5月10日#1 オクラホマ・シティ

 
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最近の旅の主食と化しているケロッグ・ポップタルト。
安くて量が多くて食いでがあり、味も6種類ぐらいあって飽きにくい。
値段は店によって変動はあるが大体1ドル前後。
人力旅でもしてなきゃただの甘ったるいお菓子だろうに、今はこれが立派な食料だ。
 
エルクシティとクリントンというそこそこの規模の町をスルッとパスし、一路オクラホマを目指す。
調子がよければ今日中にオクラホマシティに肉迫できるかもしれない。
なんせ雨予報の天気がこわいのだ。できるだけ早く街に近づかなければ。
しかし今日もやっぱり横風がキツい!
ホントこれさえなければなー…、と毎日思ってるよ。
 
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次の町、ウェザーフォードまであと20キロ。
本日60キロを走ったところで、フリーウェイの路肩にズガッと止まったクルマが1台。
最初の頃は停車禁止のフリーウェイで停車するクルマにいちいちビビッていたが、最近はもう慣れた。
 
クルマから話しかけてきたのは旅行中とおぼしき夫婦だ。
彼らがなんで俺に興味を持ってくれたのかと言うと、
なんと彼らは昨日、ニューメキシコ州のトゥクムカリで俺の記事が載った新聞を見たのだという。
へー、こんなこともあるんだな。
インタビューを受けた甲斐があったというものだ。
 
彼らは旅行を終えて家のあるインディアナ州に帰る途中らしい。
乗って行きなさいよと誘ってくれるので、ここはありがたく乗せてもらうことにする。
ここしばらく風が強くてユニサイクリングができなかったし、これから雨も降るだろうし、
それに何より、新聞を読んで俺の話を聞きたいと思ってくれたことが嬉しいしな。
 
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車窓から眺める風車の群れ。
 
テキサスを抜けてオクラホマに来ても、あいかわらずしょっちゅう風車をみかける。
このあたり一帯はよっぽど風が強いということだろう。
俺自身もさっきまであれほど翻弄されていた強風が、
デカいフォードのクルマに乗ってしまえばもう微塵も感じないってのはまったくおそれいるよ。
 
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白や黒の点みたいなのは全部ウシ。
牧場の境界がどこにあるのかわからない。さすがにアメリカの牧畜はスケールが違う。
 
ところで、乗せてくれた夫婦はニックとアンジーという。
インディナで育ったアンジーは昔、自転車でアメリカを横断していた自衛隊員を家に泊めたことがあるそうだ。
その自衛隊員はカリフォルニア州からニューヨークを越えてさらにメイン州まで走ったというから、
まさに本当のアメリカ横断である。根性あるなー。
 
それはそうと、オクラホマシティも近くなってきたというのに、予報のサンダーストームはどうしたんだ?
視界には雲さえなく思いっきり晴れているのだが。
そう言うと、アンジーがおっしゃることには。
 
「ニックも天気予報を見ては雨が降るとかなんとか言うの。
 でも私は自分の目を信じるわ。外に出て空を眺めて、大丈夫だと感じれば大抵降らないものよ。
 私の予想のほうがよっぽど当たるんだから。」
 
ふ、ふーん。そう言うもんですか…。
 
こんな調子で気さくな夫婦とあれこれ話しているうちに、クルマはすぐにオクラホマシティに着いてしまった。
彼らはこれからミーアキャットを見物するために南の国立保護区に向かうらしいので、
オクラホマシティの真ん中あたりのインターで下ろしてもらう。
 
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ニックとアンジー。
こんな早い時間に雨に当たることなくオクラホマシティにたどり着けるとは思わなかった。
どうもありがとう!
良いミーアキャットを。そして無事にインディアナに帰り着いてね。
 
えー、さて!
思いがけずワープして、一気にオクラホマ州の州都、オクラホマ・シティにやって来たぞ。
この街は俺の1つの目標地点でもあったんだ。
ここはニューメキシコで出会ったナイスガイ、パーカーが住んでいる街だからな。
再会を約束した彼にまた会うのが楽しみでここまで旅をしてきたようなものだ。
 
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しばらく街を歩くと、オクラホマ・リバーにブチ当たる。
この大きな川、とにかく赤い。
土が混じりこんでいるせいだと思うが、なんせ赤い。これにはビックリだ。
 
そしてもう1つビックリすること。それはこの街のガラの悪さ。
クルマを下りて歩き出して3分でここはヤバいと感じた。
街並みはボロいし、見かける人間もちょっと怪しげ。
クルマに乗った黒人家族のおばさんに「一輪車に乗って!」と言われ、
街中なので断ると、「どうしても見たいのよ!!」としつこく絡まれる。
おいおいおい。ノリが南米だぞ。
 
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ガソスタで休憩中。気分は良くない。
 
パーカーにもらった地図を頼りに歩いてきたが、この街もまたひたすら広い。
ガラが悪いしオマケに広いしついでに暑い。たまったもんじゃない。
休憩と食料確保のために入ったこのガスステーションでも外にはヤバそうな人間が数人たむろっていたので、
狭い店内に荷物を全部持って入るハメになった。
店の入口には『バックパックを持って入店するな』と書いてあるのだが、しょうがないだろうよ。
そもそもこんなことを書いてある時点で治安が悪いことがよくわかる。
俺はアメリカでも田舎だと荷物を外に置いたまま買い物したりするんだが、ここはさすがに論外だな。
この店の兄ちゃんが妙に愛想が良いところがわずかな救いだ。
 
それでもなんでも、ここまでは来た。
そろそろパーカーのところに電話でもしてみるか。いきなり押しかけるのも失礼だしな。
しかし、電話してもし相手が出たらなんて喋ればいいんだろう。
名前を言えばわかってくれるかな。
英語で電話というのはいつまでたっても苦手だ。
 
カリフォルニアでスコットからもらった携帯をありがたく使ってパーカーに電話をかける。
が、出ない。
あれー。
ヒッピーのくせに忙しいのだろうか?
この調子じゃ不在かもしれないが、とにかくここまで来たんだ。
かくなる上は、ヤツの家を直接訪れるしかあるまい。
 
やれやれ、もうちょい歩くか。