5月4日(火) 脱出前夜

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いきなりだが、30代半ばのグンラと今は亡き旦那さん。
40年ぐらい前の写真である。
うーん…。
なるほど…としか言いようがない…。

この写真を元にして、グンラから昔の話を聴くのは楽しい。
長い話の後、彼女が呟く。

「みんな死んでしまったわ…。」

グンラは読書が趣味だということで、
どこからかドデカいアイスランドの地図を出してきてくれた。
俺が持っているものよりも更に詳細な地図で、いろんなことがわかって興味深い。
この家にこんなおもしろいものがあったなんて!

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しかしいくらなんでもこのアイスランドは化け物が多すぎる。

その後、思い立って本棚を眺めてみると、そこにも素晴らしい本を発見。
それは英氷辞典&氷英辞典!
この本棚にこんなナイスな本があったなんて!
今さらの発見である。

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辞書を手に入れたことにより、今までの疑問を一気に解決するチャンスが訪れた。

まずは新聞を見て、今までよくわからずカレの翻訳に頼っていた噴火関係のニュースを訳してみる。
文章はもちろんわからないが、単語の意味がわかるだけでもやはり全然違う。これは凄い!

次に、グンラ宅のパソコンを借りて、ちょっと気になっていたテレビ局のサイトを見る。

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自分のことが書かれてあるこの文章の内容を知りたかったわけだ。


この翻訳作業は、最初の行を訳し始めて早速、

「俺は米農家じゃねぇ!!」

そうツッコんで終了した。

シッカちゃんにはちゃんと説明したつもりだったが…。
まぁアイスランド人にとっちゃあ、
俺が米農家だろうが穀物工場の労働者だろうが、そんなことはどっちでもいいに2000点ってトコだろう。

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ところで、明日からしばらく好天が続きそうだ。
よし!明日出るぞ!
そうと決まれば出発の準備だ!!

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出発の準備といえば、まずは食料の補給。
街で大量の食料を買うとしたら、やっぱり最安スーパーBONUSに来る他はない。
黄色地に、ちょっとイっちゃった感のあるピンクの豚が目印。

ここのレジの兄ちゃんが意外に気さくで、
金を払う時に何気なく「小銭がたくさんあるんだ。」と言ったら、
「全部出してみて!」と言われ、ジャラジャラーッとブチまけたそれを器用にかき集めて、
できるだけ小銭を減らせるようにして清算してくれた。これは実にありがたい。
食料と一緒にサングラスも買ってみたけど、使う機会あるかなぁ。

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少し移動してショッピングセンターの前。
昼メシがわりの菓子パンみたいなのを食う。
さらに調子に乗って3枚1組の板チョコを2枚食ったら気分が悪くなった。
アイスランドの板チョコは分厚い!しかも3枚セット!
嬉しいような危険なような。
いや、確かにちょっとデンジャラスな予感はしたんだ。でも、ついね…。

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この旅は、できるだけ楽しんで、無事帰って、旅日記を書き終えた時点でやっと終わる。

明日には出るかと思うと、この街も、グンラ家も、いいもんだと思う。
急にそう思う。

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アークレイリのキャンプ場。

5日前にこの場所でフレデリク少年と自転車屋の位置について話していたら、
あの左端の金網の向こうからリンダが話しかけてきたんだった。

ちなみに今はカレの服を借りて着ているので、
アイスランドに来て初の、ちょっぴりオシャレさん状態になっている。

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アークレイリのスイミングプール。
そのうち入ろうと思ってたのに、ついに入らずじまいになりそうだ。

上空になんか黒いものがあるが…UFOに違いない。

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今夜のディナーは、えーと、カレー風味の、エスニックなドリア!?まぁそんな感じ。
これがまたおいしくて、またしても食い過ぎた。

この家で出される料理は全てがうまい。
アイスランド人の味覚が俺にも合うのか、はたまたグンラとリンダの腕前がいいのか。
きっと腕がいいんだろう。

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すっかり長逗留してしまったエルダの部屋。
あの豹柄のカーテンが重くて、置いてたカップを叩き落として割ってしまったわけだ。

下の四角いのはアイスランドの家によくある温水暖房装置。
各家庭に飲料水とは別に暖房用の温水が配給されているらしい。

あ、そういえば、
ロウガルの町のスイミングプールの水道で水を汲もうとしたら、お湯が出てきてビビったことがあった。
供給ラインにも色々あるのかもしれない。
しかし蛇口からお湯…さすがアイスランド。

なにやら腹がグルグルと鳴っている。コーヒーのせいか?
グンラ家ではなぜか、一日中コーヒーを飲み続けるのが習慣らしい。
朝と昼はまだしも、夜中の寝る前にまで飲んでいる。きっと胃の構造が俺とは違うんだ。
とてもついていけない習慣なので、魔法の呪文ネイタックを覚えてからは、
適当に量を調節するようにしている。それでもやっぱりちょっと胃が重い。
そんなこともあんなことも、今夜が最後だ。

それにしてもこの疲れはなんなんだろう。
身体の芯から疲れているような。まったくいつ治るんだ?
早く治らないと、ホームステイが終わってしまうよ。

リンダが俺をベランダに連れて行き、遠くの山に霞む白い霧のようなものを指さして言った。

「あの山に白いものがかかっていると、翌日は寒くなるのよ。
 明日はきっと冷えると思うわ。まだいてもいいのよ。」

…そうは、いかないよ。