5月12日(水)その1 雨とコケと観光地

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夜中に雨が吹き込んできてた…。
イヤァァァ!!!

昨日濡れた装備は乾くどころかさらに濡れまくり。
でも枕がわりにしてた貴重品と、
表面がぐっしょり濡れた寝袋の中に入っていた俺だけは濡れずに済んだので問題ない。

問題なのは、これからどうするかだ。

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ヴァレリオ情報によると、今日と明日は曇りで、その次の日が雨。ってもうすでに降ってるんですが…。
彼はリングロード一周が終わったんならまたハプンに来ればいいなんて誘ってくれるが、
ここからまたハプンに行くのにどれだけ走らんといかんと思ってるんだ。
しかもバリバリ噴火中の火山の横を通って。途中で生き倒れるわ!

それにしても、予想外の雨が街にいる時でよかった。
ここなら雨宿りしながら買い物でもなんでもできるが、
ヘンピなところで寝てた日にゃあ、もうひたすら耐え忍ぶしかないからな。武家の嫁状態!!

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10時前。
ちょこっとだけ止んできたような気がするので、おそるおそる出発することにする。
おっとその前に、早くから開いてるガソスタのショップに寄って、機械油を買っておこう。
雨の中を走った後はユニサイクルが如実にキシキシ鳴り出すからな。
若い男たちが俺を見て笑ってやがったが、その手のヤツはもう無視することに決めている。
よっしゃ、準備完了。
さらばモスフェトルスバエル!言いにくいよ!

さて、レイキャヴィークまであと約10キロ、
つまりリングロードの一周達成まであと10キロという地点にいる俺だが、
ここであっさりと寄り道をしようと思う。
なんせ帰りの飛行機までまだ2週間近くあるからな。正直、長過ぎた。でも短いよりはいい。

で。
これからどこに行くかと言うと、テーマはずばり観光。
ほかにやることないし、こうなったらベタな観光地に行くよー。

アイスランドのベタな観光地といえば、やっぱりゴールデンサークル!
詳しいことは知らないが、とにかく名所が都合よく固まってるエリアのことらしい。
中でも特によく聞くのは、グトルフォスとゲイシールの2つ。
時間があったら行ってみたいなぁとは思っていたので、空前にヒマである今、行かない手はない。


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怪しい天気の中、モスフェトルスバエルを出発。
街を出てしばらくは、道の横に自転車道みたいなのがあって大助かりだ。
アイスランドの主要道のすべてにこんな感じで自転車道が整備されてたら、
きっと世界中からサイクリストが押し寄せて新たな観光資源になるものを。実に惜しい。

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雨が降ってきたので速やかにトンネルに避難する。

まだ街の近くだからこうして何か隠れるところもあるが、
もうじきそんなものが一切なくなるのは目に見えている。
ここはヴァレリオの天気予報を信じて休み休み進んで行くしかなさそうだ。

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雨は降ったり止んだり。今のところ大きくは降らないのでなんとか助かっている。

昨日からずっと降り続いているせいか、道の上になぜか大量のミミズがいて困る。
華麗によけて走ってはいるんだが、ごめん、時々轢いてる。

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12時。まだ運良く降られていない。小雨で追い風。
この道はリングロードじゃないのでクルマも少ない。
やっぱりユニサイクルツーリングはこうじゃないとな。

小さなクルマに乗った老夫婦が、あなたの写真を撮っていいですか、と丁寧に聞いてくれた。
もちろん!バシバシ撮ってくださいよ!ポーズだってつけちゃうぜ!
いい笑顔の夫婦だった。

アイスランドにいるのは、あと12日間か。
その間に俺は何を見て、何を感じるのだろう。
不安、喜び、悲しみ、諦め、希望、怒り、恐怖…?
少しでもいいものを感じられたら、と願う。

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25キロほど走ってきた。
ゲイシールまでは68キロ。意外と近いかも。
今はとりあえず、16キロ先のシングヴェトリルってやつを目標に走るとしよう。

ありがたいことに、雨はこのまま止んでくれそうだ。

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13時。
遠くに見える大きな湖が、シングヴァトラバトンかな。

石がたくさん積んであるけど、ヒマな観光客の仕業だろうか?
こういうのを見ると恐山を思い出すので俺はやらない。

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この地図だと、青い現在地から湖の北岸を通って、最初の矢印どおりに東に抜けるルートだな。

ところで、湖の北側あたりがシングヴェトリル国立公園と呼ばれるエリアらしい。
アニカに聞いた話では、この辺で大昔に重要な会議が開かれてアイスランドが独立したとかなんとか。
まぁズバリ俺にはどうでもいい話だ。

それにしても国立公園か。
俺はてっきり、アイスランドは家と牧場がない地域は全部が国立公園みたいなもんかと思っていたよ。

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この辺がザ・国立公園なんだろうか。
雨が止んだのは嬉しいが、またなんともいえない風景のところだな。
見渡す限りが赤や緑のコケに覆われている。

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何をどうやったらこんな状態になるんだろう。
新種の巨大地中生物とかがうっかり這い出てきそうで怖い。

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コケの大地を黙々と進んで行くと、だんだん上り坂になって標高が上がっていく。
このまま峠に移行していくらしい。
とりあえずコケの研究がしたい人はアイスランドに来たらいいんじゃないか。て言うぐらいコケだらけ。

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15時。
追い風に押し上げられて、ようやく峠の頂上らしきところに到着。
遠くに湖が広がっているのだが、天気がイマイチなのでよく見えない。

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まっすぐ行くと湖に沿って南下。
ゲイシールに行きたい俺としては、ここは迷わず左折だ。
まずは16キロ先にあるロウガルバトンという町を目指そう。

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ゲッ、左折したらまた上り坂が!さらに上があったのか。
しかも急に道が細くかつボロくなった。大丈夫なのかここ。

実は、今年の夏にはシングヴェトリルからロウガルバトンに至る新しい道が開通するらしい。
そんなわけで、ここはもうじきほとんど誰も通らなくなるということだ。
それじゃあ記念に俺が通っといてやるぜ!

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うーん、さっきとはまた違うタイプのコケパラダイスだな。
標高が上がるとコケの植生もやはり変わるらしい。
よし、こいつらはまとめて勝手に高原ゴケと名づけよう。

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そういえばアイスランドの本屋で立ち読みした本によると、
アイスランドは広大で他人に会うこともほとんどなく、
また柔らかいコケの絨毯も生えているから野外セックスには最適、と書かれてあった。本当の話だ。

試しに上を歩いてみると、これがまたフワフワしてなんともいえない感触である。
コケの絨毯は確かに柔らかいが、レジャーシートぐらいは持ってきたほうがいいと俺は思う。

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今度こそ峠の頂上!ってところを越えたら、そこはダートだった。

何それ…。

地図を見ていて途中にダートがあることはわかっていたが、
まさか峠のてっぺんから向こう側がダートになっていたとはな。
地図と実際ではなかなかイメージが繋がらないものだ。

とりあえず、長くて疲れる上り坂は終わってくれたようだ。

じゃあこれからはダート、行くぜ!