空より

空を飛んだことがあるか。
 
朝イチの電話。
おっ、先日カヤックに連れてってくれた『蜂の宿』の野澤さんじゃないか。
 
え、今日?
雨大丈夫かな?
まぁいいや、行ってしまえ。
 
さっそく彼のバイクと2台で富良野へ。
そこに待っているのが、
 
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モーターパラグライダー!!
 
や、やるのか俺?
川の次はついに空デビューか!
墜落したら、きっと痛いんだろうな!
 
まずは、人が飛ぶのをジーッと見る。
今回はタンデム(二人乗り)体験ってヤツなので、
もちろんいきなり一人でブッ飛んでいくわけではない。
 
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こんな感じ。
そんなに広くもない土地からタタッと駆け足して、うまくいけばフワッと舞い上がる。
まずこれが凄い。
慎重かつ的確に風を読む、熟練インストラクターの技が光る。
 
ちなみに右端に座ってるのはジローラモさん。
 
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何度かのトライの末、おおっ、浮いたぁー!
 
タンデムは重いので、いい風が吹かないとなかなか難しいんだな。
せっかくモーターパラ体験を申し込んでも、天候によっては時間内に飛べない人も結構いるそうだ。
 
今日はちょうどジローラモ一行のテレビ撮影にブチ当たったようで、
忙しそうな撮影が終わるまで、我々はのんびりと待つ。
モーターパラ事務所には、いかにも普通のノートの裏にササッと書いた感が生々しい、彼のサインがあった。
 
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「うーん、なんともいえないサインだ。」
 
「でも左上のウニャウニャ、これはきっとチョイワルを表現しているに違いない。」
 
そんなことを話しているうちに撮影は終わったようだ。
 
このモーターパラスクールの代表である佐藤さんという方。
野澤さんのモーターパラの師匠であって、今日はそのツテを頼って紹介していただいた次第だ。
彼がまたテンション高めの愉快豪快な人物であり、
どこで話を間違ったのか、
俺が体験希望者ではなくモーターパラスクールの入会希望者だと思いこまれていて非常にビビった。
 
そもそも乗ったことないのに!
まずはちょっと乗ってみたいだけで!
 
「あ、乗る?じゃあ5分で準備してね。今いい風が来てるから、すぐ飛ぶよ!」
 
え?え?
 
さっきジローラモ撮影班が飛ぶ一部始終を見学していたので、なんとなく流れはわかる。
ライセンスを持つ頼もしい野澤さんに手伝ってもらって装備を装着、いくつか注意点を聞き、
うわホントにもう飛ぶみたいよ!!
ギャー行ってきまーす!!
 
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飛んだーーー!!
 
風が良かったのか簡単に浮き上がり、そのまま旋回を繰り返しながらじょじょに高度を上げ、
あっというまに富良野の平野が一望。
 
でも、こ、怖いよ!
ヒモ切れて落ちたらやっぱりちょっと痛そう!!
 
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しばらくすると、だんだん落ち着いてくる。
どうやらヒモはなかなか切れないらしい。
 
うわー、浮いてるわー。
つま先が北斗神拳ぽく歪んでるのはいつものスマホのせいなので気にしないでねー。
 
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この、ブラーンとブラ下がってる感じなのがまたなんともいえない。
ちょこっと座るような部分はあるけど、基本的にブラーン。
タンデムだけに俺はなんにもしないので、ひたすらブラーンな状態でキョロキョロする。
大空の挙動不審者とは俺のことだ。
 
ここで熟練インストラクター、佐藤さんの粋な演出か。
空中で爆音を奏でていたエンジンを切ると、空の上は途端に静かに。
こうなると普通のパラグライダーと同じなんだって。
 
あらーーー、飛んでるーーーー。
日ごろは絶対に見られない景色がーーーーー。
鳥の視点がーーーーーー。
 
「そろそろ降りるよー。」
 
「はーい。」
 
「ジェットコースターは好きですかー?」
 
ここで、怖いのイヤなのに「好きです。」と言ったが最後、
 
急旋回をしながら高度を下げられる!
横Gがすげぇー!!
あ、う、ちょっとキボチワルイかも…。
 
グングン高度を落としつつ、飛び立った場所に無事着陸。
さすがプロ、ちゃんとあの狭いところに帰ってきた!
 
いやーーー、凄かった。
これが空か!!
 
バイクや一輪車では、どうがんばっても陸の上を這って進むしかない。
それとは違う、もっと違う世界を感じられる乗り物。
たとえばそれがカヤック、そして、モーターパラグライダー。
 
これは来たなぁ…。
来たわ…。
 
興味があればどうぞー。
あ、横Gには注意な。
 
佐藤さんがおもむろに言う。
 
「向こうから雨雲が近づいてる。もうじき降るから、早くバイクで逃げないと!」
 
そう言われて、挨拶もそこそこに、野澤さんとバイクで走り出す。
すると本当にポツポツと雨が追ってきた。境界線ギリギリでバトルしてる感じだ。
 
なるほど、毎日のように空を飛んでいる人は、風の流れや気候の変化にとても敏感なものらしい。
今回もプロのいい仕事を見せてもらったなぁ。
 
なんとか雨に当たらないうちに蜂の宿まで戻り、野澤さんと旅談義を楽しんだあと、
いつのまにか移転新築されていた町の図書館で本を読んでいたら、いきなり大雨。
1時間ほど館内で様子を見ていると、どうやら雨が弱まってきたようだ。
 
よし、今しかない!帰るぞ!!
 
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おもいっきり降られた…。
 
俺が天気を読めるようになるのは、まだまだ先のことらしい。