タイガーVSサトウ


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年末年始はフロリダにあるまじき寒さで、早朝はクルマの窓ガラスが少し凍るほどだったが、ようやく元の南国らしい陽射しが戻って来たようだ。
同じアメリカでも北部は今でも超寒波で大変らしいから、今後ますますフロリダに移住して来る人が増えるんじゃなかろうか。
フロリダって人口が増え続けてるらしいよ。
ワニとかサソリとかいるのにねえ。

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ところで正月といってこれと言って何をするつもりもないウチではあるが、いちおう雑煮ぐらいは作るつもりでいた。
そこで急きょ浮上してきた案件がコレなんだが…。

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これ、去年ハリケーンから逃げてジョージアまで行った時、サチコさん(91)にもらったんだよ。
もう使わないから持って帰れと何度も何度も言われてなあ。

アメリカでもサトウの切り餅的なモノはアジアンスーパーや通販で買えるし、餅には案外不自由していない。
しかし、今使わないともう一生使わないんじゃないかとう関係各省からの要請もあり、仕方なく作動させてみることにする。

餅つき機が餅を搗く仕組みすらよくわかっていない俺だが、とりあえずタイガーのサイトで説明書のPDFをダウンロードできたので、なんとかなりそうだ。
やるなタイガー、万全のサポート体制じゃないか!

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まずはもち米を洗う。
5号弱しかなく、規定の最低量よりちょっと少ないんだが、これしかないから仕方がない。
実はこのもち米もサチコさん(91)から貰ったんだよ。
そりゃもう一回は作るしかないだろ。

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説明書の言うとおりに水を入れ、その上に米を入れた臼を置く。
この灰色の炊飯器みたいな容器、釜じゃないくて臼らしいよ。

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ちなみに「臼」の底はこうなっていて、この「羽根」というパーツがグルグル回るだけなんだよ。
こんなんで本当に餅ができるのか。
不安で仕方がない。

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洗ったもち米をセットしたら、STEAMボタンを押して、40分ぐらい放置。
細かいことだがこのボタン、日本仕様は「むす」「つく」でアメリカ仕様は「STEAM」[POUND」であるらしい。
しかしタイガー、よくこのマシンをアメリカで売ろうと考えたな。
在米日本人ぐらいしか買わないだろうこんなの。チャレンジャーとしか言いようがない。

ちなみにジョージアのフィルにこの「MOCHI MAKER」の話をしたら、まるで通じなかった。
MOCHI? WHAT'S THAT? という感じだったぞ。
アメリカ人、SUSHI は知っていても MOCHI は知らない。
まあ知らない人に食わせて喉に詰められてもイヤなので、こちらから紹介するつもりもサラサラない。
冷静に考えたら世界的に餅ほど危険な食材もそうそうないからな。

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約40分後、火事かと思うぐらいのけたたましいブザーが鳴った。
もち米が蒸し終わっただけなのになんで「ブーーーーッ!!!!!」って鳴らす必要があるんだタイガー!?

まあいい。
気を取り直して、今度は「つく」工程に移行する。
実際、ここが謎だったんだよな。
こんなただの炊飯器みたいな形状で、どうやって餅を搗くというのか?

で、「POUND」を押してしばらく眺めていても、臼の底の羽根が空回りする音しか聞こえてこないのだ。
蒸したもち米は、真ん中がなんとなくウネウネ盛り上がるだけ。
これはどう考えてもダメな気がする。

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説明書をよく読むと、「米が少ない時は濡らしたしゃもじで押して助けてあげてください」と書いてある。
よし、じゃあ助けてやるか。
グイグイ。

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すると突然、塊となった蒸し米が回転する羽根にひっかかり、塊のまま暴れだした!
結構な勢いでバッタンバッタンのたうち回る蒸し米。
なんだか芸術活動に苦悶する脳ミソのようだ。
こ、怖い…!

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この奇怪な現象を赤子にも見せてあげようとしたら、泣いた。
わかるよ、怖いもんな!

ここまで来てやっと理解できたが、この機械はこうして蒸し米の塊を羽根にひっかけて回転させ、臼の側壁に勢いよくブチ当てまくることによって餅搗きを再現しているのだ。
なるほどー、よく考えたな。
本来なら杵で搗いたり手でこねたりする工程を、生地自体をのたうち回らせるという逆転の発想で実現しようとは。
開発者はこの発想に至るまでに何度も挫折を味わったのではなかろうか。
プロジェクトXか何かで特集すればいいのに。泣けるよ。
たぶんパンこね機もこういう仕組みなんだろうなあ。

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10分ほどゴットンバッタンさせて、取り出す。
本当はもうちょっとやったほうが良さそうにも見えるのだが、うるさいし怖いので早めに切り上げたのはここだけの話だ。

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適当にこねる。
5号弱のもち米だとこの程度の餅しかできなかった。
こういう時、形を完璧に揃えようという熱い想いは俺の中にはない。

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こうして出来上がった、元旦の雑煮。
うーん、まあなんだか知らんが、餅としてちゃんと食えたよ。
俺としてはこれで満足だ。

タイガーもちつき機、自動というだけあって思ったよりも簡単だった。
だがこれでまた餅を搗くことがあるかと言われるとわからん。できれば避けたい。
なぜならサトウの切り餅のほうが簡単だからだ。
説明書によるとパーツを付け替えれば茶碗蒸しも作れるそうだが、絶対やらない。
なぜなら茶碗蒸しもそこまで好きではないからだ。
じゃあどうしよう、この機械…。
パンでもこねさせてみるか?
パンはたまにしか作らないし、手でこねるの好きなんだけどな。

というわけで、明けましておめでとう。
ほなまた。