オキアミへゆく 後編


続きだ。
マイアミオープンの準決勝を観戦した翌日は、一気にキーウエストまで行く。


キーウエストってのはこれ。
飛び飛びの島を結んだ遥か先にある、アメリカ最南端の町。
近いように見えるがマイアミからでも155マイル(248キロ)あるぞ。

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いきなりセブンマイルブリッジ。
ここがキーウエストへと続く国道1号線の白眉だ。
隣に見えるのは今は使われていない古い橋。

確かに絶景ではあるが、俺はこの時、もしここを一輪車で走ってたらさぞかししんどかっただろうな…と、そんなことばかり考えていたよ。
郊外の路肩を見ると一輪車で走っている自分を想像をする癖がいまだに抜けない。

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はい、文章だとアッという間のキーウエスト到着。
噂どおりの小さな町だが、思ったよりは発展している。

小規模観光地特有のスクーターレンタル業が繁盛しているため、この町限定でやたらとスクーターが多い。
運転に慣れていないのでもちろんヘタ。観光地なので脇見上等。しかもノーヘル。
最悪である。
交通安全上これほど危険な町もそうそうないという感じ。
こんな最果ての島で事故ったら切ないので気をつけましょう。

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ここキーウエストは、アメリカの国道1号線の始点かつ終点でもある。
この道の対向車線に似たような終点があるが、アメリカの国道自体に大して興味がないので始点だけ載せておこう。

アメリカの国道1号線はここから北にひたすら伸び、ニューヨークを越えてさらにどっかまで突き抜けて全長約4000キロほどあるんだそうだ。
1号線を走るだけでも相当な旅になるってことだな。
全然知らないが、世の中にはこの1号線をいろんな方法で走破した旅人がたくさんいるのだろう。

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そしてこれは、アメリカ最南端の記念碑。
ショボいのは別に構わないのだが、写真撮影待ちの列が延々と続いているのには耐えられない。
よってクルマで通過ぎわにピョロッと写真を撮って終了。

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ビーチにて、知らないお姉さんたちのサービスカット。
お子さまへの教育に配慮して逆光。

さっき最南端の碑を見てもさほど感激しなかったのは、その先にキューバがあるのを知っているからってのもある。
ここから150キロぐらい南には、あのキューバがある。それだけ。
そういえば、かつてキューバを旅した時、ハバナやバラデロからカリブ海を眺めて、

「この先にまだ見ぬアメリカがあるんだなー。」

などとボンヤリ考えていたものだ。
その時からいつかは行くような気がしていたし、結局やっぱり来た。
思いがそれほど強くはなくても、ただ思っていれば、自然とそちらに導かれるものだと思う。

さて。
キーウエスト観光の辛いところは、来たらまた同じ道を帰らなければいかんというところだ。
往復500キロの行程を引き返して夜にはマイアミに着き宿泊し…ってところは疲れるだけなので割愛。
そして話は翌日に飛ぶ。いきなり飛ぶ。

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マイアミオープン、決勝にな!

いやいやー、またここに来てしまったよ。
実は準決勝を観た後、決勝が気になってチケットを調べてみたところ、恐るべきことに準決勝のチケットよりもさらに安い値段が提示されていた!
ええええー、錦織対ジョコビッチのマスターズ決勝戦が一人約50ドル!?
そりゃ買いでしょ!!
…という経緯だったのだ。

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マスターズ初優勝への期待がかかる錦織圭と、今テニスをやらせたら世界で一番強い男、ノバク・ジョコビッチ。
この戦いが今から始まる。

いやもう実を言うと、観たいかと言われると微妙な心境なのだ。
準決勝でわかったが、テニスの試合は観ていると心臓に悪い。
しかも今回は相手がジョコビッチだ。ハッキリ言って分が悪い。
いろいろ悪い。悪いづくめで大丈夫か俺。
まぁいい、とりあえず落ち着け。

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うおぉ来たー、彼がジョコビッチ。
普通の人間だな。
YOUTUBEで観てたような有名人の実物がポロッと出てきても、案外なんとも思わないものだ。

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今回の席はこんな場所。
前と似たような遠さだがまったく問題なし。
さすがにマスターズ決勝だと客は満員近い。よく安い席が取れたものだ。

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ジョコビッチは、ここ2年ほどほとんど負けなしの無敵状態。
ポイント数もぶっちぎりでランキング1位を維持し続けており、まさに脂が乗りきっているところ。

最初のゲームこそ錦織がいきなりブレイクして期待させてくれたが、後からジワジワと追い上げ、追い越す。
強烈なサーブや華麗な技を放つわけでもないのに、パンパンとあっさりポイントを決めていく。
あんなの取れるか!という球をさりげなく打ち返し、あれは取れんわ!!と言う場所にピンポイントで打ち込んでくるのだ。
なんなんだよこの人。一体どういう練習をすればこんなことができるようになるんだ。
先日のキリオスとはまったく次元が違う。
これが世界最強のテニスか。

