5月17日(月)その2 清らかな夜遊び

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タダディナーの場所は歩いて行くには遠いらしく、バスに乗る。
アイスランドのバスなんか初めて乗ったよ。
一定額を払うと1つの区間はどこまで乗っても同額というシステムらしい。わかりやすくていいな。
バス停で話をしてた時、俺とジェイソンが同い年であることがわかって軽いショックを受ける。

バスはかなりの距離を走り、とある街はずれっぽい場所で俺たちは降りた。
そこから少し歩くと、地域の公民館のような建物があって、そこに入る。
中には老若男女が30人ぐらいいて、数人のおばさんたちが食事の準備をしている。

ここに来てようやくわかってきた。

ここって、ひょっとして、教会なのでは…。

本棚にあった本をチラッと見て、さらに推理を働かせる。

しかもどうやら…モルモン教の教会らしいよ…。

モルモン教って名前だけで詳しくは全然知らないけど、とにかくここはモルモン教の教会であるらしい。
なんとも意外な…。
でもまぁ、取って食われるワケでもあるまい。
むしろ俺はタダ飯を食いに来たのだ!

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食事ができるまでの間、やはり試乗会になる。

今乗っている彼はシグリオンというシブい名前のアイスランド人で、
これまで試乗してきた人々の中では最もスジがいい。
彼ならちょっと練習すればすぐ乗れるようになるだろう。

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なぜか卓球台まであるモルモン教会。

ここでジェイソンがかつて卓球をやっていたことが判明。
とてもアスリートには見えないと言って爆笑してあげた。

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そしてディナー。
なんというか、薄いハヤシライスみたいな。おいしかった。
食事の前に神に祈る人々をアイスランドで初めて見た。

そして食後。
そんな予感はしていたが、やっぱり皆さんのお話しの会に誘われる。
タダメシを食った後だけにちょっと断れない雰囲気だ。
でも勧誘されたらどうしよう…というような心配はまったくの杞憂に終わり、
実際は神さまに関する少しのお話と賛美歌の合唱(その間俺はボーッとしていた)と、
あとはひたすらレクリエーションみたいなゲームをしただけだった。

このゲーム、20人ぐらいで輪になって座り、真ん中に立ついわゆる『鬼』にわからないように、
個々で決めたサインを出し合うという遊びなんだが…。

全然知らない遊びだったのでそもそもルールがわからず、
自分にサインが回ってきたらどうしようという焦りと緊張の中で、まったく楽しむどころじゃなかった。
終わった瞬間、ドッと疲れた。

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再び外で試乗会。
シグリオンはやはり運動能力が高い。
たった数回のトライで、ほとんど乗れるんじゃないか?ってところまでこぎつけた。
俺が彼のレベルまで達するのに、たぶん1ヶ月はかかったハズだ。

おいしいディナーを作ってくれたハイテンションのおばさんにお礼を言い、教会を出る。
宗教のことは知らないが、いい人々だった。

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ここは教会の近く。
池の向こうに小さく見える建物は、大統領の家なんだそうな。

総理大臣や大統領の私邸を誰もが知ってるのはアイスランドならでは。
電話帳にも普通に載ってるらしいからな。

再びバスに乗って、3人でマーティン宅に戻る。
いつのまにか夜だ。
そろそろキャンプ場に帰りたいところである。

だがなぜかここで、みんなで夜の街に繰り出そう!という話になるのだった。
途中でシグリオンも合流し、またしてもレイキャヴィークのダウンタウンへ。

昼間はわりと静かだったダウンタウンが、夜中は若者や酔っぱらいで賑わっている。
マーティンによると、最近はレイキャヴィークでもアルコール中毒や犯罪が増えているそうだ。
ただ、警察に捕まるのはいつも同じヤツなんだと言って笑う。

なぜならアイスランドの刑務所は5つ星と言われていて、
あまりに住み心地がいいので特に冬場は入居希望者が多いんだと。
なんというか、アイスランドらしいのんびりした話だ。

ジェイソンが適当に見つけたバーに4人で入る。

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うーん暗い。
ここは2軒目に来た『カフェ・パリ』という微妙な名前の店だ。

ところでこの一行、バーをハシゴしているわりに、
ジェイソンもマーティンもシグリオンも、オレンジジュースとかホットチョコしか飲まない。
どうやらモルモン教徒はアルコール禁止らしい。
さらに紅茶やコーヒーもあまり良くないとされているらしく、結局はホットチョコになる。
なんとまぁ健全な。
それはいいんだが…じゃあなんでまた夜の街に繰り出そうと思ったんだ!?

きっと、俺を楽しませようと思って考えてくれたんだろうな。
アークレイリで連日飲みに連れて行ってくれたカレのことを思い出す。
俺みたいな、普通のことがあんまり楽しく感じないようなヤツはさぞかし扱いにくいだろうに。

よし、それじゃあ、酒も入らないような品行方正な夜遊びはやめて、
街のまんなかにある広場でユニサイクルにでも乗ろうぜ!

てなわけで、またしても試乗会。
時間はもう午前1時。

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シグリオンが本当に惜しい!
彼もユニサイクルを買って練習するぞ!と息巻いている。

ジェイソンもそこそこ惜しい。
マーティンは恐怖感が先にたって腰が引けてる。まぁそれが普通だ。
あぁ、個人的には、薄暗くて騒音が激しいバーよりもこっちのほうがよっぽど気楽でいい。

広場にあるちょっと長い階段を見て、シグリオンが言う。

「なぁ、あの階段をユニサイクルで降りたりできるか?」

「シグリオン。実は俺も今、そのことを考えていたんだ。」



思い立ったらさっそく実験!
撮影・シグリオン。

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静止画。ちなみに階段の下で構えてるのがジェイソン。

あー、おもしろかった。

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またしてもマーティンの家に戻ってきた。もはや溜まり場である。

酒もコーヒーも紅茶も飲まないマーティンは、
テーブルに置いてある『ココ・ミョルク』というミロみたいな飲み物を愛飲している。
個人的には健康に対する影響は似たようもんだと思うんだが…。
うまいから俺も気に入ってるけどな。ココミョルク。

もう2時だ。
さすがに帰るわ。じゃあまたなー!

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夜明け間近のレイキャヴィークの街を歩いてキャンプ場に帰る。
もうじき3時だ。

今日はどうなるかと思ったが、終わってみれば楽しかった。
何度か通り過ぎたあの広場で、まさか真夜中にあんなメンツでユニサイクルに乗って遊ぶことがあるとはな。
これもジェイソンのおかげ、と言えなくもないなぁ。

さっきマーティンの家で、一瞬だけ『生きる意味』についての話になった。
彼らは信仰があるので、その点についてはある程度固まったものがあるようだった。
でも俺は…俺の生きる意味はこれだ!という風には断言できなかったけど、別にそれでもいいと思う。
今のところ、神さまに頼ろうという気にはならないよ。

おっと、明日はちょっと用事があるんだった。

今のうちに少しでも寝ておくとするか!