6月19日 結末は続く



イメージ 1

これがおそらく、最後のモーテル出発。

昨夜買って来て飲んだコーヒーがデカフだったせいか、歯磨きもせずに熟睡してしまった。
デカフというのはdecaf、カフェイン抜きコーヒーのこと。
アメリカでは気にする人が多いのか、かなり普及している。
味はやっぱりちょっと物足りない。

イメージ 2

さて今日もいい天気だ。
あと70キロぐらいかな。
油断せずに行きましょうー。

イメージ 3

バケットスタート用の缶。
ずいぶん錆びた。
傷だらけでボコボコになったが、丈夫なので使用にはまったく問題ない。
サングラスやグローブの入れ物としても重宝したぜ。

イメージ 19

これはテキサスのホームセンターで買ったばかりの状態。
美しい!

コイツを使った跳び乗り乗車を編み出してから一輪車旅が順調になったんだよな。
今までよくがんばってくれたよ。
新品に金属のツルは付いていなかったので、先代のプラスチックバケツの金属ツルを再利用している。
こっちも擦り切れたりせずよくもってくれた。

イメージ 5

フロリダに入って、あきらかに水気が増えている。
地図を見るとこの辺は池だらけだ。もろに湿地帯。
かといって虫が多くて悩むということは不思議となく、そこは助かる。
あのアーカンソーの虫の大群は何だったのか。

イメージ 4

隣にあるのは、線路と跳ね橋。
今も使われているのだろうか?

アメリカの鉄道は今やほとんどが貨物用なのだと思う。
そのせいか、施設はなんともローテクといった感じがする。
そんな古ぼけた線路の横を、レジャーボートを引っ張ったクルマがビュンビュンと走り抜けてゆく。

イメージ 6

これはニューメキシコでプリシラにもらった水筒。
WWFのパンダの絵柄が半分ぐらい消えてしまった。
ペットボトルに比べて潰れにくいので重宝した場面もあったが、
近頃は入れておいた水がぬるま湯になってしまうので、正直あまり出番がない。

今日は市街地を進むため難行が予想されたが、
歩道が長く続いてくれるので意外にもよく進めている。
傾斜や凹凸のある歩道は多少走りにくいけど、あるとないとじゃ天地の差だ。

同じような規模の街でも、歩道がどれぐらい整備されているかは、その街の整備方針によると思う。
ラッキーなことにオーランド近郊はアタリっぽいな。
こういう街は好きだぜ。

イメージ 7

オレンジシティからサンフォードという街あたりまでは快調だったが、ここで急に雨。
セブンイレブンでピザを食いつつ雨宿り中。

一時的なものだろうが、かなりの勢いだ。
さっきまでなんともなかった道路が川のようになってしまった。
まさに南国のスコールだな。
もし逃げ場のない場所にいたら厄介なことになっていただろう。

イメージ 8

これはアリゾナで買った靴。
もうだいぶ前から底に穴があいている。

すっかり忘れていたが、日本からは地下足袋を履いてやって来たのだった。
地下足袋で歩くのがマイブームだったせいだが、
背の高い36インチユニの乗り降りには、薄い履物は衝撃が強すぎて堪えた。

あの時痛めた両脚も今はすっかり治ったなー。
一時は一輪車での旅を本気で断念するところまでいったのだが。
人間の治癒力ってのは本当にすごい。

イメージ 16

スコールが止むとスッキリと晴れてくれるのも南国っぽい。

この辺からそろそろオーランド市街。
目的地だ。
歩道のある良い道が他に見つけられないので、
結局はオーランドを貫通するメインストリートを走るハメになっている。

イメージ 17

歩道とバイクレーンを行ったり来たり。

市街地にしては走りやすいところだ。
信号が多いぐらいは仕方がない。
日本と違って赤信号でも曲がってよい右折車両には死ぬほど気をつけてな!

イメージ 18

ゴールのオーランドに着いた!ということで、喜びのポーズ。

感慨にふけりたいところだが、まだ早い。
これぞオーランド!というような看板がみつからないのだ。

イメージ 9

もうとっくにオーランド市街に入ってるのになぁ。
てっきり入口付近に、

 WELCOME TO ORLANDO!!

みたいなドデカい標識があると思っていた。
何を隠そうオーランドはディズニーワールドがある観光地だからな。
まいった、すっかり期待ハズレだ。
なんとなく、そういった場所で写真を撮らないことには、ゴールした気分にならないよな。

イメージ 10

しょうがないので、看板を求めてオーランドの空港まで移動中。
信号待ちでサイクリストに話しかけられる。

「すごい、アメリカ横断中なのか!ゴールはどこ?」

「いやー、実はここなんだよ。今日で終わるつもりなんだが、空港まで行くハメになってねー。」

イメージ 11

そんな空港へと至る道のり。
おそろしいことに、歩道が完全消失。
ここってもしかして、歩行者自転車お断りの道路なのでは…。

日本の感覚で考えれば、どんな空港でも道路が通じていて、自転車や歩行者でもたどり着けるはず。
関空なんかの有料の橋で通じているところは別としてね。
しかしどうやらこのオーランド空港は、クルマでのご来場しか想定していない模様だ。
さすがはクルマ社会アメリカと言うべきか。

ここまで来たら、もう行くしかないけどな!

イメージ 14

空港の敷地内。
管制塔みたいなモノは見える。一応。

いやでもなー、これでフィニッシュ!!ていうには弱いよなぁ。
いかにも弱い。
やっぱりこう、オーランド!という文字が欲しい。
それだけはどうしても諦め切れない。

はぁ、看板のせいで最後の最後にえらい疲れるよ。
クルマは怖いしなぁ。

イメージ 21

空港内の周回道路をグルッと一周して、ついに看板を発見!
なんだか微妙だけど、もうコレでいい。
オーランドって書いてさえあれば!

イメージ 15

ゴーーーールッ!!!

イメージ 12

はぁ…。

看板のせいで、予想外に時間がかかってしまった。
まさか到着が夜になってしまうとは。

イメージ 20

この旅で最後の給水。

パッと思い出すことと言えば、水とスナックと、しんどかったことばかり。
人との出会いが!!とか、貴重な体験が!!とか、
そういうのはもっと後なんだろうし、もっと別なところに仕舞われてるんだろうと思う。

イメージ 13

最終日は74キロ走った。

アメリカ横断の合計は3842キロ、2387マイル。
かかった日数は65日。

フルでちゃんと走ってれば4000キロを超えたのだろうが、俺としてはこれで満足だ。

人生のうちで、やっとかないと後悔しそうなことを、また1つクリアすることができた。
そして今、ほかにやっておきたいことは特にない。
いずれ何かわいてくるかもしれないけど、こればっかりはわからない。
これが本心だ。

そんなわけで、一輪車でのアメリカ横断旅はこれで終わり。

ほなまた!!