2017年 ヤムヤムの伝来


もちろん豪華なご馳走よりお茶漬けのほうが圧倒的に好きな俺である。
が、さすがにクリスマスぐらいは何か作ったほうがいいような気がする。

実は去年も今年もサンクスギビングはフィリピン人シーラのお宅にお呼ばれしてターキー食ってきたから、このイベントシーズンにおいて自分では大したモノを作らずに済んできたのだ。

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というわけで、これでもいくか。
去年も作ったローストビーフ。
ローストビーフは簡単で見栄えがいい。それに尽きる。

3パウンド(1.36キロ)で11ドル(1200円)ぐらいの牛肉ブロックを買ってきて、フォークを適当にブスブス刺した肉にオリーブオイルとニンニク、塩コショウを揉み込む。

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これだけ。
あとは1時間ほど放置したのちに焼くのみ。
実に簡単でよろしい。
結局ローストビーフって、ブロック状のステーキだからな。

さて、もう1つの問題はデザートである。
本来ならケーキを作るべきところではあるが、俺は今年はチェリーヤムヤムを食いたい気分なのだ。

チェリーヤムヤムとは何か。
それは、俺が去年のサンクスギビングでシーラのお宅に行った時に初めて食べたデザートのことだ。
アメリカの料理と言えば大抵どおってことはない味なのだが、不思議とあのチェリーヤムヤムはうまかった。
と言ってもここはアメリカらしく、ひたすら甘いのは甘い。
しかし、なぜか珍しく記憶に残っているのがチェリーヤムヤム。
そろそろ自分で作ってみるとしよう。
レシピは去年シーラにもらったのがどこかに行ってしまったのでネットで探した。


日本語でチェリーヤムヤムって検索しても、思ったモノが出てこなかったんだよな。
ひょっとしたらチェリーヤムヤムはまだ日本では知られていない幻のデザートなのかもしれない。
俺が日本で初めてチェリーヤムヤムを紹介するのかもしれんと思うと手に力が入る…ということもない。
本当に大したことない簡単な、焼かないデザートなんだよ。
見ればわかる。

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まずはパイ系菓子の基礎と同じ、砕いたグラハムクラッカーにバターを混ぜたものを皿に敷いて突き固める。

グラハムクラッカーってお菓子のレシピでよく見るけど、そのまんまのGrahamsって書いてあるのをみつけたのはこれが初めてだ。
全粒粉の一種のことなんだな。

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そして次の段階。
奥にあるのが、常温に戻したクリームチーズと砂糖を混ぜたもの。
この砂糖の量が1/2カップとなかなか多い。
お菓子のレシピを見るたび、毎回必ず砂糖の量の多さに戦慄する。和菓子ですらそうだ。
よって今回も気持ち量を減らしておく。

手前はホイップクリームだ。
俺もかつては何度か人力でクリームを泡立てようとして(手首が)死線を彷徨ったものだが、今は悟りを開いたのでハンドミキサーでグルグルやる。
それでも最初泡立たずに焦ったが、ネットで調べてレモン汁を加えてみたらあっさりツノが立つほど泡立った。
ありがとうインターネット。

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泡立てたホイップクリームとクリームチーズを混ぜ合わせた物体を、敷き詰めたクラッカーの上にとりあえず半分だけ塗る。

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その上に、フィリングを塗りたくる。
チェリーヤムヤムのつもりがベリーヤムヤムになってしまったのは大人の都合なので察してほしい。

それにしても、ここでおもむろに出てくる缶詰めフルーツフィリング。
アメリカで見る「ホームメイドレシピ」って、大体こうして当然のようにホームメイドじゃない物体が出てくるんだよな。
こっちじゃホットケーキミックスで焼いただけのホットケーキでも皆自信満々にホームメイドって言うから、まあそんなもんなんだよ。

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さて、気が遠くなるほど甘いベリーフィリングを塗りたくったその上に、残りのクリームをさらに塗りたくり、その上にクラッカーの余りをちょこっと振りかけたら、見栄えは微妙だがもう完成だ。
あとは適当に冷蔵庫で何時間か冷やしておくだけ。
いやあ、ここがインスタ映えを追及しなくてはいかんセレブ妻ブログとかじゃなくて本当に良かった。

ちなみに俺にこのデザートを振る舞ってくれたシーラの夫ビルによると、おいしいチェリーヤムヤムを作る唯一のコツは、「フィラデルフィアのクリームチーズを使うこと」だそうな。
しかし俺としては、製作途中の味見やハミ出したベリーフィリングを舐めただけでもう血糖値が空高く舞い上がっており、すでに本体を食う気力がなくなっている。

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ほい、そうこうしてるうちに1時間ほど焼いといたローストビーフができたよ。

今回はこの肉がオーブンを占領していたので、焼かないで済むデザートにしたのは理に適っていたと自画自賛しておく。

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完成した今年のローストビーフ。
去年はあまりにも…というぐらい中身が赤かったので、今回は少し長めに攻めておいた。
本当はもうちょい赤いほうがそれらしいのだろうが、個人的にはこれぐらいで全然構わない。
一緒に焼いた野菜と肉汁が勝手に混ざり合って美味しいソースになってるので、肉そのものよりそっちのほうが好き。

アメリカ人はこの肉だけを単体で黙々と食べるのだが、俺クラスになると最初っからわさび醤油でローストビーフ丼にして食うわけである。
こんな肉、ご飯がないと始まらんだろうに。
食習慣の違いと言うのはマリアナ海溝よりも深いギャップがある。

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ベリーヤムヤムも、なんだかまあそれなりにデザートとして機能してくれた。
味はうまい、と言いたいところだが、それより先に甘みが脳を貫く。
地獄の3丁目から転入してきたぐらいに甘い。
これでも砂糖を減らしたんだぞ!
そりゃまあアメリカで売ってる市販のベリーフィリングを使ったらこうなるわな…。
ちなみにどれぐらい甘いかと言うと、食べたあとで胃が荒れるぐらだ。(たぶん俺だけの現象)

どんな味なのかどーしても気になるという奇特な人がもしいたら、もう1回リンクを張っとくから作ってみたらいいよ。


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誇らしげにローストビーフをなでる子。

今年もこんな感じでどうにかささやかなクリスマスディナーをやり過ごすことができたぜ。
調理にかけた所用時間は2時間ぐらいだ、最高!