5月21日(金)その1 グイッと寄り道

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なぜか朝4時に起きた。
だが街中を進むなら早朝のほうが好都合だ。朝メシを食ったらこのまま出るとしようか。

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まだ5時。早すぎて誰もいないハフナルフィヨルズルの街。
ここはレイキャヴィークからほぼ街続きになっていて、首都圏の南西端に位置している。
この街を出れば、ふたたびしばらく都市とはお別れだ。

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これといって何をしたというわけではないハフナルフィヨルズルだが、
全体にこじんまりとしていて、あちこちに水や緑があり、なかなか住み心地のよさそうな街だな。

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6時。ついに首都圏脱出!
もう戻ってくることはないだろう。

さて今日のルートだが。
ここからアイスランドの郊外で最も整備されている国道41号線を50キロも進めば、
もうあっさりとケプラヴィーク空港に着いてしまう。

でもこの道はアイスランド初日に通ってるし、大体そんなに早く空港に着いてもまったく意味がない。
と言うわけで、あえて遠回り。


山の中を抜ける42号線という道を通って南岸に至り、ひとまずグリンダヴィークの街を目指そう。
ただし山の中はほとんどがダートロードなので、今日中に街まで着けるという保証はない。

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またしつこく雨が降り出すなか、久々の何もない道を、ミミズをよけつつ進む。
2日以上雨が続くと路面がミミズ展示場になるというこの現象はなんとかしてほしい。

ところで、この道で合っているのかどうかイマイチ自信がない。
このあたりの地図がちょうどページの切れ目にあってわかりにくくてねぇ。
まぁいっかー。

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うーむ。
やっぱり道を間違えたようだ。

でも時間だけはたくさんある。今の俺はどこをさまよおうと自由だ。
考えてみれば、こんな贅沢なことはない。雨だけが余計だ。

誰もいないところを一人でウロウロしていると、次第に自分という感覚がなくなってくる。
生きてるのか死んでるのかもわからない。
生きてる間に1秒ずつ死んでたとしても、きっとわからない。

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少し引き返し、適当に選んだ道を1時間ほど進むと、ようやく42号線に出てきた。
あーよかった。
今回の旅では道に迷うということはあまりなかっただけに、正直ちょっと焦ったよ。

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もはや急ぐ必要もないので、疲れたらコーヒーブレイク。
ペットボトルの中にはインスタントコーヒーの粉を詰め替えてある。
ビンは重いし割れるからな。アッタマいぃー!

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南に向かってひたすら直進。
今日はそこそこ調子がよさそうだ。
この道は一般車が少ないかわりになぜかダンプがよく走るので、スレ違う時はちょっと緊張する。
この先に工事現場でもあるのだろう。

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10時。ほい来た、ダートロード。
これから延々と30キロぐらいはダートが続くハズだ。

この先のルートを考えると、今度こそこれが最後のダート、最後の難関ってところかな?

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今さら、思い出したようにオイルを吹いてみる。
昨日今日と雨の中を走ってるし、せっかく買って1回ぐらいは使わないともったいないからな。

旅の中盤ぐらいから、走行中にカクカクと音が鳴るのがずっと気になっている。
ベアリングが傷んでるんだとは思うが、
それが今オイルを吹いているクランクの付け根なのか、
もしくはペダルのベアリングなのかがどうしてもわからない。
音をよく聴いたり触って確かめればわかりそうなもんだが、俺にはやっぱりわからない。
まぁ、今すぐ走行不能ということはないので、帰国してからジックリ直すとしよう。

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12キロ先にクリースヴィークと書いてあるが、
地図を見るとこれは町でもなんでもなくて、ただそこに分かれ道があるというだけ。
そういう場所には日本ならコンビニか道の駅でもポンとありそうな感じだ。
でもそれがないのがアイスランドのいいところ、と言えなくもない。

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ようやく雨がやんできたか。
これから延々とダート続きだというのに、なんだか楽しい。