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対する錦織は、今日もやっぱりサーブが入らなくて苦しんでいる。
5回連続ぐらいサーブをミスり、さすがにイラついてラケットを放り投げたりもした。

それだけではなく、キリオス戦であれだけ圧倒していたラリーでもミスを誘われては押し負ける。
先日とはまるで別人のようだ。
錦織の調子がどうこうというよりも、本当にとんでもないヤツなのだろう、相手のジョコビッチが。

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途中で左脚を痛めたらしく、メディカルチェックを受ける錦織。
大舞台で戦っている選手にしかわからないことだと思うが、ジョコビッチを相手にするだけで相当ムリな運動を強いられるのだろう。
中断ののち試合は続行されたが、怪我が心配だ。

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再開されたゲーム中、大きな鳥の群れがスタジアム上を通過していく。
観客席からのホオーッという歓声に応え、空に向かって手を振るジョコビッチ。
大一番でも周囲が見えている、この余裕。
おそらくこの時点ですでに勝利を確信していたのではないか。

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結果は、ストレートでジョコビッチの勝ち。
難しいとは思っていたが、ここまで圧倒的な差をつけられるとは思わなかった。
見事としか言いようがない。

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死ぬほど悔しいだろう。
これからどう伸ばすかはすべて自分次第だ。

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まさに王者、ジョコビッチ。
圧巻の戦いぶりだった。
しかし彼もいつかは衰え、敗れる時が来るのだろうなぁ。
スポーツ選手というのはつくづく勝っても負けても厳しい世界だ。

こうして、男子シングルスの決勝は終わった。

だが、俺にはもう1つ、観ずにはおれない決勝がある。

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女子ダブルスの決勝がな!
おおっ、マテック姐さんが今日も前衛でしゃがんでいる。

ちなみにマスターズの決勝だと言うのに、観客が前回の準決勝よりもさらに少ない。
仮にも自国アメリカの選手が戦っているというのに、一体どういうことなのだろう。
少しでも盛り上げようというアイデアなのか、今回は空いている席に移動してもよいというアナウンスまである始末。
おかげでこうして姐さん&ロバさん組の雄姿が間近で観られるのだからまあ良しとしておこう。

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今日は姐さんにしては大人しめのコスチュームなのだろうか。
決勝だけにてっきり黄金バットみたいな格好をしてくれるのかと期待していたが甘かった。

決勝の相手はカザフスタンのシュヴェドヴァさんとハンガリーのバボスさん。
こちらも充分な実績があり、強そう。
マテック姐さんは勝てるのか!?

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うあー、姐さんにロブを上げてはいけない!
必殺ハエ叩きスマッシュが来るぞ!逃げろー!!

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ドゴーン。

思わず背を向ける相手ダブルス。
気持ちは痛いほどわかる。痛い目に遭いたくないもんな。
アメリカ人のマテック姐さんが、

「 got it !! (もらった!!)」

と叫んだ後のショットは大概こんな風になる。
頼もしい以外の適当な表現がみつからない。

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こちらもストレートで勝ちました。おめでとう。
そして自撮り。

展開が錦織v.sジョコビッチ戦と似ていたような気がする。
最初は競っているように見えても確実に差が開く。
この差がもう、実力の差なんだろうな。

予定外に準決勝と決勝の合計4試合も観戦してしまった今回のマイアミオープン。
非っ常ーーーーによいものを観せていただきました。
錦織選手をはじめ、戦ったすべての選手にありがとうと言いたい。

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ほんのちょっとだけマイアミの繁華街を見物。

自慢じゃないが私は繁華街が苦手だ。

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おおっ?ラーメン?
こりゃ入ってみる価値あるかも?

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…。
ボウル!
普通の銀のボウル!

しかも店員さんは中国人、メニューも英語と中国語。
の…のぼりに騙された…。

とんこつラーメンということだったが、やはり何かが違うという印象。ダシが薄いというか。
でもチャーシューやタマゴはおいしかった。
察するに、アメリカでのラーメン人気を見て、中国人シェフが研究して作ったものなのではないかと。
マズくはなかったが、この味ではちょっと繁盛しないような気がするなぁ。
入って来た客に対して、

「スシはありません。」

と言い、

「え、スシないの?」

と言って帰る客。
そりゃまあ、ラーメン屋だからな…。
でも「ラーメン」って書かれたのぼりなんて日本人にしか読めないもんな…。

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そんなわけで、マイアミ旅行であった。

出不精なりに行ってよかった。
でも遠出はもうしばらく、いい。