南国の風、夜中に。

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沖縄かぁ。11年ぶりだ。

25時間の船旅は、あまり揺れることなく、無事にクリアできた。
ずーっと寝てたわけでもなくて、一応少しは動いたりもした。
寄航地の沖永良部島や与論島もチラッ…とは見たし。
オリオンビールは発泡酒でもやはり苦い。

那覇港に着いたのは定刻の19時で、もちろん夜だ。
空は曇りがち、風は冷たく、でも気温はぬるいという。
やはり沖縄は他の土地とは違う。

港のターミナルで、怪しいオヤジが宿のビラを配っている。
素泊まり1500円。沖縄なら普通だろう。
雨だったり体調がイマイチならば考えなくもないが、
天気は普通だし、船で寝まくったので体調も悪くない。
ここはパスでしょう。

新しい舞台への高揚を感じつつ港のターミナルを出てはみるが、
これがまぁ、なんともなぁ。
暑いのやら寒いのやら。
上着を着こんだ胴体は汗ばむほどだが、
自転車用メットを被った頭はスースーして冷える。
どうやら、南国の冬独特の気候に身体がまだ順応していないらしい。
これには気をつけなければ。

実は11年前のバイクでの日本一周時、
たった一度だけ風邪をひいたのがここ沖縄である。あれも冬だった。
あれから海風には特に警戒するようになったのだ。

さあ、多少寒かろうが暑かろうが、とにかく沖縄の旅の始まりだ。
ここは縦断と言っても狭い島なので、なんとなく一周と行こうか。
沖縄一周のやり直し、今度はバイクではなく一輪車で。

歩いていて、街の明かりを見て気づく。
そういえば今日は元日だ。
そのせいか、街には夜でも人がそこそこ多い。
いや逆に普段よりは少ないのかもしれない。

すれ違った自転車の青年が、
「あ、一輪車だ、すごいー。」
と言ってくれる。なんともいえない沖縄のイントネーションで。
できるだけわかりやすく表現すれば、台本の棒読みに近いような。

そう思って見れば、道行く人々もどこか南方系の顔立ちが多く、
そうでなければ明らかに観光客だ。
三線のBGMも絶えずどこかで鳴っているし、
自販機にはさんぴん茶(ジャスミンティー)やドクターペッパーが自然に並ぶ。
たしかにここは沖縄ではある。

さっきからさっそく走ってやろうと意気込んではいるのだが、
時計回りに行くにはまず北向き。そこは北風。それは向かい風。
そしてせっかくの沖縄、夜に進んでしまうのももったいない気がして、
港から少し北上したところにある、海に面した公園のあたりで立ち止まる。

公園に座り込んでこれからの方針を考えていると、
通りすがりのカップルの女の子のほうが、一輪車に反応した。
珍しいことに、彼女は俺のマウンテンユニに乗ってみたいという。
一輪車の経験ありという彼女、なかなかいいセンいってる。
なんでもこのカップル、
さっき俺が国道をトボトボ歩いているのを目撃したのだと言う。
へー、それでよくこんなとこに移動した俺と再会できたものだ。
初詣の帰りだと言うが…沖縄の人も初詣ってするんだな。
どうも不思議な気がする。
いつもなら俺がカップルの写真を撮るところだが、
なんだかのっぴきならない事情でもあるらしく、彼が撮ってくれた。

ところでこの公園のトイレ、中に自転車ごと突っ込んで、
座り込みつつ唄ってる謎のおっちゃんがいてね。
しかも女子トイレだ。
さすが沖縄。俺も思わずうなる。

うなっている俺のところに別の酔っぱらったおっちゃんが近づいてきて、
「何か苦しんでいるのか?」と聞いてくる。
いやいや、苦しんではいない。
今夜どうするかちょっと考えてるだけで。

カラオケ帰りでいい気分らしいこのおっちゃん、
俺の相棒が一輪車と知ると饒舌に語りはじめ、
その旅は自分で楽しんで満足するだけではなく、
ちゃんと文章にしないといけないよ、とアドバイスしてくれる。
はい、してますよ。こんな風にね。

彼は自称、オリエンタルホテルの社長だそうな。
何か苦しいことがあれば、
オリエンタルホテルにいる私を訪ねて来なさいと言ってくれた。
本当に社長なのかもしれない。
苦しいと言えばオリエンタルホテルに泊めてくれたのかもしれないが、
現実に苦しくもない今、笑顔でありがとうと言う他はないよな。

話は変わるが、コンビニには微妙に変わったモノが売っていて…。
黒糖玄米ドリンクは、なかなかマズかった。
さんぴん茶、うっちん茶、ドクターペッパー、ルートビアなどなど、
沖縄には俺と相容れない飲み物が数多くあるわけだが、
黒糖玄米は今回またひとつ俺の敵に回った記念すべきドリンクである。

10度ぐらいかな。微妙な気温だ。
今日はもう走る気もなくなったよ。
この公園でもどこでも、適当なところでサラリと寝ましょう。

今日の走行距離っていうと、7キロ。
ま、そんなもんそんなもん。
本番は明日から!