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↑空白ではなくて、これが、ホワイトアウト。


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今日はボード仲間の長瀬さんと2人で、旭岳にやって来た。

予報では少し風があるぐらいで、そう荒れる天気ではなさそうだ。

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ロープウェーから降りたばかりで、ニコヤカな長瀬氏。
そこそこ眺めもいい。雪も思ったよりかはある。

さーて登るか!

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強風でパックされたパリパリの雪を予想していたら、思いがけずフカフカ。
これは楽しめそうだ。
でも歩いて登るにはツラそうね。

何を隠そう今日は、
2人で登れるところまで登って、
しんどくなったらそこからアッサリ滑って降りてこようというアンニュイな計画なのだ。
もちろん、状況が良ければウッカリ山頂極めちゃう!?などという野心もあるにはある。

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しばらくボードを抱えて歩いてたが、どうも今日は雪が多い。
ちょっと歩いただけでもブーツが埋まって疲れるので、
早々にボードを背負ってスノーシューで移動することに。
と言いつつ俺はホームセンターで買ったカンジキ(しかも借り物)だ。

後ろの景色はよく見えるのに、
前方にあるハズの旭岳山頂が真っ白くガスってなーーんにも見えないのが気になる。

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ちなみに去年の3月13日の似たような場所がこれ。この時は本当に天気が良かった。
今日に比べればだいぶ雪も少なく、ブーツでも歩きやすかった。

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はぁぁ…。
気温は-10度前後らしいが、カンジキでズガズガ登ってるととにかく暑い!
でも少し休憩してると今度は汗で濡れた髪の毛がパリパリに凍る!
いやぁシュールだね!


そんな調子で休み休み2時間ほど登ってきた頃。

前方にうっすらと見えていた4人組ぐらいのスキーヤーに、追いついてしまった。

彼らもおそらく山頂を目指していたのだろうが、なんせ今日は視界が悪い。
これから目指すべき山頂がどこにあるのかもわからんからな!
どうやら彼らはここからスキーを履いて降りていく模様。

そこで困ったのは俺たち。
今まで、彼らの足跡を頼りに登ってきたもんでねぇ。

一応彼らを追い越してしばらく登ってみるが、
やはり視界が効かない上に目印となる足跡すらないとなると、
雪山に慣れてない俺たちにはもうどうしようもない。
それにさっきから、だんだん風も出てきた。雪もチラチラ。

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で、こうなる。

これまでも前方はずっと白かったが、背後にはまだ景色が見えていた。
それがいつしか、360度オールまっしろ。
周囲にチラホラと出ている黒い岩のほかにはもう、相方の長瀬さんしか見えやしない。

こんな状態で出会った若い男女は絶対に恋に落ちるに違いない!

と思いついたことを長瀬さんに言ってみたら、
いつもどおりに「フハッ…!」と微妙に笑われて終わった。

さて、まずは休憩しながら今後の計画を考えようとするも、
強くなりはじめた冷たい風から身を隠せる場所がない。

そんな時。

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おもむろに登場。

長瀬スコップゥゥーー!!

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風よけ用の穴、掘ってます。

ビバークってやつ?

うーん、シブい。

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そして穴の中に潜む2人。

あぁ、これ、マジであったかい…。

風を遮って雪に囲まれるとこんなにあったかいとは知らなかった。
これはいい。ここでしばらく様子を見るとしよう。

と言いつつ、この状態でズイブンとマッタリしてしまう我々。
チョコは食うわ、長瀬さんは彼女からメール来るわ、マイホームか?って感じだ。

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結局しばらく待っても、天気は回復しそうにない。
あいかわらずホワイトアウト万歳ではあるが、滑って降りることに決定。

あ、ちゃんと穴は埋めといた。
埋めないと、上から滑ってくる人にとってこれほど絶妙な落とし穴はないからな。

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ロープウェーを降りてはや3時間。

ここで本日はじめてボードを履く。
俺たちは一体何をしに来たのだろうか。
まぁいい。
近くの岩以外はなんにも見えないホワイトアウトの中、
ゆっくりと滑りはじめるぜ。

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だが、さすがの長瀬さんもマトモに滑れない。

なんせ、自分が今どこを滑ってるのか、
どの方向に、どれぐらいの速さで滑ってるのかが全然わからないんだ。
ややもすると自分が止まっているようにすら思える。

2人で声を掛けあって離れないように滑ってるからまだしもだが、
これが1人だったらもうエライコトだろう。
つくづく初心者は雪山なんかに1人で来るもんじゃないな!

その後、先をゆく長瀬さんがうまい具合に登って来た足跡を見つけてくれたので、
なんとかコースまで戻ってくることができた。

それにしても、本気で周囲が真っ白だった。
単純に、こんなになるのか…と思った。

俺たちがヒーヒーいいながらコースに戻りかけた頃、
なんとこんな状態なのに向こうから歩いてくるスキーヤー3人組を発見。

なんだコイツら!?と思い話してみると、
連中はドイツとオランダからはるばるやって来たという女性3人。
彼女たちは口々に、こんなことを言うてはりました。

「今日初めてココに来たんだけど、このまま進んでいって大丈夫?」

…アホか!死ぬ気か!
なんにも見えんだろうが!
地理に詳しいワケでも上級者でもないんなら、引き返せ!

みたいなことをもう少しやんわりと言って差し上げた。

今ふと思ったけど、
意外と俺はあの時彼女たちを救っちゃったのやもしれん。

そんなことはいいとして。
ようやくコースに復帰した我々。

いつの間にやらコース上の視界もかなり悪くなっているが、
まぁここまで来ればなんとでもなる。
他のお客さんもチラホラいるし…と思ったら、またしてもエトリさんに遭遇。
今日はズラズラと外国人を引き連れてガイドしておりました。ありゃ大変そうだ。

俺たちもしばらくは普通に滑っていたのだが、
今日は山に登ろうと思ってやって来たので、なんだか消化不良な感じは否めない。

というわけで、別のちょっとした場所を再び登り出す2人。

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でもすぐ休憩。あーしんど。

雪の斜面を登るのって、慣れてないと疲れるよなぁ。
ペットボトルのジュース飲んだらシャーベットになってるしなぁ。

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あーやれやれ。
まるで伝わらないだろうが、結構疲れた。

最後のシメにわざわざ登ってきたこのイイ感じのパウダー斜面を滑って、
一気に下まで降りる!

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到着…。

あぁ、生きてるって素晴らしい。

結局6時間ぐらい山にいたけど、
登ったり休んだりばっかりで、滑ったのってたぶん全部で20分ぐらい?
日ごろ運動不足な俺としては、大変によい運動になった。
登ってる途中で脳内に鮨の画像と味と匂いがチラついてしょうがなかったぐらいだ。

うん、当たり前のように山頂制覇は果たせなかったが、
これはこれで実にいい経験になった。
今後の課題や改善したいポイントも色々わかったしな。

とにかく疲れたけど、あーおもしろかった。

長瀬さんが期限切れ間近の割引券を持っていたので、
旭岳温泉の立ち寄り湯にじっくり浸かってあっさり復活して、
颯爽と帰路につく2人なのであった。