雨と鹿

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大体2時間もいると完全に慣れるのが、
奈良公園の鹿である。

今日も大量にいた。
エゾじゃない鹿を見るのは実にひさしぶりだったが、
あいかわらずセンベイを求めて人を追っかけ回したり、
追っかけ回されたりしていた。
黒豆をバラ撒いて進むのは言うまでもない。

俺はといえば無論ヤツらとはノータッチだ。
お互い空気のような良好な関係を築きたいものである。

そんな鹿無法地帯と化している奈良公園は、
東大寺と春日大社に面している。
雨が降るのか降らんのかという灰色かつ蒸し暑い奈良公園を、
Tシャツを広げられそうな場所を求めて汗をかきながら歩く。

が、ない。

露天でいいなら奈良は結構スキがありそうだが、
この天気ではな…。

そのうちパラパラと降りはじめ、
歩き疲れて暑いのもあったので、
春日大社の参道脇にあった小さなアズマヤに居座る。
で、そのままTシャツを描き始める。

ここだと狭すぎてTシャツを並べるのはムリだが、
この際だから描くだけ描くかーという気分だ。

雨は依然として、降ったりやんだり。
いっそのことガッと降ってパッとやんでくれりゃいいんだが…。

そんな風に考えつつTシャツ描いてたら、
そのうち完成してしまった。

今は降ってないが、雲は黒ぉーい。
遠くの空はゴロゴロ鳴りまくってるし…。

しばらく悩んだが、
やるしかねェ!!
と思い切って、
東大寺近くにゲリラ開店。
雨が来たら速攻で撤収だ!

開店して最初に寄ってきたのがまた、
タクシー乗りのおっちゃん。
明らかにヒマらしい彼は、

「サクラになったるわー。」

とTシャツ前に陣取るのみならず、

「Tシャツ買うてってー。30円!」

とか、道ゆく人々に勝手に営業まで始めやがった!
おっちゃんそれ、安すぎ!!

来た…来たんだな俺は…。

関西に…。

おっちゃんがどうにか去ってくれた後も、
この駆けつけ開店の店には案外人が来てくれる。
謎の欧米人とか、地元の女性とか、
あとはもう大量の修学旅行生とかな。

だがいかんせん、時間が短かかった。

ゲリラ開店して30分もたたない頃であろう。
ついに降り出した。
しかも結構大粒。

しょうがない、撤収だ!

んー、残念だ。
あと2時間、できれば普通に半日、
この場所で勝負してみたかった。
これで明日も雨じゃ、もうどうしょうもないよなぁ。

東大寺に近いこの場所は、俺には珍しく、
できることならもう一度Tシャツを広げてみたい場所となった。

はー、今となってはもう普通に雨だ。
この調子だと関西の旅はロクなことにならんなぁ。

関西といえば、
いきなり俺のTシャツを売り込み出す濃いおっちゃんも関西人なら、
夕方のジャスコのレジで、

「いいよー、お兄ちゃん先いきー。」

と言って、買い物の少ない俺にかるーく順番を譲ってくれたのも関西人だった。

俺も一応関西人なのだが、
このなんともいえん違和感に順応できるのはいつのことだろうね。

さーて、雨は降ってるがちょいと走るか。
特に用事はないけど、
寄っときたい街があってね。

ほなー