ここは八戸。

八戸の朝。
念のために書くと「はちのへ」と読む。

市街地から少し離れた広い公園で休憩していると、
俺がいる3つむこうのベンチに学生服を着た高校生が1人で座り込んでいた。
もう学校は始まってる時間なので、遅刻でもしたんだろうが、
そんな彼がベンチの上で体育座りをして頭を抱え込んでたりするものだから、なんとなく気になる。

15分ほどして、彼はふらふらと公園を後にした。
俺はといえば結局彼に声すらかけないままで、
でも彼に何とか蘇って欲しいもんだとぼんやり考えていたら、
その想いはいつのまにか歌の形式を取り始めていた。

おぉ、なにやら一曲できそうな予感。

かなり勢いだけの妙な代物ではあるが、
自然にわいてきたものだけに貴重な気がする。
忘れないうちに、彼に届けとばかり弾きまくった。

が。

その後現れた浪曲好きの爺さん(82)による壮大なる人生回顧録(半分ぐらい理解できた)を拝聴し終わった時、
俺の中に沸き上がっていた曲のエッセンスは、
やはり半分ぐらいは失われてしまっていた。
ギリギリのタイミングでお婆さんが爺さん(82)を迎えに来てくれなかったら、
俺の心に芽生えた小さな炎は今や完全に消火活動を終えていたことだろう。

うむ。
朝から軽く疲れたが、
これからちょいとTシャツを通じて八戸市民と交流して来る。


ほなまた。