、食料を買える店はここから8マイル先にあると。
8マイル、13キロか。
オッケー、それぐらいなら行く!
 
ところで彼女、この店に食料が無いと知って落胆する俺に対し、
I''m sorry... と、さも申し訳なさそうに言ってくれるのだった。
アメリカ人はメッタなことでは謝らないと思いこんでいたので、少し驚く。
 
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13キロの距離なら普段は2回ほど休憩を挟みながらゆっくり進むところだ。
しかしこの先に店があると知った今、股の痛みでどうしても降りる以外は休憩不要。
水と食料のためならガンガン行くぜ!
 
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ピッタリ8マイル先に、店がちゃんとあった。
よかったよー、ここでも食料が買えなければ本気でどうしようかと思った。
ガマンした後のスポーツドリンクはうまい!
 
水と食料をしっかり買い込んでじっくりと休み、多少元気を回復したら、再出発だ。
 
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カアーボの町からは店を求めてフリーウェイの側道になっている旧道を進んできた。
偶然やって来ただけだが、道がいいのでこのまま旧道を行こう。
 
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旧道はクルマも超少なく、手間と時間のかかるバケットスタートも道の真ん中で思う存分できて快適だ。
こんな道がこのままずっとオクラホマまで続けばいいのに。
でもそうはいかないんだよなぁきっと。
またすぐに側道が消えて、フリーウェイに戻るハメになるんだ。
 
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案の定側道はなくなり、ふたたびフリーウェイの路肩を突っ走る。
もうじきトゥクムカリの町かなーってところで、走行1000キロ達成。
 
やっと1000キロか…。
ここまで来るのに約3週間もかかってしまった。
旅の最初の頃はとにかく乗れなかったからな。
ちなみに1000キロと言えば、一昨年のキューバ横断ではもう旅が終わっている距離である。
そう考えれば結構走ったのかもしれない。
 
1000キロを達成し、夕暮れの近いフリーウェイの路肩をさらに進む。
そろそろトゥクムカリの町が近いなという、そんな時。
フリーウェイを跨ぐ陸橋の上に停車していた黒いトラックが動き出すのが見えた。
そしてトラックはインターからフリーウェイに進入してくる。
あれはたぶん、俺に用があるクルマだな。
 
クルマはフリーウェイに入り、俺の真横に並んで止まって、ドライバーが話しかけてくる。やっぱり。
彼は新聞記者だと名乗り、俺の取材がしたいと言う。
ふーん、新聞の取材ねぇ。別にいいけど。
とにかくこんなフリーウェイの路肩で話し合うわけにもいかないので、
すぐそこのトゥクムカリまで移動することを提案する。
彼、スティーブは提案に賛成し、俺と荷物をトラックに積み込むと、トゥクムカリに向かって走り出すのであった。
目指すはマクドナルドだ!
 
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トゥクムカリのマクドルドにクルマを止め、インタビュー前にまずは撮影の図。
自分を正面から撮った写真は少ないのでなかなか貴重だ。
鼻の日焼けが痛々しいなー。
 
マクドに入り、それぞれ自前でコーヒーとハンバーガーを注文したら、インタビュー開始。
スティーブは誰かに俺の存在を聞いたわけではなく、
たまたまフリーウェイを走っていたら路肩をゆく俺を目撃し、あの場所で待ち受けていたそうだ。
彼が勤めているのはローカル新聞社で、
彼の新聞もこの記事もトゥクムカリ周辺のごくローカルな範囲でしか発行されないらしい。
あまり目立つと後が大変そうなのでそれぐらいが丁度いいだろう。
 
スティーブはちょっと意外なほどあれこれと深くインタビューしてくる。
適当な英語で適当に答えているのがだんだん申し訳なくなってくるが、
そもそもボキャブラリーが少ないので、心に浮かんだことを全て英語に変換できないのだ。
そんな俺のブロークンイングリッシュ攻撃にもめげず、彼は粘り強くインタビューしてくれたと思う。
 
 
メガネをかけているスティーブ。
息子は沖縄の空軍基地にいるそうだ。
 
「へー、息子さんはパイロットなの?」
 
「いや、整備のほうだよ。私と同じで目が悪くてね。」
 
彼と話しているうちに、外はすっかり暗くなってしまった。
今日はこのトゥクムカリのどこかで寝なければなるまい。
この際だし、たまにはモーテルに泊まるのもいいが…。
 
トゥクムカリで安いモーテルを知っているかとスティーブに聞くと、
心当たりがあるから連れて行ってあげようと言ってくれる。
ありがたくまたクルマに乗せてもらい、そう広くもないトゥクムカリの町を走る。
 
彼が連れて来てくれたのは、Safariという珍妙な名前のモーテルだ。
ここも確かに安そうではあるが、俺としてはさっき一瞬みかけた27ドルと書かれたモーテルが気になる。
スティーブにそう告げると、彼は快くそのモーテルまで引き返してくれるのであった。
 
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はいこれ。モーテル・アメリカーナ。
27.95ドルはさっきのSafariより安い。部屋も空いてそうだしここに決定だ。
 
ところでここ、看板にわざわざ American owned と書いてあるからアメリカ人が経営しているのだろうと思いきや。
受付にいたのは明らかにインド人である。しかもインド人のおじさんである。愛想が微妙。
受付の奥の部屋からはインド風の音楽が聞こえてくる。
これのどこがアメリカーナだよ!!
 
そんなことはともかく、今日はここでいいや。
スティーブにお礼と別れを告げて、今夜の寝床にイン。
 
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おっ、中は広いしちょっとしたキッチンとガス台まであるぞ。
 
そういえばあの愛想の微妙なインド人おじさん、
「荷物が多そうだから広い部屋にしてやったぞ。」
みたいなこと言ってたな。実はいい人なのかもねー。
WIFIが弱くて部屋を出て事務所棟の前まで行かないと使えないのが難点だけどねー。
 
今日の走行は83キロ。
風もそこそこで旧道もフリーウェイも大してストレスなく走れた。
脚の痛みは少しマシになっているかもしれない。
プリシラの湿布が痛みを取ってくれているのかな。
 
今日は何度かバケットスタートを試みた。
だんだん慣れてきて成功率も上がってきたのは良いのだが、
プラスチック製のバケツが早くも歪んできたのが気になる。
慎重に使わないとすぐダメになりそうだ。
やっぱ金属の缶にしておくべきだったかな。
 
今日も疲れた。
広いベッドで大の字になり、何も考えずに寝よう。