リングロードを走っていた時はダートが長引くとイライラしていたものだが、
わざわざ自分でダートを選んでやって来た今はそうでもない。気の持ちようである。

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でも肩が痛いのだけはどうしようもないので、ちょくちょく荷物を下ろしては休む。

重いリュックによる肩の痛みはほとんど慢性的なものになっていて、
数日休んだぐらいでは大して回復もしない。
背負い方も色々と工夫してみたけど、抜群に効果的な方法は今のところ見つかっていない。

でもリュックを背負って毎日ハードに活動してる人なんてたくさんいるわけだから、
きっと俺がいい方法を知らないだけなんだろう。改善の余地はまだまだあるな。

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珍しくトラッカーのおっちゃんに話しかけられた。
わざわざこんな道を通って何を運んでいるのか知らないが、
人がいないところで人に会うというのはやはり嬉しいものだ。
でもこれは、治安のいいアイスランドだから言えることでもある。

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11時。
山越えの中間あたりにある大きな湖にたどり着いた。

湖のほとりで旅行者か地元民かわからない家族連れが遊んでいて、
彼らは俺を見ても特になんの関心も示さない。少なくとも表面上は。
自慢するわけではないが、都会以外でこういう反応はかえって珍しいので新鮮である。

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この旅の写真は、99%以上は携帯のカメラで撮っている。
デジカメもあるけど、俺みたいに写真の綺麗さよりも瞬時の記録性を求める向きには携帯のほうが便利だ。
かさ張って重いのでミニ三脚すら持ってない。
去年の夏に開発したフレキシブル一脚という発明品を一応持ってきたが、これも結局ほとんど使ってない。

意外となんとかなるもんだと思う。

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雨が上がると、今度はまた蒸し暑いこと。
アイスランドに来て『蒸し暑い』と思ったのはこれが初めてかも知れない。
そしてなぜか非常に眠い。どこかで昼寝がしたいところだ。

蒸し暑いし眠いけど、でも動いてる。
テントの中でじっとしているよりもよほどいい。

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なんかボコボコしてる。ここはちょっとした名所らしい。

だが九州で地獄めぐりを見たことがある俺としては大したことはない。

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眠い。限界だ。ボコボコの横で昼寝。

ボコボコから変なガスが出てないことを祈る。

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見渡す限りの荒野。
でもここは広大なアイスランドの隅っこに突き出た半島でしかない。

ただ広い。そこには何も理由がないように思う。

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長い荒野を抜けると、周囲の景色が一変。今度は一面のコケ。

火山噴火で一気にできたような複雑怪奇な岩場の上に、さらに積み重なるおびただしいコケ。
一体何が起こってこんな環境になってしまったのやら。

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薄暗い天気の下、こんなコケロードが10キロ以上も続くんです。どうしましょう。

とにかく、静かだ。
こんなにも生命がはびこっているのに。

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ついにダートが終わった。
この旅で今度こそ最後であろうダートが終わったと思ったら、次は峠。
そしてまた雨。
なかなかラクはできないものだ。

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しかもこの峠、結構長いな!

しかしこれまでの経験上、次の街は峠を越えてすぐの場所にあるに違いない。
そう考えたら元気も出る。
うりゃーのぼれぇぇー!!

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頂上を越えて、ここからは下り!

あれ?待望の街が見えないんですが…。
地図で確認すると、街までまだ5キロぐらいはある。
うぇー、長いんだって!こういう時の5キロは!!

雨もやんでくれないし…。
旅も終盤というところで雨続きというのはつらい。
防水ウェアを着ている上半身はともかく、下半身は水が滲みこんでしっとり感バツグン。
ケツとモモあたりが湿り、それが徒歩やユニサイクリングのせいでこすれて痛い。
きっと赤くかぶれていることだろう。
昨日からずっと濡れたままのテントも乾かしたいのに、この天気じゃあなぁ。

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19時。ようやくグリンダヴィークに到着。

長かった…あぁしんど。

とりあえず、落ち着かせてくれ…。