5月18日 幻の姉
今日は月曜日かと思っていたら、まだ日曜日だった。
オザークの町のモーテル。
宿泊客のバイク(ホンダXR400)がついつい気になる。
今日も空模様がイマイチだ。これではガンガン進む気にならない。
チェックアウトまでの時間を広い駐車場を走り回ったりしてなんとなく過ごす。
自分の撮影が終わったところで別の宿泊客に話しかけられ、彼のためにまた走り回るハメになったりする。
天気が悪いと写真も映えないなー。
朝になってもしつこくくつろぐ俺。
一泊61ドルもした高くて居心地のいい部屋なので、ハッキリ言って出づらいのだ。
できることならこのまま1週間ほど滞在したいぐらいだ。
やはり一人の部屋はいい。自由で快適。
久しぶりのモーテル泊、金を払う価値は充分にあった。
受付に行くと朝食用のお菓子やフルーツがたくさん置いてあったので、たくさんいただいてくる。
いいなぁ、宿泊代が高いと朝食も普通に出る。モトを取った気分でとても清々しい。
ところで、昨夜からこのモーテルのWIFIを使ってずっと調べていることがある。
アメリカ各州におけるフリーウェイでの一輪車(自転車)走行の可否についてだ。
まず、カリフォルニア州ではフリーウェイに乗らなかった。
アリゾナ州、ニューメキシコ州は他に道がないような場合のみ部分的に走行可。
テキサス州、オクラホマ州は俺が走った区間ではすべてOKだった。
そしてここ、アーカンソー州は一輪車(自転車)でフリーウェイを走れない。
肝心なのは今後だ。
ルートはまだ確定していないが、とりあえず通りそうなところを調べると。
アラバマ州はダメっぽい。
テネシー州、ジョージア州は行けるかもしれない。フロリダ州はよくわからない。
つまり、ネットでちょっと調べた限りでは、絶対行ける!という州が見つからないのだ。
アメリカは州の力が強いので、各州で自由に決められる裁量権が大きい。
そのなかで、道路における自転車の扱い方は2通りに分かれる。
それは、自転車がビークル(車両)なのか、デバイス(道具、遊具)とみなされるのかという違いだ。
日本では自転車は車両の扱いで、一輪車はローラースケートやスケボーと同じ遊具だと聞いたことがある。
日本ならば当たり前に一律で決まっていることが、この国だと州によってバラバラなのだ。
普通に考えればおかしいような気もするが、これぐらい広い国だとそういうものかもと自然に思えてしまう。
さて、残念ながらチェックアウトの10時になってしまった。
辺鄙なところにポツンとあったわりには値段が高くて快適だったこのモーテルともおさらばだ。
ニューメキシコ州以来のモーテル泊だったが、やっぱりスタッフはインド人だったなぁ。
今日はまず、クラークスビルという町を目指すつもりだ。
ここにはオクラホマで知り合ったネイの姉が住んでいて、町を通る時には電話するようにと言われていたのだ。
平日は夜なら家にいるとのことだったが、今日は実は日曜だった。
ならばムリに夜に着く必要もないか。
後はなりゆきに任せるとしよう。
ちなみにこの鉄製ピースサインはネイにもらったものだ。
鉄だけにちょっと重いんだが、なかなかいいアクセントになっていると思う。
ネイはヒッピーで煙好きだがマジメでおとなしいヤツだった。
そしてその姉、その名もアナジョーは、学校の先生をしているそうだ。
それも英語、つまり日本でいう国語の先生であるらしい。
うわああー俺のブロークインイングリッシュ最大の危機!!
オザークからクラークスビルまで。
向かい風にもかかわらず調子は良い。
暑くないのと、アップダウンが緩くなったからだな。
それと、ささやかとは言え今日は目的があるからだ。
昼前にはクラークスビルに到着。
なんだか妙に細長い町でどこが中心かわかりづらい。
アメリカで電話するとなると、カリフォルニアでスコットにもらったプリペイド携帯の出番だ。
ありがたく使わせてもらうが、スーパーの駐車場からかけたら留守電。
もうちょい進んでガソスタ前から電話しても、やっぱり出ない。
うーん、取り込み中か。教会にでも行っているのだろうか。
でもまあ、出ないならしょうがない。
住所も知らないんだからこれ以上どうしようもないもんな。
ここまでは目的があったので思ったより早く来られた。
休憩も少なく大したものも食べてこなかったので、フライドチキンでも食おう。
顔も知らないネイの姉、アナジョーとはどうやら縁がなかったようだ。
目的を失って自分でも意外なほど力が落ちたが、気を取り直して再出発。
夕暮れ間近のガスステーションで、スパニッシュ系の陽気なカップルに写真を撮られる。
なんだか色々と褒め称えてくれるのだが、俺も疲れているのでイマイチ耳に入ってこない。
何か記録を狙っているのか?とか聞いているみたいだ。
いやいや、一輪車でのアメリカ横断なんて俺が最初の人間ってわけじゃないよ。
そういうことを苦労して説明してみるが伝わったかどうか。
良い寝床がみつからないまま暗くなるまで走ってしまった。
ロンドンという珍妙な名前の町の、フリーウェイ出入り口付近で寝ることにする。
今日の走行は68キロ。
やはりハイウェイの旅は進まないし、寝る場所探しが難しいな。
その点、たとえ乗れなくても、使い慣れたフリーウェイ沿いに来ると心強い。
リトルロックはまだまだ遠いな。