夜の課題

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思いもかけず、曲が2つもできてしまった。

だが「オリジナル」のほうはまだこなれていない感じなので、
今人前で歌えるとすれば、
笑える歌詞であると思われる「なんとかなるさ」のほうだろう。
つまり、Tシャツ売りながら歌える歌がついにできたわけだ。

公園を出る頃には、もう盛岡の街は暗くなっていた。

商店街に戻ってまずは様子を見る。
夜中にTシャツを売るのは初めてだが、
さすがは県庁所在地盛岡。人通りはそこそこある。
そして昼間は学生達が募金活動に勤しんでいた良さ気な場所に移動して、周囲を警戒しつつTシャツを展開。
開店の瞬間は今でもやっぱりドキドキして手間取るが、
それでも今日の昼間のような鈍重な動きからすれば雲泥の差だ。

人通りの大半は、仕事帰りのサラリーマンやOLらしい。
さて、この時間帯での食いつきはどうだろうか。

と思ったら、
通行人たちは、やたらと足早に俺の前を通過していくばかりだ。
たまにチラッと一瞥をくれる人もいるが、
半分以上はこちらを見もしない。
ましてや立ち止まってくれる人など皆無だ。

うーん。
結構いい場所だと思ったのに。
まず立ち止まってくれなければこちらから声をかけるキッカケすらない。
誰か一人ぐらいこっちを見てくれないものか…。

そう思っていたら、
自転車に乗った青年が俺をじっと見つめていた。
よく見ると背中にギターケースを背負っている。
話を聞けば、彼は地元の弾き語り青年であった。
これから別の商店街で弾き語りをやるのだと言う。

自分と同じようなことをしてる人間に初めて遭遇した。
そこでTシャツのことなどそっちのけにして、
彼とギターの話や盛岡の弾き語り事情について語り合う。
そして8時を過ぎたらTシャツを切り上げて弾き語りを聴きに行くと約束して、自転車ギター青年と別れた。

その後も通行人が立ち止まってくれないのはおろか目すら合わせてくれないTシャツは売れるハズもなく、
早々に諦めてパッパと店を畳み、
青年が弾き語りをしてるという別の商店街に行ってみた。

が、彼はそこにいなかった。
8時ぐらいまで歌ってると言ってたので、
タッチの差で帰ってしまったのかもしれない。
一度じっくり他人の弾き語りを聴いてみたかったのに、残念だ。

だが彼のほうもしきりに俺の歌を聴きたがっていたので、
まさか今日できたばかりとは思うまいあの曲を披露するハメにならずに済んだのは正直ちょっとホッとした。

そして今は、盛岡を脱出して花巻の道の駅にいる。

今日はいろんなことがあって少し疲れたな。

明日はどこに行こうか。


ほなまたー